19 now
バサッバサッバサッ……
グオオオオオッ
「「……」」
目の前にゆっくりと着地するレッド。リヴィア達が背中に乗っていなければ、間違いなく逃げ出していたヤンナとムンガジ。何が起きてこうなったのか全く理解出来ていないようで、パクパクと口を動かしているだけだ。
ヴァルはもう「またトラブルかよ……」っという表情で見上げていた。
「ちょっとっ! ヴァル! この私に銃を向けるなんていい度胸じゃないのよっ!」
プンスカプンとリヴィアが第一声を上げる。レッドの背中にはリヴィア、ニコレット、キアラ、緑、ミロの四人と一体が乗っかっていた。
「わりィな、嬢ちゃん。だがよォ、ドラゴンに乗っかってくるなんて思わねェだろ普通……」
相変わらず、ヴァルがふてぶてしく、そして怠そうに答える。さらに背中に乗っているミロを見て、目をひん剥いているヤンナとムンガジ。リヴィア達ならまだしも、ミロが乗っていることに驚く。
「ヤンナっ、ムンガジっ! ダールはっ? ダールはどこっ!?」
焦った様に声を荒らげるミロ。ここに来るまでの過程で大体の話を聞いているので、今すぐダールを引き止めたいミロ。
ヤンナとムンガジもミロの声に気を取り直し、湖の火口へと指を向ける。
「ダールの野郎はもうあっちへ行ってるはずだ! 俺達もヤツを止めに来たんだが追いつけなかったんだ!」
「そ、そんなっ!」
口を両手で押さえ、目が動揺するミロ。だがリヴィアはこんな所では止まらない。
「分かったわ! アンタ達も乗りなさいっ! 一気に向こうまで行くわよっ!」
「え! お、俺達もかっ!?」
ヤンナとムンガジはまさか俺達まで乗るのっ? という表情だ。
「乗りなさい……今! すぐっ!」
「「は、はいっ!」」
凄むリヴィアの顎が空を切り裂く、二人は逆らえなかった。本能がそう囁いていた。そんな二人を見て、ヴァルもヤレヤレ、うちのお嬢ちゃんは……と諦めていた。
「り、リヴィア……」
「まだよっ!……まだ終わってない!」
ミロがリヴィアの行動力に驚いているが、リヴィアだって何度も立ち止まった。その度にラリィに助けられた。今度は自分の番なのだと言い聞かせるように叫ぶ。
「……止めるんでしょ? アナタが」
「……うんっ! 私がダールのバカを止めに行くわっ!」
ミロもリヴィアの言葉に勇気をもらい、そして立ち上がる。その姿にニコレットもキアラも笑顔で見ているのであった。ちょうど、緑の力持ちがヴァル達三人を乗せ終わる。
「キアラ! お願い!」
「まっかせて〜! 行こうジハードちゃん! 目指すは封印の神殿だよっ!」
グオオオオオッ
「「「ジハード……ちゃん?」」」
キアラの号令に合わせて飛び上がるジハード。新たな搭乗者の三人がレッドの名前に驚きつつ、初めての空を体験する。ここまでの経緯は緑の解体新書が説明するのだった。
レッドと呼んでいた竜の本当の名前はジハードちゃんであったこと。
火口の底には危険な封印をした神殿がある事。
村はジハードちゃんによって救われ、村の住人は無事てあること。
あとは待遇の改善案を提出済みである事など……。
(待ってなさいよダール! 今止めに行くからっ!)
進む先にある火口を見つめ、ミロの表情が強く、そして確かな希望を胸に進むのであった。
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火口の中を降りていくダール。手が異様に巨大化し、爪が腕と同じ長さとなっている。それは獣人特有の能力で『原獣化』という。身体に流れる原始の血を呼び起こす事で、身体の一部や全体などを強化することが出来るのだ。
その強力な爪を使って、ガリガリと壁を削りながら落ちるスピードを調整しつつ、底へと降りていく。
「ここに奴が守る何かがある……」
火口の底を見つめつつ、ダールは右手と右足の爪を器用に使っている。左手はいつでも使えるように、保険として残しているようだ。
ダールの眼には黒く濁った炎を宿していた。復讐の炎。その炎はレッドへの復讐を燃料に轟々と燃え盛り、心を支配していた。
(今度は俺が全てを奪うーー)
火口の底へと辿り着いたダール。見渡して何かないか探している。そこは真っ黒に固まった溶岩石でゴツゴツしており、そして暑い。
ダールの身体から汗が吹き出るがそんなことを気にしてなどいられない。
(ガーゴさん、村の皆……待っててくれ。俺が必ず奴を殺す)
するとーーーー
ダールの身体に異変が起こる。
(なんだ? 誰かが呼んでいるような……)
感覚としか言えないが、風もないのに背中を押される感覚、または身体の力を抜けば勝手に進んでしまうような、そんな感覚がダールを襲う。
(こっちに何かある……誰だ? 俺を呼ぶのは……)
フラフラと進む先には穴が開いていた。そこは封印の神殿へと続く道。洞窟の奥では何かが明滅しており、その光に誘われるようにダールは穴の中へと進んでいく。
大人が二人通れるような大きさの穴を通り抜けると、そこには祭壇があった。周りの岩とは全く異なる材質。白く、そして荘厳な形をしていた。
(……なんだ? ここは……?)
恐る恐る進んでいくと、祭壇の中央に明滅している何かを見つける。
「こ、これは……!」
そこにあったのは紫色に輝く珠であった。竜の爪のような台座にがっちりとはまっており、近付くとその明滅はゆったりと、そしてダールを誘うようにテンポを緩める。
ヴゥゥン……ヴゥゥン……
そんな音が光に合わせて珠から聞こえてくる。
「そうか……コイツが……ハハハ……見てろよ。俺がお前を……」
ダールの眼も心も、既に闇に絡め取られていたのだった。
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