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心理学は正しいのか?  作者: シンリーベクトル


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7/22

トロッコ問題を語ってみようか

──「どうにもならない予測」が人を疲弊させる


トロッコ問題が疲れる理由


──「どうにもならない予測」が人を蝕む


トロッコ問題という思考実験がある。


暴走するトロッコ。

分岐を切り替えなければ5人が死ぬ。

切り替えれば1人が死ぬ。


どちらを選ぶべきか。

倫理や道徳の議論として、長く語られてきた問題だ。


だが、この問題の本質は

**「正解があるかどうか」**ではない。


むしろ逆だ。



トロッコ問題には「どうやっても後味が悪い」しかない


冷静に見ると、トロッコ問題には次の特徴がある。

• どちらを選んでも犠牲が出る

• 行動しても、しなくても責任が残る

• 結果は取り消せない

• あとから正解を証明する方法がない


つまりこれは

構造的に「どうにもならない」状況を

人為的に作った思考実験だ。



実は「知らなかった場合」も結果は同じ


ここで一つ、重要な視点がある。


もしこの状況を

そもそも知らなかったとしたらどうなるか。

• トロッコは走る

• 誰かは死ぬ

• 結果は変わらない


物理的な結末は同じだ。


違いがあるのは、結果ではなく

脳内で発生する負荷と罪悪感だけだ。



知った瞬間に、予測が止まらなくなる


トロッコ問題を「知る」と、人はこうなる。

• どちらを選べばよかったかを考え続ける

• 別の選択肢はなかったかと反実仮想をする

• 自分が悪かったのではないかと責任を引き受ける


これはすべて

未来も過去も変えられないのに、予測だけが走り続けている状態だ。


サイサイセオリー的に言えば、

これは セフティ(安全・危険予測)ベクトルが解除されない状態である。



「どうにもならない予測」を持ち続けると、セフティは疲労する


本来セフティは、

• 危険を察知する

• 行動で回避する

• 結果を更新して落ち着く


というサイクルで動く。


ところがトロッコ問題のように、

• 回避できない

• 行動しても改善しない

• 更新もできない


状況では、


予測だけが宙ぶらりんで残る。


この状態が長引くと、

• 常に警戒が抜けない

• 脳が「まだ何か考えるべきだ」と勘違いする

• セフティが休まらない


結果として起きるのが、慢性疲労と不安だ。



悪質な睡眠は、ここから始まる


セフティが疲労したまま眠りに入ると、何が起きるか。

• 寝ているのに頭が回る

• 夢の中でも判断をしている

• 夜中に目が覚める

• 起きても回復していない


これは単なる睡眠不足ではない。


**「予測を抱えたまま眠っている状態」**だ。


身体は休んでいても、

脳の警戒装置は解除されていない。


これが、体を静かに蝕む

悪質な睡眠の正体の成分の一つだ。



必要なのは「考え続けること」ではない


ここで重要なのは、


「深く考えれば救われる」

「答えを出さなければ前に進めない」

「第三の選択肢は無いのか?」


という発想そのものだ。


トロッコ問題が示しているのは、むしろ逆。



「どうにもならない」と認知させるのは、思考の終了宣言


考えられるだけ考え、

介入可能性を検討し、

それでも変えられないと分かったなら


そこで予測を止める必要がある。


これは思考放棄ではない。

逃げでもない。


思考を最後まで使い切った結果としての終了処理だ。



トロッコ問題は、倫理問題ではなく「疲労の教材」


トロッコ問題を何度も考えてしまう人ほど、

現実でも

• どうにもならない未来を考え続け

• 過去の選択を反芻し

• セフティを休ませられない


傾向があるのでは?


トロッコ問題は、

正しさを競う問題ではない。


「どこで予測を止めるべきか」を学ぶ教材だ。

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