1話 目覚めと脱出
ぽつり、ぽつりと水の落ちる音がする。目を開けると、石でできた天井が手を伸ばさなくても届くほど近くにある。
「ここはどこなんだろう?」
声を出すと反響するように響いたが、答えは返ってこない。手を伸ばし石のふたを持ち上げて、横にずらす。そうして立ち上がると、自分のまとっているものが貫頭衣のようなものと木でできた靴だとわかる。
「そもそも私は何でここにいるんだろう。」
そういっても誰もおらず周りは、岩が崩れたようになっている扉があったであろう部分と、
蹴破られたように蝶番が外れた扉、机とろうそくのない燭台、机の上に置かれ丸まった黒い布といったところだろうか?
とりあえずここで餓死するのはごめんだ。
崩れた岩が積み重なったところを調べると、かすかに風を感じる外につながっているようだ、
他になにかあるとすれば、この机の上に丸まった布だろう広げてみると、僕が、すっぽり覆えるぐらいの
袖付きフードマントだということが分かった。
カランカランと音がして、何かが地面に転がる。
取り上げてよく見ると、持ち手に金をあしらった短剣のようだ。
かなり使い込まれていて、刃の部分は無事だが、装飾の部分が少し古びていて布に至ってはボロボロだ。
持ち手の布には何か書かれていて書いてある文字は「ル*ナ**・ルー**」
となっており、よく読めない。読んだとき少しもやっとした感情が胸に広がった。
とにもかくにもここを出なければ飢え死にしてしまう。
「この岩がどかせれば出れるはず。」
そういって、岩を引きずろうとするが動かない。より力を込めて、引きずろうとするが、爪が変な方向に引っ張られ、痛みが走る。焦りが募ってくるが、あきらめずに岩に爪を突き立てる。
すると、ズズズと重い音を立てて岩が少し動く。横にずらすと、小動物一匹ぐらい通れるぐらいの隙間ができる。ただ、爪からは、血が滲み爪にひびが入っている。それでも岩は動かせることがわかり気力がわいてくる。もう1つの岩に手をかけ右に向かって、押して穴を広げようとする。
この時僕は浮かれて忘れていた。上の岩が何とかバランスを保っていたことを。
支えを失った岩が落ちてきて、再び道をふさがれてしまう。
「まずいことになった。」
しかしよく見ると、上のほうに新しい隙間ができていて、通り抜けられそうである。
「問題はあそこまでどうやって上るか」
新しい隙間は3Mぐらい高いところにあり、ジャンプするにしても何か台が必要だろう。
「台ならここにあるから」
振り返ったときに机が目に付く。そこで、机を持ち上げて石の間近くまで持ってくる。
「問題は届くかどうかだけど、」
そう呟いて、机の上に上る。それでもまだ高いがどうにかなるだろうという淡い期待を込めて、飛び上がる。岩の上の出っ張っているところをつかみ、岩肌を蹴ってよじ登る。
うまく登れたが、今度の問題は、飛び降りることだ。
降りるとき3Mぐらいのとこから落ちたら痛いに決まっている。
「そーっと慎重になれば、どうとでもなるはずだ」
幸いにも何とか滑り落ちることなく降りることができた。
「これで、出れる。」
そう思った矢先に目に入ったのは森だった。
次は森から出ることを目標に洞窟から足を踏み出そうとしたのだが、
鈍い痛みが走り後ろに飛びのく。何があったのかと確認すると、貫頭衣から出てた足が焼けている。
よく見ても何もないので、おそらく日の光が原因だろう。
「そうなると、出歩くのもままならない。」
夜を待つ手もあるが、この状態では厳しい。
そう考えていると日の向きが変わったのか、こちらに日が差してくる。
慌てて飛びのいたが、日の当たった部分が焼けることはなかった。
理由を考えてみたがこの黒いマントのおかげなのかもしれない。
「このマントをつけながらなら、外に出れる?」
期待を込めて、袖に隠した腕をそっと出す。痛みはなく戻してみても焼けていない。
「これで、外に出れる。」
そう呟いて目覚めた洞窟を後にした。
処女作ですのでどうかご容赦ください




