ドア系心理学
ドア・イン・ザ・フェイスは、本当に「ドア」だから効くのか?
フット・イン・ザ・ドア、
ドア・イン・ザ・フェイス。
いずれも心理学では定番のテクニックとして紹介される。
小さなお願いを先に通すと次が通りやすくなる。
大きなお願いを断らせると、次を受けやすくなる。
だが、ここで一つ素朴な疑問がある。
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本当に効いているのは「構造」だろうか?
これらの説明では、
• 一貫性
• 自己知覚
• 互恵性
といった認知的要因が持ち出される。
だが実感としては、
それ以前に、もっと単純な要因が効いている気がする。
それは、
同じ人から、連続して話しかけられている
という事実だ。
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仮説:お願いが二つ続くだけで、人は受け入れやすくなる
ここで仮説を立ててみる。
人は、
・小→大
・大→小
といった「ドア構造」でなくても、
同じ人から別のお願いを二つされるだけで、
かなりの確率で受け入れてしまうのではないか。
もしこれが正しければ、
ドア系心理学で語られている効果の一部は、
要求の形
ではなく
関係が一度立ち上がったこと自体
によって説明できる。
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何が起きているのか
一度お願いに応対した時点で、
• 会話が始まる
• 役割(対応する人)に入る
• 「無関係な他人」ではなくなる
という変化が起きる。
この状態で二つ目のお願いが来ると、
• 今さら無視しにくい
• 途中で切ると角が立つ
• 断る理由を用意しなければならない
こうした負荷が一気に立ち上がる。
これは判断の問題というより、
関係から降りるコストの問題に近い。
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ドア構造は、あとから見えるだけかもしれない
フット・イン・ザ・ドアや
ドア・イン・ザ・フェイスは、
たしかに「分かりやすい形」をしている。
だがそれは、
効いた理由
ではなく
効いた“見た目”
を整理しているだけかもしれない。
現実には、
• 小さなお願い
• 大きなお願い
• 全然関係ないお願い
であっても、
同じ人とのやり取りが続いた
という一点だけで、
受諾率はすでに上がっている可能性がある。
そもそも同じ人が同じお願いをすれば一貫性を保つ為に断られることが多いので大小だけで語るのは疑問が残る
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もし検証するなら
仮にこれを検証するなら、
見るべきは「ドアの形」ではない。
• 同一人物かどうか
• 関係が継続しているか
• 途中で降りられる余地があるか
ここを切り分ける必要がある。
もし、
同じ人から無関係なお願いを二つされる条件
と
ドア系テクニック
で受諾率が大きく変わらないなら、
ドア系心理学は
独立した効果とは言いにくくなる。
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まとめ
• ドア系心理学は有名だが、説明は十分だろうか
• 本当に効いているのは「お願いの形」かもしれない
• だがそれ以上に、
同じ人との関係が一度続いたことが効いている可能性がある
• ドア構造は、関係継続効果の一つの表れに過ぎないかもしれない
心理学のテクニックは、
しばしば「なぜ抜けられないか」を説明しない。
だが現実で人が困るのは、
判断を間違えることより、関係から降りられないことだ。
もしそこを見ないままなら、
ドアはいくら分析しても、
開いた理由も閉じた理由も見えないままだろう。




