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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第三章 魔の歴史
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25 檻の中のリヴエッティ

 辺りが暗くなり、周りが見えなくなってきた頃、大男達のアジトに着いたようだった。そこはガーゴ村のように、地面が盛り上がった場所の中にあり、同じような造りとなっていた。違うのは檻のような大きなカマクラがあり、リヴィア達は全員そこに入れられてしまったのだった。


 キィ……ガシャン


「へっへっへっ、そこで大人しくしてるんだなっ」

「ちょ、ちょっと! 待ちなさいよっ! くっ、開けろォォォっ!」


 ガチャンガチャンと入り口を引っ張るリヴィア。


「落ち着いて! 今はチャンスを待ちましょう」

「に、ニコ姉……」

「しィかし、嬢ちゃんの迫真の演技は完璧だったなァ、お前さん、実はその筋のもんなのかァ?」

「え……演技?」


 ニコレットがリヴィアを優しく止める中、ヴァルがククク……と笑いながら、そんな事を言う。


「あァ? 違ぇのか? 俺ァてっきり敵を騙すための演技だと思ってたぜェ?」

「ど、どういう事?」


 何が何だか分からなくなるリヴィアであった。ニコレットはいつも通り落ち着いているし、ヴァルに関しては感心したような表情でリヴィアを見ている。


「レッドなら大丈夫よ? きっと助けに来るから待っていましょう」

「ニコ姉……でも……」

「アイツァ、わざと谷底に落ちるようにしてたしなァ」

「? わざと?」


 どうやらリヴィアが気を取られてる間に、レッドは大男のパンチをわざと受け止め、勢いを殺すように後方へとジャンプし、谷底へと消えたのだという。


「つまり……レッドは生きている……?」

「嬢ちゃん? アイツァあの魔王っつう化け物の攻撃を受けてたじゃあねェか。流石にあんなパンチでやられねェだろ?」


 ヴァルにしてはまともな事を言う。


「ええ、それにあの場面では下手に手を出したら、誰かが殺されていたかもしれないから、最善の策だと思うわ」

「ニコ姉……。分かった。助けを待ちましょう。早くここから出て、ミロ達を救わなきゃ!」



「アノ……でしたら先ず、私を助けて頂けないでしょうか?」


 白い糸にグルグル巻にされたままの緑のカッパ巻が切なさそうに、いや切実にお願いをしていた。ニコレットやヴァルがあっ、忘れてた! という表情でカッパ巻の解剖を始める。


「こんな所でグズグズしてられない……。レッド……早く助けに来なさいよっ!」


 リヴィアが若干怒ったように扉を引っ張り、ガゴンッという音と共に壁から扉が外れる。ーーあっ! という表情で素早く元に戻すリヴィア。ソローっとニコレット達を見ると、解剖に手間取っているのか、こちらには気付いていなかった。


 割とグズグズしているのは、この娘なのかもしれない。



 ______________________



 しばらくしてやっとカッパ巻のネタが出てくる。


「タ、タスカリマシタ。あの糸は恐らくこの時代の蜘蛛から採取した物と思われます。非常に強力な糸デスね」

「そうみたいね、あんまりにも(ほど)けないから諦めるところだったわ」


 ニコレットの言葉にバイザーを青くするカッパのネタ。正直このメンツの中で一番まともなのはニコレットであると判断しているので、諦められたら終わる所であった。


「ったく、お前さん生体兵器なんだろ? 自分で何とかできねェのかい?」


 痛い所を突かれるカッパネタ。


「エ、エエ。そうなんですが、如何せん王国での一件でパワーは殆ど使い果たしましたので、バッテリー残量が少ないんデスよね……アハハ」

「えっ? バッテリー? ど、どうするの? 死ぬの?」


 生体兵器に詳しくないリヴィアは動転する。バッテリー=生命だと思っているらしい。


「イエ、死ぬわけではありません。ただ、高速移動や強力な攻撃などが出来ないだけなのデス」


 ホッと安心するリヴィア。その後、簡単に生体兵器の講義をうける。バッテリー自体は太陽を浴びていれば溜まっていくようだが、王国にあった家の様な大掛かりな物でないと充電には時間が掛かること。


