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第二話 神の爪楊枝
「もう…たべきれないよぉ〜」
「す…ごく…おいし…いです…」
幸せそうな寝言が寝床を漂い、
それを打ち消すようなイビキの騒音。
夜中のプレハブの一幕である。
砂漠の夜というものは、危険なほど冷える。
昔の仕事の経験上、それを理解していたおっさんではあるが…
「しょんべんしてぇ…」
夜中に模様してしまった。
窓から宇宙を望めば…
真っ暗い星空が広がる…はずが、
蒼とも、翠とも淦ともつかない…焔が…
凍てつく砂漠の上空を燃やしていた。
比喩ではない。
本当に燃えているのだ。
メラメラと、ユラユラと…
日中に砂に降り注いだ魔素を吸い上げるように…
それを崇拝しているのかのような、
死者の群れ…
行列?
…否、
大河が…
平坦に見える砂漠の、地平線の向こうまで。
濁流のように、
蠢いている。
…ちなみにゲームのように包帯は巻いてない。
鯵の干物?
いや、味醂干しと云うべきか。
何千、何万いるのかもわからない。
今もなお、砂の底から湧き上がり続けている。
死者たちの湖は――
遥か彼方、まだおっさんの目に映らぬ、
天空の塔へと、静かに流れていた。
【雲をも穿つ天空の塔】
別名【神の爪楊枝】
今回のおっさんの仕事現場となる場所である。
「いや、しょんべん行かせてくれよ」




