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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空


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5話 授業①

 光正に入学してから三日が経った。それまでの間に学校の施設紹介や成績の付け方など学校に関する大体のことを説明された。そして、今日から授業が始まるというわけだ。いよいよ光正の授業を受けられると思うとワクワク半分心配半分だった。実戦系の授業が八割を占めるという異常なまでのカリキュラムについていけるか心配なのだ。でも、先生方は一年生だからとハイレベルなことは求めないって言っていたから最初のうちは大丈夫だと信じたい。いつも通り勝の家に集合してから光正に向かう途中勝が言った。


「実戦系の授業ってどんなのやるんだろうな?」


 勝の言葉に俺は共感した。実戦系とは言うものの俺たちはアイテムも持っていないし戦闘もした事がない。おそらく、戦闘訓練やアイテムを用いた授業はあるだろうがそれ以上は思いつかない。透も春奈も同じような考えなのかうーんと考え込んでいた。


「戦闘訓練とか?」


「それもあるだろうけど八割ってなるともっと色んなのもあるだろうね」


 俺の言葉に透が続いた。俺は攻略者にあまり興味がないからほとんど実戦系の授業が分からないが、勝や透までもが分からないのは少し意外だった。俺も流石に光正に入った以上攻略者になることが決定づけられたような物だから先輩攻略者のことも調べておかないといけないなと思った。もしかしたら、授業に活かせることがあるかも知れないし。そんなことを思っていると春奈が動画を見ているのに気がついた。


「何見てるんだ?」


「最近ハマってる攻略者さんの動画」


 攻略者の動画は透が入試の時に見せてくれて以降見てないなと思いどんな攻略者の動画がおすすめなのか聞くことにした。


「なぁ俺も攻略者の動画見ようと思ってるんだけどおすすめってある?」


 俺がそう言うと三人の目の色が変わった。


「私が見てるドリーマって人はね解説も丁寧で動きも分かりやすくて初心者にオススメだよ!」

「僕が見てるラスカルって人は派手なプレイングが特徴的で杖のアイテムから繰り出される魔法は一級品だよ!」

「俺が見てる郷武って人は近接アタッカーでどんなモンスターでも落ち着いて対処して、ここぞって時に一撃で決める華やかさがあるぞ!」


 三人の言葉の弾丸に俺は全身を撃たれたような感覚になり何も答えられなくなった。まさかこんなに熱意のあるプレゼンをされるとは思っておらず適当に答えてはみんなの熱意に失礼だと感じたのだ。


「メールでその人たちの動画送ってよ帰ったら見るからさ」


 俺は三人に失礼にならないように今この場で誰か一人を決めることはせず一人で動画を見ることにした。


「送ったよ。三本送って、上から初心者に知っておいてほしいこととかをまとめた動画で、真ん中は基礎的なパーティの陣形と戦い方、構成を解説したやつで、一番下は人にあったアイテムの使い方とかパーティの役職を解説した動画」


「僕も送ったよ。僕が一番好きな動画と魔法について解説してる動画だよ。一番好きな動画は魔法でモンスターの群れを一撃で壊滅させるところが見所だよ」


「俺も送った。モンスターの種類と解説、その倒し方と戦い方をまとめた動画と近接アタッカーが気をつけるべき点とかを分かりやすく解説してる動画」


「分かったありがと」


 三人からのメールを確認した俺は三人に感謝を述べてチラッと動画に目を通した。序盤だけ見たがどの攻略者も装備やアイテムをフル装備しているように見え、一体どのくらいの死線を潜り抜け、どのくらいの金額を注ぎ込んだのか想像もできないほどだった。


「健ちゃんも攻略者の動画見るようになるなんて思わなかったよ」


 透に言われて気がついた。俺は今まで攻略者のことなんて全然興味がなかった。攻略者とは住む世界が違うとすら思っていた。だから、攻略者の動画もヨハネス夫婦も知らなかった。なら何故、みんなは俺が急に五大攻略校に行くと言った時疑わなかったのか疑問に思った。でも、きっとみんなのことだから何となく俺が成り行きで光正に入ることになったのは理解しているだろう。それに、俺自身もみんなと離れるのが嫌だったから後悔はしていない。たとえ興味のなかった分野だったとしてもやり始めたら興味を持てるだろうし、そう深く考えないようにした。


「ねぇ見て鷲田先生が校門に立ってるけどどうしたんだろ?」


 春奈がそう指さす先には確かに鷲田先生がいた。でも、俺たちは生徒たちの身だしなみがしっかりしているかと挨拶するぐらいだろうと特に気にせず後者に向かった。


「「「「おはようございます」」」」


 俺たちが鷲田先生に挨拶すると先生は俺たちを手招きした。俺たちは何だろうと鷲田先生の元に歩いた。


「お前ら今日から授業始まるだろ? だから、授業始まる前に入試で持ち帰ったアイテムを塩田先生から受け取るように。職員室に行けば良いから、もしアイテムを持たずに教室に入ってきた生徒がいたら教えてやってくれ」


