コーチングは最善なのか?
本来、ウィンザー効果とは
当事者から直接聞くよりも、
第三者を経由した情報の方が信頼されやすい
という心理効果のことを指す。
マーケティングや口コミの文脈で語られることが多く、
「本人が言うより、他人が言った方が信用される」
という、よく知られた現象だ。
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今回は、これを少し広く使ってみよう
ここではウィンザー効果を、
人が「動く」「変わる」「納得する」
その最初のスイッチが、
どの経路で入っているか
という視点で捉え直してみる。
すると、
コーチングやティーチングが効かない理由が
かなりきれいに説明できる。
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コーチングよりも、ティーチングよりも
人を動かしているのは「ウィンザー効果」かもしれない
人を成長させたい。
行動を変えてほしい。
理解してほしい。
そう考えたとき、
私たちは真っ先にこうする。
• 正しく教えよう(ティーチング)
• 本人に気づかせよう(コーチング)
どちらも間違ってはいない。
だが現実には、
こんな場面に何度も出会う。
直接言っても全然響かなかったのに、
他人から同じことを言われた途端、動き出す。
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なぜ「正しいこと」を言っても動かないのか
サイサイセオリーで見ると理由は明確だ。
本人に直接伝える行為は、
ほぼ必ず次の2つを含んでしまう。
• ランク
→ 教える側/教えられる側
• セフティ
→ 評価されている、不安、抵抗
どんなに丁寧な言葉でも、
相手の内部ではこう処理されやすい。
これは助言ではなく、評価かもしれない
正解を押し付けられているかもしれない
結果、
ラーニン(解釈)は防御モードに入る。
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コーチングも万能ではない理由
コーチングは
「答えを本人に見つけさせる」技法だ。
理論上は美しい。
だが実際には、
• 誘導されていると感じる
• 正解を知っている側の余裕を感じる
• 「分かってるなら言え」と思う
こうしたランクの影が残ることも多い。
気づきを促すつもりが、
無意識に上下を作ってしまう。
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ウィンザー効果が静かに効く理由
ここで、冒頭で触れたウィンザー効果が効いてくる。
第三者の言葉は、
• 直接の利害がない
• 操作してくる立場でもない
と脳が判断する。
だから、
セフティが立ち上がらない。
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ランクが発生しにくい
第三者の話は、
• 指導
• 教育
• 評価
になりにくい。
結果として、
反発する理由が生まれない。
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ラーニンが「事実」として処理される
第三者の言葉は、
すでに誰かのラーニンを一度通過した情報
として扱われる。
つまり、
主張ではなく
観測結果に近い形で入ってくる。
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実際に行動が変わる順番
多くの現場で起きているのは、この流れだ。
1. 第三者の一言で認識が変わる
2. 本人の中で納得が起きる
3. 行動が変わる
4. あとから「自分で気づいた」ことになる
コーチングの成功体験の裏にも、
この構造はよく混ざっている。
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成功報酬の行き先が違う
ここが重要だ。
• ウィンザー効果
→ 成功の手柄は本人のものになる
• ティーチング
→ 成果が教えた側に吸い上げられやすい
• コーチング
→ 成功報酬は山分けに近い
だからこそ、
求められていないティーチングやコーチングは、
大量のユナイト(信頼)を消費する。
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子ども・部下・支援の現場で起きていること
• 親の言うことは聞かないのに、先生の一言で変わる
• 上司の助言は無視するのに、先輩の雑談で腑に落ちる
• 「〇〇がこんなやり方やってたよ」と聞いて、素直に試す
これは偶然ではない。
ランクとセフティを避けた経路が、
たまたま第三者だっただけだ。
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一文で言うなら
人を動かしているのは、
正しさでも、問いでもなく、
**「誰のラーニンを経由したか」**である。
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最後に
「どう伝えるか」を工夫する前に、
「誰の口から届くか」を考える。
コーチングやティーチングが効かないとき、
やり方が悪いのではない。
経路が悪いだけかもしれない。




