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6 堕落
ごちゃごちゃ考えても結果は変わらなかった。人間は本来理屈よりも本能や直感に身を委ねる。僕も例に漏れず頭で考えた理想ではなく直感的に思った通りの現実になった。
あれから半月ほどがすぎただろうか、僕はまた堕落しきっていた。昨日何をしたか鮮明に思い出せないし何をしたかったかも覚えていない。世間が僕を自由だと勘違いしそうなほど何もできない不自由に囚われていた。人は目標が持てないとこんな軟弱な存在になってしまうのかと身を持って知った。
また半月経つと先月と同じやり取りが繰り返される。締切が近づいても焦らない自分の意識に焦りを感じつつも電話の担当者にまた同じような忠告をされ本心とは違う不定形な言葉が口から出ていた。人気な記者だからとて締め切りを守れるわけではない。皆さんの小学生時代も頭はいいけど宿題を出さない人がいただろう?おそらくだがその人は自分という存在を確立させたいがためにそのような行動を取っていたのではないかと僕は思う。締め切りを破るライターも宿題を出さない小学生も欠点がなければそれはただの’’優秀な人’’として扱われる。つまり要素が一つ減ってしまい、自分という存在の修飾語句を一つ減らしてしまうのだ。そのため唯一無二の存在の確立には欠点が必要だと考えているのだろう。なんとも幼稚である。




