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12・11話 始動

次話 明日の夕方更新予定


今週からは日に1話〜2話投稿する予定です


次の日、俺は別邸に移動した。


別邸は、………完璧に名前負けしていた。

別邸ではなく単なる一軒家である。

日本の一般住宅と同じ大きさである。


ここに一人で住むと考えれば、広いとも言えるだろう。


といっても、一人で寂しくなるわけではない。


3日に一回、必ず食料と生存確認ーー死亡では外聞が悪いためーーをシュバルツが行うことになったいる。


 また、今日の会話で、

「暇を見つけたら、修行の付き合いを務めに行きます。」

と言ってくれた。



これからの生活が少しの不安と大きな希望を持って始まった。



ーー移住初日ーー


 まず初めに、家の掃除と庭の雑草取りを行った。

家が今代になって使用されてこなっかたことで、埃が溜まってしまっている。

魔獣の生息域と、家の位置が近いのが一つの要因で、空き家となっていた。


 掃除の間ずっと、身体強化魔術を発動し続けることを目標とした。

 掃除では、普段使わない筋肉を使用し、様々な動きをするため、戦闘中に身体強化魔術を使用することに良い影響を与えるのではないかと考えた。

 また、身体強化の持続時間を伸ばすことにも一躍かると思った。


実際、雑草取りは、腰を落とす必要があり、想像以上に足腰にきた。


ここで、俺は、足腰だけ、腕だけのように、体の部位ごとに身体強化を施せば、魔力の消費を抑えることができ、疲労の回復にも繋がり、一石二鳥だと思った。



家の掃除を終わらせると、早速、魔術式の改良及び、開発に取り組んだ。


 しかし、完成までには至らなかった。

通常の身体強化の魔術式は『全身』の運動能力を変更させる。

この『〜〜』の部分が身体強化が作用する場所だ。

 そのため、『全身』を消して、『足』『腕』『腹』………など設定してみた。そうすると途端に難易度が上がってしまうのだ。日常生活では使えるかもしれないが、戦闘中ーー主に接近戦ーーにおいて、魔術発動の溜めは決定的な隙になり得てしまう。


 ここで、開発が停滞してしまったので、夕食を作ることにした。昼は、メイドが作ったお弁当を食べた。


 前世では、母子家庭で母が家に帰ってくるのが遅かったため、妹とよく一緒に夕食を作っていた。そんなことを思い出しながら、夕食を作った。

 夕食は、これまで食べれなかった日本風の料理だ。前世でよく食べていた、親子丼にするつもりだった。しかし、卵があったが肝心の鶏がなかった。そのため鶏の代わりに牛を、また、ちょうどいい調味料がなかったため、野菜と牛骨で出汁を取り、塩で味を整えたツユで代替した。


 久しぶりの日本料理でとても満足できた。多少味が違ったのは痛いが……。


 

 一人で暮らすことになったので、夜眠る前に、一人反省会ーー1日の振り返りーーを毎日行うことにした。どこが良くて、どこが悪いのか、理解することで次に生かすことができる。


 振り返りをすると、魔術式のアイデアが浮かんできた。夕食で代替品を使ったことだ。


 今日はもう夜遅いため、このアイデアは紙に書き残した。

 魔術式は明日の朝作る予定だ。




 俺は、朝の眩しい日差しと小鳥の軽やかな(さえず)りを聞いて目覚めた。いつも以上に気分が良い。そんな朝を迎えた。


 

 昨日、予定していた魔術式の開発を行なう。


『〜〜』の部分を増やすのではなく、『  』のままにすれば良いと思った。

この空白の部分には『魔力が集中した部位』にすれば良いと思う。そうすれば、難易度は魔力制御だけが問題になり、魔術式に空白ーー余裕ーーを持たせることで、応用の幅が広がる筈だ。


 魔術式を構築し、いざ発動してみると、若干の難しさがあるが、許容の範囲内に収まっていると思う。

 

 ついに、完成した。


その後、丸一週間ーーこの世界では5日間ーーかけて問題なく発動できるようになった。


 そうして、移住から一週間経って、自分のルーティンが形取られてきた。

 

 午前中に戦闘訓練を行った。

 シュバルツがいる際は、対人戦を行い、いないときは剣術の修行を行い、空いた日ーー1週間の内ーーには、魔獣の討伐を行なった。死ぬ気はないので、魔獣討伐に関してシュバルツの許可は得ている。

 実際、魔獣は弱いものしか近くに存在してない。そして、戦ってみると初めは手こずったが、慣れるにつれて、討伐効率も上がってきた。 

 冒険者になるための良い修行である。


 午後は、魔術式の改善や魔力制御、魔術理論の勉強をした。

 俺の加護が“解呪”であるわけで、魔術の知識があれば、有効活用できるのでは、と考えている。

 

 そして寝る前に、本を読んだ。

 これからは、冒険者になった際必要と思われる知識を取得しようと思っている。本はシュバルツが書庫から持ってきてくれた。

 



ーーこのような生活を送って約2年経った頃ーー


 ついに魔獣討伐隊が組まれることになった、という知らせをシュバルツが教えてくれた。

 討伐隊の隊長は、ピアース公爵であり、戦場がシャルフィード領から近いということで、父が俺とシュバルツに参戦を命じた。

 俺が思うに父の思惑は、

『貴族の面子として、参加しなければならない。しかし、自分には力がないため、魔獣に殺されてしまう。アベルが参加して、もし、死んでしまったたとしても、財政が助かり、厄介払いできる。また、シュバルツはアベルのお守りを任せられ、アベルの肩を持っていたので、死んでしまっても損失にならない。』

と言ったところだろうか。


 俺にとっては、願ってもないチャンスなのだが。魔獣との戦闘訓練は冒険者にとって大きな経験になるだろう。まして、俺が、家周辺の魔獣を狩り尽くしたことで、魔獣との遭遇率が下がってしまっている。


 また、討伐隊にはシャロンが参加するというではないか。

手紙で近況報告しているが、再会して直に会話することが楽しみになってきた。



 


 そんなことを安直に考えていたアベルは、この後、強敵に遭遇することなど知る由もなかった。

 




次話 魔獣討伐戦

 アベルが無双します。

 シャロンも活躍します。

 戦闘シーン多めで頑張ります。


読者の皆様

いつも読んでくださり、あえいがとうございます。


ーー作者からのお願いーー

面白い、続きが読みたいという

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