第1話 ブラックシャウト
今日はきっと最高の日になる。
私がそう呟き続けて一体いくつの月を見たのだろう。
孤独に旅をし、人類にあったのはもう何億年も前のことだ。
木々も、動物も、人類のことなど記憶にない。
ただ一人、彼のことだけを覚えていたらそれでいいのだ。
ガタンゴトン
「ここもとっても綺麗なところだな」
僕はゼン。旅が好きなただの一般人だ。
今日はフランスの端にとある村に来ている。
生まれつき病弱なせいで外を歩けなかったからか、その反動でめっちゃ旅をしている。
「おっと」
少し足がふらついてしまった。まだ病弱だったころの名残が残ってるな。
これは百薬の長で治さなければ。ここの酒はとてもおいしいと聞くし、楽しみだ。
僕は荷物を宿に置いて観光をしにいった。
「夜になると活気がすごいな」
もう夜の10時だというのにまだ街は明るい。
そんな明るいところから少し外れた細道の奥に、その店があった。
カランカラン
僕はその店に入ると、促されるまま席についた。
なんか黒いフードを被った人が二、三人いるな。なんかの祭りかな?外も明るかったし。
そう心の中で呟きながら僕は注文することにする。
「ここら一体で有名な“ブラックシャウト”をロックで」
今のはなかなか通な注文の仕方だったんじゃない?もしかしなくてもめっちゃかっこよかったと思う。まあ調べてきただけなんだけど。
「こちら、ブラックシャウトです」
僕は軽く会釈をしながらブラックシャウトを見てみる。
真っ白?なんの濁りもないくらい真っ白なんだけど、名前負けしてない?
一口飲んでみる。美味い。流石ここら一帯で有名な酒、名前負けしているくらいしか文句のつけようがない。
美味しいな、もう一口、もう一口と飲んでグラスが空になった時、
僕の視界は白で染まった。
最後に見た景色は、黒いフードの人達が近づいてくる姿だった。




