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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第三章 魔の歴史
63/216

9 第二の強者

「ガーゴ村……」


 リヴィア達が連れてこられた村は周囲には何もないちょっと小高い丘のような所だった。しかし、よく見ると所々で小さな穴があり、そこから煙が立ち込めていた。そして正面には大人が三人並んで入れる程の竪穴がある。


「さぁ!こっちだぜ」

「あっ、ちょっ……」


 とっとと穴の中へ入っていく獣人の青年。リヴィア達も一瞬顔を合わせつつも、穴の中へと続いて行った。


 数メートル下るように進むと広い場所へと繋がっていた。そこは超巨大なドーム状の洞窟となっており、その洞窟の中にいくつもの土で作られたカマクラが立ち並んでいる。地面は蜘蛛の巣の様になっていて、恐らく流れ込んだ水などをこれで対応するための知恵なのだろう。

 どのカマクラも明かりが漏れており、火を扱っているのが分かる。


「どーだい? 俺らの村は?」


 入り口の横で獣人の青年が誇らしげに村を眺めていた。


「凄い……」


 心から漏れた言葉だった。カマクラから漏れる明かりを、蜘蛛の巣状に広がる道に溜まった水が反射して天井がユラユラと輝いている。とても幻想的な空間だった。


「へへ、ありがとな!」


 自分の村を褒めてもらえて嬉しいのだろう。青年はとても嬉しそうに笑った。ニコレットもヴァルも言葉が見つからないのか、幻想的な光景に息を呑むように眺めている。


 すると後から突然声を掛けられる。


「おい、()()()! 無事かっ?」

「おぅ! ヤン兄もムン兄も無事そうでなりよりだぜ」

「問題ない」


 入り口の奥から出てきたのは、身長の高い獣人とガタイの良い獣人の二人だった。


「そうだ! 紹介するぜ。こっちの血の気の多そうなのがヤンナ。んで、無愛想な方がムンガジだ!」


 どうやら先程助けてくれた二人の獣人たちのようだ。身長が高く、手足が異様に長い獣人はヤンナというらしい。巨大な槍を背中に背負っているので、中距離からのヒットアンドアウェイが得意そうだ。

 ヴァルは何となくカンガルーに似ているなと思っていた。


 もう一人のガタイの良い獣人はムンガジというようで、足は短いが腕が太く背中の巨大な棍棒が、尋常ではない斥力を誇るであろうと思わせる。

 ニコレットは何となくナマケモノに似ているなと思っていた。


「血の気が多いとは言ってくれるじゃねぇか。お前だって村一番の……っと言ってるそばからキタキタ」

「? 来た?」


 ヤンナが途中で言うのを止めるので、なんだろうと思っていると遠くの方から声が聞こえてくる気がする。


「ーーーーーー!」


「「「?」」」



 ド…………ドド……ドドド……ドドドドッ!



「ダァァァァァァアルゥゥゥ!!」

「げぇっ! ミロッ!」


 超高速で向かってくるミロと呼ばれた獣人は鬼気迫る勢いでリヴィア達の前を通り過ぎ、見事なまでのドロップキックをダールの顔面にぶち込む。

 運動エネルギーの計算は質量×速さの二乗つまり、速ければ速いほど威力が二乗で上がっていくので、最終的に何が言いたいかと言うとめちゃめちゃ威力のあるドロップキックだったという事だ。

 もちろんリングロープなどないので、そのまま後方の岩にめり込むダール。めり込みつつ、岩が蜘蛛の巣状にひび割れていくので、その威力は絶大であったことがわかる。


「ぐぼおぉぉ!」


 メコメコバキッ


「「!?」」


 目が点になる二人。約一人はどこかでこういう場面によく出くわすのだろう。やや目が泳いでいる。


「アンタねぇっ! いい加減にしなさいよっ? いつまでほっつき歩いてるつもりなのよ、この穀潰しっ! アンタが遊んでる間、誰が村の面倒を見てると思ってるのよっ! ちょっと、聞いてるの? ダールっ!?」

