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スナッキーな夜にしてくれ 〜異世界でもスナックに行ってる件〜  作者: 火夢露 by.UMEBOSHI-P
第4章 大料理ゆうこ編
34/40

そういうことかよ!

挿絵(By みてみん)

 -- 前回までの『スナッキーな夜にしてくれ』 --


 ゆうこママから執拗なまでの言葉責めを受けてしまう常松。

 それはもう、スーパー台風が連続して襲ってくるかのような、線状降水帯的言葉責めに心が折れそうになる。


 おまけに、常松にしてみれば、身に覚えのない話ばかり湧いて出てくる始末。つまりは、その内容のほとんどが濡れ衣的なものだった。

 冤罪だらけの魔女狩りとは、このような仕打ちによるものなのかと思いつつも、責められている内容があまりにもシモシモ寄りである現実に戸惑ってしまう。


 エスカレートするゆうこママの尋問は、ついに破壊力抜群のパワーワード『髭マスの熱いアイツ(・・・)』を詠唱のように繰り出す。さすがに、これには耐えきれず、いよいよ観念してしまう。


 「私は魔女です」などと100%冤罪であっても、そう言わざるを得ない中世の悲しき女性達の想いが常松の胸中を駆け巡ったのか、巡らなかったのかは定かではないが、ついに責め苦に耐えられず、髭マスの“熱いアイツ”を注入されたことを自白してしまう。


 その自白が、よほど嬉しかったのか、喜んだゆうこママは、『CONGRATULATION’S!』と言わんばかりに祝杯を強要する。


 言われるままに乾杯するが、祝杯の意味が全く理解出来ない。それどころか『髭マスの熱いアイツ(・・・)』を注入された証拠を見せろ! と無茶振りするゆうこママの暴挙に、たじろぐ常松。


 証拠も何も身に覚えの無い常松は、更に窮地に追い込まれるが、必死に足りない頭をフル回転させて、その証拠を捻り出そうとするのであった。


『前門の虎なのか、肛門の狼なのか』


 何れにしても、お粗末すぎて見せられるほどのモノではないということを素直に告白する常松。

 一体、ママは何を見せろと所望しているのであろうか。



▽ ▼ ▽ ▼ ▽


 ゆうこママから『お前は勘違いしている! そんなお粗末なモノを見たくはないが、お粗末っぷりには興味がある・・・』

と突きつけられた。


 思わず、戸惑ってしまう常松の思考回路は完全に停止寸前となり、バックアップモードに変換された。

 しかし、ゆうこママの攻撃は更に続く。


「逆に何をどのように勘違いされていたのかしら? まあ、とにかく、下の方のアイツは出さなくていいですから、見せなきゃならないモノを見せてもらえるかしら」ゆうこママが呆れ顔で答える。


(やっぱり、なんだか俺の方が一方的に何かを勘違いしていたことは間違いなさそうだな。いったいどこで間違えたんだろうか・・・・・考えるんだ! 思い出すんだ、俺!)


 常松は天然バカモードを解除すると、真顔でシンキングタイムに入った。

「はっちゃけ、はっちゃけぇーーー!」


(ママの問い掛けを思い返すと、元々は髭マスに何かをされたのではなく、何かもらった、もしくは何かをしてもらったことを質問してきたはず、ということは、やっぱり、あれしかないよなあ・・・あのエアー的なやつだよな、んでもって、それって、なんのためだったんだ?・・・)


 常松の脳裏に髭マスとの濃厚な一部始終が走馬灯のように次々に浮かび上がる。


『バッチこーーーい!! ヘイ、ヘーーーイ、しまって、いこーぜー・・・・・』

『CHUUUU・・・・・』

『うおぉぉぉぉーー! 受けとめてやるぅーー・・・』


 正直に言って思い出したくない恥ずかしい自分の叫び声や屁っ放り腰姿が次々に蘇ってくる。


 次の瞬間、脳裏に浮かんだいらない記憶をかき消すため頭をブンブンと振った常松は思う。


(やはり、これのことなのか・・・)


