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13・12話 魔獣討伐戦前日

今日、後2話更新予定


★★お知らせ★★

幕間ですが、

シャロンとの再会と

シャロンの気持ちという

アベル視点とシャロン視点で1話ずつ書きます。




俺とシュバルツはシャルフィード領より南に位置するピアース侯爵領に向けて出発した。


 向かう馬車内では、俺とシュバルツだけで、俺のこれからについて話し合った。

 

「俺は、追放されたら、冒険者になろうと思う。」


「賢明な判断かと。アベル様の実力ですと、冒険者ランクでは最低B級だと思います。」


「思ったより、高いね!」


「そうですね、アベル様の加護と特殊な身体強化魔術は相性が良いです。また、近頃、剣術のキレや冴えといった戦闘巧者の闘い方ができています。対人戦では、負ける可能性は極端に低いでしょう。」


「そんなものかな? 俺はまだ戦闘訓練ではシュバルツに勝てていないし、今回は魔獣が相手だから意味ないよ。」

 と嘆息すると、


「魔獣なので、これまでアベル様が倒してきた弱い者だけでなく、魔術を扱う強力な魔獣も存在しています。アベル様にとっては、格好の的かもしれませんが。」

 

 戦闘巧者のシュバルツにそう評されるのは何ともこそばゆい。

話を転換させるため、

「今回の魔獣はどんな種類がいるの?」

と聞くと、

 

「アベル様は魔獣の発生原因はご存知でしょうか。」


「知ってるよ。根本の原因は、神代戦争によって、神の魔力が土地に染み込み、溜まった物で、ダンジョンで生成され、討伐されずに外に出てしまう物と自然発生があるよ。」


シュバルツは満面の笑みで、

「そうです。」

と言い、

「今回の魔獣は、前者の方です。」

と今度は神妙な面持ちで続けた。


俺は生唾を飲み込んで、

「………ということは……………」

とつぶやいた。


「そうです。今回の魔獣は強い部類になります。しかし、今回の討伐隊には、ピアース侯爵様はじめとする腕に覚えのある貴族方に加え、中堅の冒険者達も参加しているようです。」

と硬い表情を戻しながら、続けた。



 ピアース侯爵領までは、馬車でも5日かかる。休憩時間には、シュバルツと軽い手合わせを行った。



 道中、魔獣の襲撃などの多少のアクシデントがあったものの、予定通りシャルフィードから5日でピアース侯爵領に到着した。


 巨大な建物の前には、もう多くの人が待機していた。

己の武器や防備を整備している人や仲間と談笑している人が見受けられた。

ほとんどの人が冒険者だろう。


 そして、俺とシュバルツはピアース侯爵に挨拶するため建物の中に入った。

 中は、侯爵家にも関わらず、質素であったが、家具のレベルが高く、全体の統一感が良くとても上品に感じた。

 エントランスにいた使用人にピアース侯爵の居場所とその道順について聞くと、

「侯爵様は執務室におられます。執務室は2階の西側奥の部屋でございます。」

と教えてもらった。


 言われた通りに、進んでいくと、派手さがないが木工の美しい重厚な扉があった。

 その扉をノックすると、


「どうぞ、アベル君。」

と優しい声が聞こえてきた。


 俺のことを覚えていてくれたようだ。

失礼しますと言って、中に入った。すると中には、侯爵以外にも、シャロンがいた。これには、少し驚いたが、表情に出さず、挨拶をした。


「お久しぶりです。ピアース侯爵様。この度は、シャルフィード家からアベルとシュバルツが参加させてもらいます。宜しくお願いします。」

 

「シュバルツです。宜しくお願いします。」

と礼をとりながら、言った。


「協力ありがとう。君の力に期待しているよ。娘から君の剣術の腕や戦いが上手いと聞いているよ。」


コホン、

シャロンが咳払いした。


「あ、ありがとうございます…………」


そんなことまで知っているのかと驚いた。


「近頃は、魔獣を討伐しているとか。」


「そうです。今回の討伐戦でも力を出せると思います。」


「期待しているよ。この後、作戦会議を開くから、ぜひ参加して欲しい。会議が始まるまでは、自由にしてもらってもかまわないよ。勿論、シャロンと会話をして楽しんでもいいよ。」


 俺とシャロンは同時に頬を赤らめた。


侯爵とシュバルツは、その光景をみていた。


「シュバルツは、この後は少し残ってくれ。話がある。アベル君とシャロンはもういいよ。」


そう言われたので、俺とシャロンは執務室から退出した。


「会議が始まるまで、どこで話す?」

と俺から話し出した。


「庭でいいんじゃない?今日は晴れていて、気持ちがいいし。」


「わかった………」


 

庭に到着して、日陰になっている場所の椅子に対面して座った。


「アベルはこれからどうするの?」

と今度はシャロンから話し出した。


「手紙にも書いたけど、15歳に成って、追放されたら、冒険者になるつもり。」

と淀みなく答えた。


「本当にそれでいいの?」

と確認してきた。


「ほかに選択肢はないと思うけど?」

と返す。


「…………私のことを頼ってもいいのよ。」

と上目遣いに言ってきた。


これには不意を突かれたため、何も返すことができなかった。


「討伐戦が終わったら、もう一度聞くから。その時は、はっきりと答えてね。」


「はい。」


「………………」

「………………」


一瞬の静寂の後、

シャロンが

「アベル。加護について何か進展はあった?」

と話を振った。


「残念ながら、あまりよくいっていない。でも、手掛かりはつかんだと思う。」


「手掛かり?」


「この*解呪*の黒いオーラは制御できる可能性が高いと思う。」


「その根拠は?」

と首を傾げながら、とても不思議そうに聞いてきた。


「俺が、身体強化魔術を改良したことは覚えてる?」


「うん。覚えてる。あの身体強化を意識的に変えることができるやつだよね!」


「それ。この魔術では、魔力を集中した場所に効果を及ぼしている。戦闘訓練中、偶然にも、身体強化と黒いオーラが発動した際、それと似た感覚が黒いオーラにもあったんだよ。」


「それは面白そうね。」


「俺の話はここまでにして、シャロンの加護は何か進展があった。」


「こっちは、アベルと違って、何一つ掴めてないよー」

と言って、目の前の机に溶けてしまった。


これを最後に会話が終了した。

『そろそろ会議が始まりますので、執務室に移動してください。』と使用人が伝えに来たのだ。会話が途切れたところだったので、丁度よかった。



――会議が始まった――



会議では次の事が決まった。


『まずは、ダンジョン前にいる魔獣を討伐する。』


『編成については、弱い部類が多い東側を低ランクの冒険者と貴族が担当する。強い魔獣が多い西側は中級冒険者が主に担当する。』


『俺やシュバルツ、シャロンは東側で、ピアース侯爵は全体を指揮するため、後方に待機する。』


『次に、原因のダンジョンを調査する。』


『最後に、原因が分かったたら、それに対処する。』


『作戦開始は、明日の朝9時。』



 この会議を最後に一日が終わった。



 

 明日から、いよいよ魔獣討伐が始まる。




次話 討伐戦当日

 無双ターンです


ーー作者からのお願いーー

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