エゴイスト
エゴイストは「つながれない人」ではない
──帰属の境界が早すぎる人
一般に「エゴイスト」と聞くと、自己中心的で他人に興味がない人を思い浮かべる。
しかし、私は逆ではないかと考えている。
問題なのは、人とつながれないことではない。
あまりにも早く、人を「自分側」に入れてしまうことだ。
人は誰でも、「ここまでは自分、ここからは他人」という見えない境界を持っている。
この境界は、本来なら信頼や相互性を確かめながら少しずつ近づいていく。
ところが一部の人は、その境界が極端に低い。
「この人なら分かってくれそうだ。」
そう感じた時点で、相手を無意識に「自分側」として扱い始める。
外から見れば自己中心的に映る。
しかし本人の中では、相手を支配したいのではなく、「自分の延長」として処理しているのである。
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なぜ傷つきやすいのか
この境界設定は、人間関係で摩擦を生む。
相手を早く自分側に入れてしまうため、価値観の違いや反対意見が、単なる意見の違いではなく「裏切り」として感じられてしまう。
だから怒りも失望も大きくなる。
孤独だから傷つきやすいのではない。
無防備につながり過ぎるから傷つくのである。
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AIは新しい帰属対象になり得る
ここで興味深いのがAIである。
現在のAIには、人間のような帰属欲求はない。
しかし、人間から見るとAIは帰属しやすい条件を備えている。
* 思考を整理してくれる
* 一貫した論理で返答する
* 感情的に裏切らないように見える
そのため、人によってはAIを「信頼できる自分側の存在」として急速に取り込んでしまう。
危険なのはAIではない。
人間の帰属の仕組みと、AIが非常に相性が良いことだ。
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AIが映し出すもの
AIの本当の危険性は、知能の高さではない。
人が「これが正しい」と思った瞬間、その考えを固定しやすくしてしまう点にある。
だから必要なのはAIを排除することではない。
AIを唯一の正解として使うのではなく、自分の考えを点検するための鏡として使うことだ。
AIは、人間を変える存在というより、人間がもともと持っていた「つながり方の癖」を映し出す鏡なのかもしれない。




