17 断固、要求しますっ!
リヴィア達が駆けつけた時、ダールやヴァル達の姿はなかった。
「アイツらこんな時にどこへ行ったのよっ!」
リヴィアが声を荒らげるが、目の前の悲惨な状況に手も足も出ない。
「こんな時、魔法が使えたら……」
ニコレットが辛い表情で炎を見つめる。リヴィアの初級魔法程度では、この規模の炎は消せない。
「ううう……」
ミロも涙を流して俯く。
するとーーーー
グオオオオオッ
「! レッド!」
大きな咆哮を上げ、レッドが村の上に滞空する。そして、翼を大きく広げる。
「……な、何を」
「これは……みんなっ! 木にしがみつくのよっ!」
ミロが呆然と呟く中、ニコレットが叫ぶ。リヴィアもミロもニコレットに従って近くの木にしがみついた。するといきなり突風が吹き荒れる。
ブオォォン、ブォォォォォン
「「きゃぁぁぁぁぁあ!」」
「しっかりーーーー、離さないでっーーーー!」
足が宙に浮かび、身体ごと突風に流されそうになる。その突風はレッドの大きな翼により巻き起こされたものであった。
「くうううう、どうなってるのよーーー!」
「きゃぁぁぁ」
リヴィアが叫ぶが風はまだ収まらない。ビュンビュンと風が駆け抜けていく。
「こ、これは……」
ニコレットは飛ばされそうになりながらも、この突風が起こす奇跡を目にしていた。
「! アレはっ!」
「!!!」
リヴィアもミロも目にする。炎が突風によって消えていくのだ。燃え移る事すら許さない強力な突風は、燃え盛る炎を次々と消し去っていく。
黒く焼け焦げた後だけが残された時、レッドは翼を止め、突風を巻き起こすのを止めた。
リヴィア達も解放され、滞空するレッドを見上げながら様子を窺っていた。
するとーーーー
「…………ーーーーぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”」
ヒュゥゥゥウウウ……ドオオオオン
叫び声と共に、地面に落下するものがあった。
驚くリヴィア達。
地面に深くめり込んでいるため、近付かないと何が落ちてきたのか確認出来ないでいると。
「お”あ”あ”っ!」
ガバりと地面から起き上がる。ビクッと後退するリヴィア達。
しかし、その姿はどこかで見たことが……あっ! とリヴィアとニコレットが声を上げる。
「「変な人っ」」
「人違いデスっ!」
首をグルンと回して即座に突っ込む緑の落下物。ミロは見たことも無い物が目の前で喋っている事に驚き、口をパクパクさせていた。
「いゃあ〜、忘れてたよっ! 生きてて良かった!」
「忘れられてて残念デスよっ!」
リヴィアはあっちゃ〜めんごめんごっ、という表情で謝るが、バイザーを真っ赤にして怒りを表す緑の落下物。
「えっと、あの……」
「あ、ごめんねっ、コイツも私らの仲間なのっ! えっと名前は……」
バサッバサッ……
レッドがリヴィア達の近くへと着陸してくるようだった。身構えるリヴィア達だったが、遠くから声が聞こえる。
「お姉ちゃ〜〜ん、お姉ちゃ〜〜〜ん!」
「! えっ、ウソっ! キアラっ? キアラなの!?」
レッドの鼻先におーいっ! と手を振るキアラが見えた。状況が掴めず固まるミロだが、目の前にレッドが降りてくるので緊張している。
「お姉ちゃん!」
レッドがゆっくりと着地し、身体を倒して顔を地面に寄せる。キアラはぴょんと飛び降りて、リヴィアとニコレットに走り出す。
「キアラーーっ」
「キアラちゃんっ!」
リヴィアもニコレットも涙を浮かべてキアラを抱きしめる。抱き合う三人を見て、ミロが仲間と会えて良かったと心から思う反面、すぐそばにいるレッドが気になって仕方がなかった。
「キアラ、無事で良かった!」
「うんっ! ジハードちゃんにね、一緒に探してもらってたんだよ?」
「「ジハード……ちゃん?」」
目が点になるリヴィアとニコレット。
ガルルッ
ビックゥゥ! とするリヴィア、ニコレット、ミロの三人。
「そうっ! ジハードちゃん!」
キアラはとても素敵で可愛らしい笑顔で紹介する。ジハードも身体を持ち上げ、腰に手を当てて胸を張っていた。冷や汗が止まらないリヴィア達三人であった。
「えっと、じゃあ私達を探してたら、この村が燃えてるのを発見して、助けてくれたって事?」
「うんっ!」
ガルルッ
ジハードの反応にまだ慣れない三人は汗が止まらない。
「それで、村の様子を確かめるためにコレを落としたと?」
「うんっ!」
「コレとはなんですかっ! 大体ですね、私に対する扱いが皆さんおかしいのですよっ! 待遇の改善を要求しますっ!」
待遇に納得いかない緑の不遇紳士。
「助けて……くれたの?」
ミロがやや離れた場所から、ジハードに問いかける。
ガルル
「ジハードちゃんはね、優しいんだよ? だから、怖がることなんてぜーんぜんないんだから〜」
キアラがそう言いながら、ジハードの鼻先に抱きついている。ジハードも喜んでいるようで、目を瞑ってキアラとじゃれている。
「アハハ……本当に、本当なんだ……」
「! ミロっ!」
急に力が抜けたようにその場へ座り込むミロ。
「ご、ごめんね。安心したら腰が抜けちゃって……」
「ううん、いいのよ」
「でも、せっかく助けてくれたのに村は……」
そう言って悲しい表情で村に目をやるミロ。真っ黒に焦げてしまっており、中の住人達はもう……と諦めていたその時。
きゅ?
「「!」」
入り口から一匹のアライグマさんが顔を出す。つぶらな瞳でじーーーーっと見つめあった後、トテトテと出てくる。
きゅきゅ!
「迅速アライグマさんっ!」
「無事だったのっ!?」
一匹の迅速アライグマさんが後ろ足で立ち上がり、短く小さな手を高く伸ばす。それは無事の意味を身体で精一杯伝えていたのだった。
しかし、迅速アライグマさんは、横目でジハードと目が合い。
きゅう〜
バタり
迅速に倒れたのであった。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
そんなにシリアスにならなかったw
じ、次回シリアスモード!
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