「分かりました」


 俺が返事をし、早速職員室に向かった。職員室前に着くとみんなは一歩が下がった所で待機している。何故だか分からないが、こういう先生と何かをする時はみんないつも俺に押し付けてくるのだ。


「失礼します。塩田先生おられますか?」


「小出かアイテムだな、ちょっと待ってくれ」


「はい分かりました」


 廊下で塩田先生を待っているとユースさんが職員室に向かってきた。ユースさんもアイテムを取りに来たのかなと思っていると塩田先生が出てきた。


「お、ユースも来たか。相川たちもいるのかそれじゃあついて来い」


 俺たちは塩田先生について行った。ユースさんは特に何も話さなかったので俺たちと同様アイテムを取りに来たのだろう。少し歩くと塩田先生が教室の鍵を開けた。そこはアイテム保管庫という名前が付けられておりここにアイテムを保管していることが分かる。


「お前らはここで待っておけ」


 塩田先生が保管庫に入り少しすると腕に一杯のアイテムを抱えて出てきた。


「まずは相川の不撓の拳、ランクは玄人。どんな状況でも諦めない不撓の心を持てるぞ」


「ありがとうございます」


「次は羽栖の銀翼の天使、ランクは玄人。発動したら銀の翼が展開され、空を飛んだり銀の翼で攻撃したり味方を守ることもできるぞ」


「あ、ありがとうございます!」


 その場にいた俺たちは銀翼の天使の汎用性の高さに羨望の眼差しを向けた。


「次は小出の氷刃剣、ランクは玄人。持ち主の力と思いに応じて刀身が冷気を纏ったり、氷を出現させることも可能だ」


「ありがとうございます!」


 まさか自分が持って帰ってきたアイテムが氷系だとは思っておらずテンションが上がった。


「中村の蒼紋の杖、ランクは玄人。自然系の魔法が得意で治癒魔法も使えるぞ。木を生えさせたり風を起こしたりとサポート方面の杖だが、使い手次第だな」


「ありがとうございます」


 最後のユースがどんなアイテムを持ち帰ったのか俺たちは心して待った。


「最後ユースの雷王の剣、ランクは英雄。名前の通り雷を操ることができる超アタッカー型だ。流石雷神トールの子どもと言った感じだな。親子揃って雷系のアイテムとはな」


「ありがとうございます」


 ユースはあまり感情を表に出さなかった。俺たちはまさか目の前で英雄級のアイテムを見れるとは思っておらず心底驚いた。


「後、アイテムは肌身離さず持っておくように。個人ロッカーで保管できるが、なるべく持ち歩いてアイテムを身につける感覚を体に覚えさせるんだ」


「「「はい」」」


 俺たちは教室に向かった。俺たちは教室に向かう道中アイテムを思うように身につけた。俺は左腰の所に鞘ごと刺し、勝は手に付け、春奈はブレスレットのため手首に付け、透は普通に右手で待っていた。教室に着くと何人かのクラスメイトがアイテムを眺めたり身につける位置を気にしていた。何とも高校生らしい反応にそうなるよなと共感した。みんなで話しているとアイテムを持ったクラスメイトが何人も登校してきた。一限が始まる前にみんなアイテムを身につけており準備万端と言った感じだった。塩田先生が朝のホームルームを始めた。


「よしみんなアイテムは持ってるな?」


「「「はい」」」


「今日の一限は座学で後はずっと実戦系だから準備しておくように」


 そう言うと塩田先生は教室を後にした。あまりの短さに驚いているとクラスのみんながユースに群がった。ヨハネス夫婦の子どもだからアイテムも凄いだろうと判断してアイテムの詳細を知りたがっているのだろう。有名人も大変だなと思っていると女の先生が教室に入ってきた。一限目の先生かなと思っていると一限目のチャイムが鳴った。


「はいみなさん先についてください。私は数少ない光正の座学を担当してる石田美緒って言います。気軽に石田先生って呼んでくださいね」


 俺たちは石田先生に拍手を贈ると先生は続けた。


「初回の授業で悪いんだけど、なんせ回数が少ないからもう授業始めちゃうね。基本的なことから初めていくから安心してね。みんなアイテムは持ってると思うけどアイテムのランクについて話していくわね」


 そう言うと石田先生はアイテムのランクを順に黒板に書いていった。


「下から順に紹介していくわね。まず凡夫。これは攻略者を専業としない一般の人にも買える値段で売られている大衆向けのアイテムなの。だからと言って、性能は侮れないわよ。私も凡夫のアイテム持ってるけど、かれこれ五年は愛用してるわ。

 次は玄人。みんなが持ってるアイテムのランクは大体玄人だと思うよ。ここからが攻略者としての入門って感じだね。ちなみに性能によるけど、みんなが持ってるアイテム売ったらバカにならない値段になるから注意して扱うように。

 次は英雄。攻略者として一人前って言われるのは英雄級のアイテムをゲットしてからって言われるぐらいだから頑張ってね。英雄ランクから攻略者は一段階上になれるって言われてるぐらい強大な力を得れるわ。