「ようやく、はっちゃ・・・思い出したのかしらぁ」常松の仕草を一瞥したママが問いかける。


「ええ、まあ、そうですね」

小さな声で呟いたが、それと同時にハッとした。


(ん!? ちょっと待てよ、あのCHUUUが正解だとしてだな・・・あれを、どうやってママに見せるんだよ、あれは、あの熱いアイツは見せることなんて出来ないだろう・・・どうするんだあ)


「良かったわあ、思い出してくれて・・・本当に記憶喪失にでもなったのかと心配しちゃったわよぉ」


(おいおい、どうすんだよ、これ・・・なんか考えないと・・・あっ! もしかして、あの気持ち悪いタコチュウのような唇の形を模写して見せてやればいいんじゃあないのか)


「はい、じゃあ安心して、ここに出してちょーだいな」

ママがカウンターの上に出して見せろと言わんばかりに人差し指をカウンターに向けた。


「あれ?・・・」

「あれ?・・・って、何を言ってるのよ、ここに出してくれたら、私もしてあげるから、安心しなさいな」


(ええっ!? ここに出せだとおーーー! CHUUUのタコ型唇はただのモノマネなんだぞ、ここに出せって何か妙だぞ? しかも、『私もしてあげる・・・』だとおーー! それって、やっぱりなんかエロいことなんじゃあ・・・いやいや、そんなことある訳がない、冷静になれ、俺! ついでに下半身も静まれーー!)


 毎度お馴染みのパターンであるが、常松のいろんなところのボルテージが、スーパーサイ◯人のあんな感じになってしまう。

 それを理性でなんとか抑え込む常松の額には、あの5000万円を運んだカバンがどう見ても5000万円のゲンナマは入らないだろうという疑惑の視線を向けられた時の元都知事くらいの汗が噴き出している。

 それは、まさに『イノセーー! んとワールド』と言っても過言ではない程のあの大量の汗が語った焦燥感満載の出来事、そんなシーンが常松の脳裏に浮かび上がる。


「いやあ、本当にこのカバンに入れたんですよ・・・チャックが閉まらないとかは・・・」


「常松さん、あなたは何を訳のわからないことを言っているのかしらあ」


「ああ、すみません、ついつい取り乱してしまいまして、全く違う記憶が蘇ってしまいました」


(いかんいかん、元都知事みたいなのに憑依されかけたよ・・・危ない危ない・・・とか言ってる場合ではないぞ、ここに出せるモノってのは、俺が何か持っているのかあ?)

 都知事の神様が降臨しかかったおかげなのかもしれないが、常松の記憶が正常に機能し始めた。


 思わず、声が漏れる。


「あっ! そうだ、そうだった。今、出しますよ」


「もう、おかしな人ねえ、思い出すって言ったって、それほど時間も経っていないでしょうに・・・」

ゆうこママが、呆れ顔になるのも飽きたわという顔つきになる。


(何故、今まで気がつかなかったんだよ)

「ちょっと、色々と勘違いをしていまして、申し訳ないです。俺って酒飲むとダメなんですよねえ」

そう言って、自慢のポール・ス◯スの名刺入れを取り出そうと胸ポケットに手を忍ばせた。


「ちゃんと持っていたのね、本当に良かったわあ、そのお(・・)がなかったら、常松さんは元の世界に戻れなくなるのよぉ、まったくう、心配しちゃったわよ! 早く出しなさいな」

ゆうこママは、カウンターから身を乗り出して常松の耳元で囁くように言った。

 その表情は和らいでいるように見える。


「えっ!?? あっ、そう・・・です・・・お札・・・ですよね。ホント良かった・・・っす」


 常松は瞬時に勘違いしていたことを悟れらないように小さい声で話を合わせると、逆がわの胸ポケットの方に手を入れて苦笑いで繕う。


(そうだったのか・・・見せろって、お(・・)のことだったのかよ・・・)


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