「…………」


 返事がない。ただのダールの成れの果てのようだ。


「ほんっとに使えない男ねっ! 起きなさいよ! ダールのクセに生意気なのよっ! 大体ねぇ……ってあら? どちら様かしら?」


 気付いて欲しくなかったリヴィア達。目の前でボロ雑巾にされる命の恩人に何も出来ないのだから。

 あまりの光景にニコレットもヴァルも口をあんぐりさせている。リヴィアは何となく心に罪の十字架が突き刺さっていくような感覚に陥る。


「えっと……私はリヴィア。そのぉ……今踏んづけてる方に命を救われた者……です」


 ありのままを誠実に伝えるリヴィア。しかしーーーー。


「あら? そうなの? ゴメンなさいね、どうせこ、い、つ、が余計な事をしたせいねっ!」


 どこで間違えたのだろうか。リヴィアの言葉は彼女の耳に到達し、脳に伝わる間で伝言ゲームが成立出来なかったらしい。床に横たわる恩人の身体が三回ほどビクンビクンと跳ね上がる。


 ヴァルとニコレットが痛々しいものを見るようにドン引きしている。そして、流石にそろそろ救ってやるかとヤンナが止めに入る。


「姐さん、その辺で止めてあげましょうぜ? ダールも一応は頑張ってるんですから」

「本当に? まぁヤンナがそう言うならこの辺で我慢するわね」


 顔面に集中していた圧力がなくなる事で、ダールの身体がちゃんと横たわることが出来る。


「それよりもお客さんが来るなんて珍しいわねっ! 私はミロって言うの! よろしくね! リヴィアさん」

「は、はいっ! アハハ……」


 華麗に態度を切り替えるミロに、リヴィアは凄まじい程の恐怖を感じつつ反省する。恐らくリヴィアとはまた違ったベクトルの進化を遂げているミロではあるが、その凶暴性はシンパシーを感じるものがあり、第三者目線で見た時に、初めてその恐ろしさを実感したのだった。


(も、もう昔の私じゃ……ないんだし……大丈夫)


 リヴィアは自分に言い聞かせる。しょっちゅうぶっ飛ばしていることは許容範囲らしい。


「こちらはニコレット、そしてこのふてぶてしいのがヴァルよ」

「よ、よろしくお願い致します」

「ふてぶてしいは余計だぜェ? 嬢ちゃん」

「はいっ! ニコレットさんにヴァルさんね、よろしくねっ!」


 こうやって見ると、とても社交的で明るいミロ。真っ白な毛がとても可愛らしく、長くて大きな耳と、大きな足が特徴的だ。真っ赤な目はとても愛らしく、兎のような獣人だった。


「じゃあ、行きましょ! 歓迎するからっ! ね?」


 そう言うとぴょんぴょん跳ねて一際大きいカマクラへと向かっていく。


「随分ご機嫌だなありゃあ。まぁ久々の客人だからな、嬉しいんだろう」

「姐さんの料理。絶品」


 ヤンナもムンガジも後を追いかけて歩き出す。リヴィア達もついて行くが……まぁ床にちょっと変わったオブジェクトがあるが気にしたら負けなのだろう。



 ______________________



 リヴィア達がミロ達の歓迎を受けていたその頃。



「ンン……ここは……?」


 木にめり込んでいたはずのグリーンメイルは、強制睡眠モードから目を覚ます。


「私ハ一体……」


 グオ(おや)


「…………」


 バタリ


 目の前に巨大な竜が居たのでもう一度休眠モードにシフトした。


 グオオ(起きろ)グオオオッ(起きるんだ)


「…………」


 鼻息が当たる所まで顔を近付ける竜。頑なに死んだフリをするが無理があるグリーンメイル。


「ああっ! ダメだよ? ジハードちゃん。まだ寝てるんだよ?」

「! き、キアラ殿?」


 キアラの声につい反応してしまうグリーンメイル。ギロッと目の前の竜に睨まれて再び眠りにつく。


「あれれ? 変な人起きてるの? おーい、おーいっ!」


 キアラがトテトテと近寄ってきて、ヘルメットをペちペちする。グリーンメイルが小声でキアラに言う。


「キアラ殿、死んだフリ! 死んだフリですよ」

「んんー? 大丈夫だよ? ジハードちゃんは優しいんだからね?」


 キアラにそう言われてチラッと竜を見る。


 グオオオッ(そうだそうだ)


 バタリ


 やはり休眠を選ぶスリープメイル。


「んもーっ、仕方ないね。ジハードちゃんも一緒に寝よぉね」


 グオオオッ(寝るぞー)



 そうして三日目の夜が終わるのだった。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

おかしいですねぇ、いつの時代もいるもんなんですね。リヴィアみたいな理不尽の塊が。


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✧‧˚\\\\‎٩(*´▽`*)۶////✧‧˚

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