10万字なんて普通は書けない
私の三作目の解説を、引き続きやっていきたいと思います。
前回は投稿の仕方についてしかお話できませんでしたね。
今回はその中身と、10万字の書き方についてお話していこうと思います。
まず、10万字書ける人というのはごく一部です。
小説を書こうとして、10万字の長編を完成させるまでに筆を折る人はとても多いです。
なのでまずそこを目標にしましょう。
達成できた方はおめでとうございます、まちがいなく少数派、上位数パーセントのすごい人です!
自分を褒めてあげましょう!
では、どうすれば10万字の長編を完成させれるのでしょうか?
それはもう、とにかく書くことです。
は? それができたら苦労しないんだが?
そうですね、でも、これは書くしかありません。
毎日毎日、少しづつでいいので、書きましょう。
人間は週のうち、5日やれれば習慣化することができます。
それを三週間も続けていれば、もうルーティンになっているはずです。
最初は一日に100文字でもいいので、それだけ続けてみましょう。
最初の内は、書くことがなくて10万字に届かないかもしれません。
その場合はそれを短くでもいいので完結させ、新しいのを書きましょう。
そうすればそのうちわかってきます。
アイデアを捨てることを恐れてはいけません。
アイデアには賞味期限があるので、どんどん使い捨てにしてきましょう。
後からまた、さらにいいアイデアが思いつくはずです。
それでは本文を見ながら、私の場合どうであったかについて解説していきます。
三作目のタイトルはこれでした。
『魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります~父が老弱して家が潰れそうなので戻ってこいと言われてももう遅い~新しい家族と幸せに暮らしてます』
はい、とっても長いです。
ちょうど100文字です。
これは初めてブクマ100に到達した作品なのですが、このタイトルも大きな要因だったと思います。
前回連続投稿でランキングに載せろと言いましたが、実はこの作品は、連続投稿をしても、日間総合ランキングにはおしくも10ポイントほど足りなかったんですよね……。
それでも、ジャンル別には入れました。
そしてブクマ100を達成し、連載を続ける中で250ほどはいただけました。
まずはそのくらいを目標にするといいかもです。
では、この作品の書き出し部分はどうなっているでしょうか……?
以下、第一話冒頭部分です。
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戦場に、一人の男が立っていた。
重厚な鎧を身に纏い、経年劣化で擦り切れたマントを風にはためかせ、無数の死体の中に佇んでいる。
足元に転がるその手柄のほとんどは、彼一人によるものだった。
「剣聖、ご無事ですか」
若い斥候兵が、馬に乗って駆けつけた。
剣聖と呼ばれた男が静かに振り返ると、斥候兵の顔がみるみる引きつる。剣聖の顔は修羅――まさに戦いのためだけに生きる鬼の形相だった。
だがそれも一瞬のことで、その顔はすぐに普段の温和な雰囲気を取り戻す。剣聖といえども、普段はただの誠実な青年に過ぎない。無慈悲な戦のさなかにあった魂が、斥候兵の顔を見て、現実の社会に引き戻される。
「ああ、今しがた片付いたところだ」
剣聖は不器用に笑ってみせた。斥候兵も、ほっとする。と同時に、目の前に広がる惨状をいま一度理解する。
「本当にこの人数を剣聖お一人で……」
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あれ? 前作とずいぶん毛色が違うな?