 次は星座級。ここからは攻略者チャート上位勢しかゲットできないぐらいのアイテムだから夢見るぐらいに止めておく方が良いわ。今まで何人も星座級ゲットしてやるって張り切った生徒いたけどみんな等しく現実を突きつけられたわ。

 最後は神話級。ちなみに神話級は五人しか持ってないからまずゲットすることすら不可能だと思った方が良いわ。ちなみに星座級でも持ってるのは十五人だから、みんな大人しく英雄級をゲットするのを第一目標にすることね」


 石田先生の話を聞いた俺は、まずユースさんを目指せば良いのかと身近に分かりやすい目標がいて助かったと思った。


「それじゃあ最初だから今日はこのぐらいにしておくわ。それと、二限目からはずっと実戦系ってのは聞いてると思うけど、午後からはダンジョンに行くから気を引き締めなさいよ。二限目は校庭に集合ね」


 まさか初回の授業でダンジョンに行くとは思っておらず驚いた。クラスのみんなは半分が驚き半分が歓喜といった感じの反応を示していた。石田先生が教室を後にすると俺は実戦系の授業がどんな感じなのか少し不安だった。



「実戦系ってことは実戦服に着替えるんだよな? 更衣室行こうぜ」


 勝の言葉に俺と透はついて行った。更衣室に着き実戦服に着替え校庭に向かった。そこには塩田先生がいた。


「相川と小出、中村が一番か。三人ともこっち来てくれ」


 俺たちは何だろうと先生について行くと、そこは用具入れのようで俺たちは授業の準備をさせられるんだと理解した。木剣と盾が入ったカゴを校庭まで持って行くともうみんな集まっていた。


「三人とも助かった。それじゃあ今から基礎戦闘術を始める。この中で後衛職を目指す者は手を挙げろ」


 透や春奈たちが手を挙げると塩田先生が続けた。


「今手を挙げた奴らにとって基礎戦闘術は意味がないと思うかもしれない。だが、そんなことは断じてない。もし、モンスターに囲まれた時は後衛職と前衛職と同じ働きをしなければならない。そんな時のために基礎戦闘術を行うんだ。全員木剣を手に取り前衛は前衛と後衛は後衛と打ち合いをしてみろ」


 俺は勝と組み透と春奈が組んだ。俺たちは二人が大丈夫か少し心配だったが、まぁ大丈夫だろうと打ち合いをした。剣だけで打ち合いをするのはかなり難しく隙ができたり、相手の行動を読まないといけないため初心者には厳しいものだった。そこで俺は先生に盾を使っても良いか聞くことにした。


「先生、盾を使っても良いですか?」


「おう良いぞ。他にも使いたい者がいれば好きに使え」


 俺は盾を取り勝のと打ち合いを再開した。盾は視界の一部を塞ぐことになるが、その死角をケアするように立ち回ることで比較的簡単に打ち合いをすることが可能となった。勝は剣と盾の対処をしなければならなくなりかなりキツそうだった。そして頃合いを見た先生が号令をかけた。


「みんな注目。相川、小出ペア前に出てきてくれ」


 俺たちは何だと思ったが、指示に従った。


「相川は剣のみ小出は剣と盾を使っていた。二人の差は盾一つじゃないことは本人たちはよく分かるだろうが、周りから見たらそうは写らない。だから、盾を持つことのメリットとデメリットを解説する。

 二人はさっきみたいに打ち合ってくれ。解説のタイミングで止める」


 俺たちは先生の指示に従いさっきのように打ち合った。俺が盾で勝の剣を防いだ瞬間先生が止めに入った。


「メリットその一はこの反撃だ。盾を持つことで反撃のタイミングを自分で作れる」


 先生が続けるように合図したので俺たちは続けた。勝が正面から猛攻を仕掛けてきたタイミングで先生が止めた。


「デメリットはこのように防戦一方になった時だ。ここから反撃に出るのは至難の業だ。それに、盾で視界を塞がれているためデメリットが二重になっている。その時に重要なテクニックがある」


 先生がそう言うと、俺と立ち位置を変えて先生が勝の猛攻を盾で凌ぐようになった。先生が勝に続けるように合図を出すと、先生は勝の猛攻をいとも容易く盾で受け流してしまった。勝が正面上部から打ち込んでくるのを盾で剣に対して斜めに受け流し地面に力が逃げるようにしたのだ。勝の剣は地面まで振り下ろされ明確な隙が生まれた。


「このように盾は相手の攻撃を受け流すことができる。だが、相手がそれを読んで攻撃を敢えて弱くしたり第二の手を狙っていた場合反撃を受けるのは先生となる。盾は様々な使い方があるが、メリットとデメリットが多数存在している。これを上手く扱えるようになれば近接戦闘が楽になる。二人に拍手を」


 俺たちはクラスのみんなに拍手をされた。基礎戦闘術は思っていたよりも奥が深く学びになるなと確信した。


「これで基礎戦闘術は終わりだが、午後からダンジョンに向かう。昼食はしっかり食べておくように。以上」


 何とか初日の午前の授業を終えた俺たちはかなり疲労を感じていた。でも、午後はダンジョンだから気を引き締めないとと自分に喝を入れた。

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