第三話1『悲恋部』
「ねぇ。楽斗」
「何だ、蓮宮?」
「ちょっとお願いしていい?」
「何をだ?」
「僕と─」
「僕と?」
「─僕と一緒に部活やらない?」
◇
満開だった桜が散り始めた四月の第三週の月曜日の放課後。俺は蓮宮に部活を誘われていた。
当然俺は、蓮宮の誘いを断るなんてことはなく二つ返事でOKした。後悔はもちろんない。
「ところで何の部活をやるんだ、蓮宮?」
確か蓮宮は俺と同じ帰宅部だったはず。転部した何てことは聞いてない。
「とりあえずこれを受け取って」
蓮宮の手から差し出されたのは、一枚のプリントだった。
よく見るとこれは、入部届?なになに?部活名は・・・『悲恋部』!?
「蓮宮、何だこの部活・・・・・・悲恋部って、オイッ!?」
説明しよう。悲恋とは、実らずに終わる悲しい恋のことである。
悲恋の部活ってなんなんだよ!?
「恋を終わらせる部活だよ」
何故か瞳をキラキラさせる蓮宮。
終わらせてどうする!?
ていうか、俺に至っては始まってすらないぞ!?
「っていうかこんな部活あったのか!?」
「ううん。これから作るんだよ!」
驚愕する俺にガッツポーズを決めながら返事する蓮宮。
なるほど。かわいい─じゃなくてそんな部活が成立するはずがない。
大体、何が悲しくてそんな部活に入らないといけねぇんだよ!?前言撤回だ。悪いが俺は遠慮させてもらう。
俺は握っていたペンを机に置いて入部届を蓮宮に返した。
「がんばれよ。じゃ」
蓮宮には悪いと思うがこんな部活には入れない─入りたくない。
人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて死ぬらしいからな。俺はそんな死にかたはしたくない。
すると、蓮宮は悲しそうに笑って
「そっか。楽斗は今の現状に満足なんだね?」
「どういうこと?」
「男子からモテているこの現状にだよ。僕が作りたい悲恋部は,そういった悲しい恋を終わらせるための─」
「詳しく話を聞かせてくれ!!!!」
気づけば俺は入部届にサインをしていた。
後悔はしていない。