 また、寿命自体は限りなくないに等しく。メンテナンスさえしていれば動き続けられること、完全にエネルギーがなくなっても光さえ浴びることが出来れば復活するという事だった。


「ふ〜ん、知らなかったわ」

「生体兵器ハ、過去に造られた遺物デス。ですので、個体数はかなり少ないのデスよ」

「えっ? じゃああの襲ってきた黒い生体兵器達は何だったの?」

「……ワカリマセン、()()()()()()()()の機体がいました。何故いたのか……私にも分からないのデス」


 緑の生体兵器は少し悲しげなトーンの機械音声で喋る。きっとこの生体兵器にも何か過去にあったのだろうとリヴィアは思った。


「おおいっ! 元気にしてるかぁー?」

「この声は……」


 その声は如何にも酒でもかっくらって、部下に偉そうにしゃべり続けるよっぱらった上司が、隅っこでちびちびと当たり障りないように頑張っている獲物を見つけた時の様な声だった。


 まぁ世紀末のよっぱらい上司の大男が下卑な目線で檻の扉からこっちを覗いていた。


「何よっ! アンタには用はないのっ! アッチに行ってなさい!」


 リヴィアはそっぽを向きながら、手でシッシッと大男を邪魔者のように扱う。


「ハッハァー、ねェちゃんマジで大した根性してやがるじゃねぇか。まるで立場が分かってねぇみてぇだなぁ?」


 その声は完全に立場が上であると誇示するような喋り方であった。さすがのリヴィアも悪寒が走る。大男は続けて喋る。


「いいか? お前らはオレ様の奴隷だ。奴隷がどんな立場か分からねぇ訳じゃねぇよな」


 リヴィアは一応は理解している。しかし、実際に見た事がないので想像でしか今は出来なかった。


「な、何をするのよっ!」

「へへっ、ほぉら。見えるか?」


 そう言って大男は扉から離れて、外の檻の外の景色を見せる。すると、急に遠くで悲鳴や怒声が聞こえてくる。その声の方を見ると、女の獣人を引きずるように、襲ってきた男の獣人達が部屋へと押し込んでいた。


「へっへっへっ、お前らもアアなるのさ。今はまだ襲われるかもしれねぇからな、もっと時間を掛けて弱った所で楽しませてもらうぜ……ダーハッハッハッ!」


 リヴィアはその光景に息を詰まらせ、口を塞ぎ、押し込まれていく女の獣人の泣き叫ぶ顔を見て、目を逸らす。あまりにも酷い仕打ちだ。


 リヴィアの姿を見て満足したのか、大男は笑いながら離れていく。響く大男の下卑な笑い声が、リヴィアの耳にこびり付き、瞼の裏に泣き叫ぶ女の獣人の顔が焼き付いて離れない。


 ニコレットはそんなリヴィアを抱きしめる。「大丈夫、大丈夫よ」と優しくリヴィアを宥めるのだった。


 さすがのヴァルの胸糞悪いと舌打ちをして、ハットを深く被って壁際に座り込む。緑の生体兵器は悪事を前に何も出来なくて歯痒いのだろう、バイザーの目の色が真っ赤に光っている。


 ただでさえ、ダールの事でいっぱいいっぱいであるのに、こんな事に巻き込まれるなんて……とリヴィア達は思うのだった。どうにかして、早くここを脱出せねばと悩むリヴィア。


「太陽……。! ちょっと、アンタ太陽があれば充電出来るって言ってたわよね?」

「エ? あ、はい、そうデスが……」


 それを聞いて、リヴィアがブレスレットの一部を外してレッドバイザーに渡す。


「これ! 試してみてっ!」

「ナルホド。確かにコレなら……」


 そう言って、緑の生体兵器は胸のバッテリーパックを外して、リヴィアから受け取った魔石の一部を取り込む。するとグングンとバッテリーが充電されていく。


「コレなら、しばらくしたらイイ感じに充電が貯まると思います」

「よし、貯まったら脱出してアイツらボコボコにしてやるわよっ!」



 こうして、リヴィア達は脱出に向けて準備をするのだった。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

遂に来るか、ヒーローの出番がっ!


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