と思われたかもしれません。
はい、前作では「テンプレ」を書こうとして失敗してしまいました。
なのでこの作品を書いたときは、落ち込んでいたんですよね。
だから私は「思いっきり、好きなように書こう!」と思ってこの作品を書き始めました。
だからなんのプロットもなしに、いきなり書き始めて、10万字を目指しました。
今回目標にしたことは「ただただ10万字まで書く」ということだけでした。
なぜかというと「10万字書く力」というのが、今後必須だと思ったからです。
それすらなければ、戦いの舞台にも立てないと思いました。
まずは最初は「ランキングを目指す!」の前に、基礎力として、書く力は必要だと思います。
この作品を書いたことで、私は10万字のバランス感覚を得て、次の作品でランキング上位に輝くことができました。
失敗はすべて後で活きるんですね。
さらに、この作品を書いた後、私はこれをすぐには投稿しませんでした。
この作品が伸びるとは思えなかったからです。
いえ、多少は期待はしていましたが、最初これを書いたときは、本当に趣味で書くつもりの、軽い気持ちで書き始めました。
だからこそ書ききることが出来たのだと思います。
ですがそれをそのまま投稿するのではもったいないと感じたのです。
まず、この作品は一見「追放もの」に見えるのですが、あまり序盤でその要素を出せませんでした。
現地転生の要素も入ってるので、いろいろごちゃごちゃした作品になってしまっているんですよね。
自分の好きな俺Tueeeものにしようと思って書いたのですが、そこになかばむりやり「追放」の要素を取り入れたことによって、味がわからない作品になってしまったと思います。
最終的には終盤で「追放ざまぁ」の片鱗をお見せできたので、そこはまあよかったかなとは思いますが、この作品はたぶん「追放もの」を読みたいという読者のニーズにはあってなかったのではないかなと思います。
前作の「天ぷら」よりはましだったかなとは思いますが、これでは読みに来た読者からすれば「期待外れ」となってしまいますよね。
それに、三人称で文体も固く、とてもランキングで戦える作品とは思っていませんでした。
まあ、好きなように書いてしまったのですから当たり前です。
エログロも多用した、悪趣味な趣味前回の小説になってしまっています。
それでもいちおうそこそこは読んでもらえたので、それはありがたかったですが……。
実はこれほどブクマをもらえるとは思ってませんでした。
ターゲットとなる想定読者をちゃんと考え、そこのニーズに向かって弾を投げるのは必須のテクニックです。
読者はみんな「読みたいもの」を持ってやってきます。なので「読者の読みたいもの」から外れたものを書いても、読んでもらうのはなかなか難しいんですね。
たとえば、肉食の動物のいる檻と、草食の動物のいる檻があるとします。
そこで肉食の檻にいくら草を投げ入れても、反応がないですよね。
草食の檻に肉を投げ入れても意味がないです。
ちょっとわかりにくいたとえだったかもしれませんが、ようはそういうことです。
ターゲットとなる読者のいる場所に、読者ニーズのあるものを投入しないと、そもそも読む「潜在読者」がいないのであれば、結果はでませんね。
では最後に、私がこの小説をどう利用したかについてお話して、今回は終わりにしようと思います。
実はこの小説を書いたあと、一月ほど寝かせました。
その間、もう一本、今度はちゃんと「追放もの」を書こうと、書き始めました。
私はこの三作目を書いている間に、こんどは「テンプレ」が「天ぷら」にならないようにしよう!
と決意して、さまざまな人気作の分析をしていました。
さらには、一度「10万字」を書き終えたことで「10万字の歩き方」のようなものがわかり、完成形のイメージがつくようになったんですね。自信もつきました。
それに、一度おもいきり「好きなように」書いたおかげで、自分の小説のコントロールもできるようになりました。
どれが「自分の自己満足で書きたいもの」でどれが「読者ニーズに基づいたもの」なのかの判断がつくようになったんですね。
よく「作者の書きたいもの」と「読者の読みたいもの」は真逆だといわれますね。
もちろん書きたいものを書くのは当然なんですが、それが独りよがりになってはいけません。
読者と作者の、両方が満足する点を探っていく必要があります。
それで私が書いた作品が4作目――。
『ブラック医術ギルドで認められず追放されたポーション調合師、商業ギルドに拾われ豊富な在庫を使ってすごいポーションの調合に成功し、多くの人を救い病気の妹も治します。ポーションが足りない?知りません』
でした。
この作品はブクマ1万を達成し、大変ありがたかった作品です。
私は3作目を、この4作目の「起爆剤」にとっておいたんですね。
どういうことか?
それは2作品の投稿時間を見比べてもらえればわかると思うのですが、まず、「魔力ゼロ」を連載したあと、そこで読者をある程度集めたうえで「ブラックギルド」を連載開始しました。
これによって、少しはみてもらえる可能性が増えるとは思いませんか?
つまり「布石」にしたんですね。
「捨て駒」といってしまうと、少々あれですが……。
おかげで、相乗効果がかなりうまれました。
これはかなり有効な手段だと思います。
2作品の更新で、さらに多くの読者にアピールできます。
「ブラックギルド」が日間総合ランキングにランクインした時点で、「魔力ゼロ」のほうの読者も爆発的に増えました。
それによって、「魔力ゼロ」も日間総合ランキング入りし、ブクマも900まで伸びました。
一つの作品でダメなら、二つ書けばいいんです。
とにかく無名のうちは、物量で押すしかありません。
もちろんそこにはクオリティも妥協してはいけませんが……。
今回はかなり横道にそれた話が多かったかもしれません。
次回以降の内容はまだ考えていませんが、なにかネタがあれば書きます。
感想欄で「こんなことを書いてほしい」というものがありましたら、書いていただけると嬉しいです。
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