第206話
【エリシア視点】
ベレンリッヒ城塞と呼ばれる巨大建造物は全て、この北地に転移したプレイヤーイチホさんが錬金術師系統の魔法で生成した物だった。
「元はハウジング系の生産職だったんですけどねぇ。
なんとか防衛設備とか色々作って撃退してきたんですよぉ」
「いやいや、あの規模の分解効果はおかしいでしょ・・・
町の建物丸ごと第一元素に変えるなんて・・・」
「あー。そこは私の能力って所ですかねぇ。地属性特化なので鉱物系に限ればぁ第一元素に分解する難易度は下がるんですよぉ」
「なるほど。不自然に死体が着用してた一部の装備が綺麗だったのもそれが原因だったか」
そう言えば死体が着ていた服や革装備は無事だったな・・・
「それで、ジャンバラさんはどうしてここに?」
「いやぁ。実はこの北地に大規模な魔法鉱物の鉱床があるって聞いて、販路を広げるツテの代わりにプレイヤーを一人ここに連れてくることを頼まれてさ。
そしたら戦争の真っただ中で巻き込まれて身動きができなかったんだよ」
「もふもふさんのおかげで私達も助かりましたよぉ。ちゃんと鉱物も納入するので、頑張ってください」
「とまぁ。こんな感じで、目当ての鉱物は手に入るんだけど海に出たら聖域のプレイヤーに襲われて出られないんだよね。
連中、航路に戦艦とか浮かべて海路封鎖を始めたし、迂回するとなると北地を横断の上で東大陸まで横断か迂回して世界一周をしないといけないレベルでさ。鉱物は重いから機動力の差で僕も動けなかったんだよね」
「うへぇ・・・」
「そういやあの鉄球女は?」
「あぁ。オニキスさんならぁ・・・」
イチホさんが指差す先には・・・首に「猛犬注意」と書かれた板をぶら下げてコンクリ床の上で正座させられてる人が・・・
「罰として正座させてます」
「正座・・・」
あ、ちょっとぷるぷる震えてる。
「シャチョー・・・タスケテ・・・」
「あと1時間正座ですぅ。喧嘩売ったのはこっちなんですからぁ」
「ソンナァ・・・」
あ、泣いた
「レベル100でも正座が効くんだ」
「地味に嫌な罰やな・・・」
「さぁ、司令部はこっちですよぉ」
イチホさんの案内で進むと、かなり大きな部屋に出た。ここが司令部らしい
他の巨人やドワーフよりも強そうだったり賢そうな人たちが大きなテーブルに広がってる地図と駒を使って作戦会議をしてるのが見える。
ただ、家具の規格が巨人用だから滅茶苦茶家具の背が高い
「あ、脚立ありますよ」
ドワーフ達は脚立や梯子を使って作戦会議に参加してるので、私達もそれに倣って脚立を椅子代わりにして参加。
私達が軽く自己紹介をした後、巨人族とドワーフ族の代表も自己紹介をしてくれた
「雷の氏族の長。雷鳴のエフライムだ」
自己紹介中にイチホさんの≪通信≫でこっそり教えてもらったが、巨人族には成人の時に苗字の代わりに肩書のような物を持つのが伝統らしい。
エフライムと名乗る巨人は茶色い髪を後ろで纏め、濃い口髭と顎鬚、そして着こんでいる毛皮の鎧には稲妻模様が目立つ装飾の金具がある壮年の男性。
背中には青白く発光している刃の両手斧が背負ってるのが見えた
「氷柱の氏族の長。雪崩のルインディ」
ルインディと名乗る巨人は長く伸ばした白い髪で顔の左半分も前髪で隠してる女性の巨人。エフライムと比べるとかなり若く見える。見た感じ20代後半かな?
着ている衣服も毛皮の鎧だが装飾として使われている金具は雪の結晶を思わせる形状をしていて、背中には静かに冷気を放つでっかい戦槌を背負ってる
「灯の氏族の長。白夜のニキータじゃ。よろしくのぉ南からの客人達よ」
ニキータと名乗る巨人はかなりの老齢に見える巨人でスキンヘッドの頭は古傷が目立ち、顔も無数の皺と傷痕が目立つ歴戦の老戦士って印象を受ける
毛皮の鎧の装飾は炎をイメージしたようなデザインの金具で、背中に双剣を背負っている
この3人が巨人族の代表らしい
そして、続いてドワーフの代表の自己紹介に進んだ
「ドワーフの千人長ダリウスだ。北の領地で呪いに侵された同胞が迷惑をかけた」
ダリウスと名乗る男は茶色い髪と茶色の小さな口髭と長い顎鬚が特徴のドワーフ。
千人長というのはどうやら名前の通り千人の部隊を率いる大隊長らしい。
「ライヘンベルグと申します。まだ髭の生えそろわぬ若造ですが、同胞の解放に微力を尽くしたいと思っています」
丁寧な口調でそう自己紹介するライヘンベルグはドワーフには珍しく髭が無く、かなり若い見た目の男性でちょっと細身に見えるドワーフ。
人間の年齢換算だとなんとまだ14歳だそうだが、なんでも頭がとても良くて聖域がばら撒く呪いの金貨の危険性を見抜き、周囲を説得して脱出に大きく貢献した若き研究者らしい
「ヘルトル家のニコラス・ラウラ・ヘルトルであります!
ドワーフを代表して協力に感謝しているであります!」
妙に畏まっているのか何なのか、ニコラスと名乗るドワーフは女流貴族らしく、亡命したのは彼女を中心とした派閥貴族領の領民たちだそうで、とりあえず力関係的に彼女が代表らしい。
明るい茶髪に赤い軍装っぽい恰好をしており、腰にはサーベルをさらに短くしたような剣を下げていた。
どうやら代々武門の家系らしく女流なのも男が戦場に出てよく死んじゃうからだと・・・なるほど
≪蜜蝋の壁≫
種別:召喚魔法、ジャコウのオリジナル
制限:不明
射程:1~10m
形状:遮蔽
蜜蝋で形成した壁を召喚して遮蔽物とする魔法でジャコウが転移後に開発したオリジナル魔法
ジャコウが転移後に巻き込まれた戦争時、味方を守る簡易的な防壁を召喚するために開発した防御用召喚魔法。
蜜蝋で出来ているため強度はあまり高く無いが召喚できる速度や形状の自由度は石壁召喚よりも高く、魔力消費量も少ない。
主目的は防御用だが、柔らかく脆いのを利用してクッション材にしたり、即席の足場にしたりと自己開発した特権で自由度を高く設定している
時々ハチミツ入りが出てくる時がある




