23 邂逅
空中で赤と白の稲妻が何度も交差する。
バチッ! バチバチッ!
「サスガに、一筋縄ではいきませんか……」
背中から炎のような物を噴射しながら空中浮揚する緑の鎧。向かい合うように黒い鎧も空中浮揚している。
互いの実力が拮抗して、中々決着がつかないようだ。
黒い鎧が左の手の甲を突き出し、真っ赤な細い光が高速で照射される。それを間一髪で交わすと背後の建物が爆発する。
「滅却光線デスか。厄介なモノを……」
さらに黒い鎧は胸を反るように張ると、胸当て部分が両開きに開き、中に収まっていた真っ赤な水晶が輝く。
「! マズイっ!」
何の攻撃が来るか瞬時に把握し、その凶悪さに大きく回避行動を取る。すると今までいた場所に、真っ黒な光に真っ赤な稲妻を纏った、極大ビームが放出される。さらにそのまま黒い鎧は身体の向きを回避する緑の鎧へと調節する。
「ナンテ出力だっ!」
グリーンメイルは、そのとんでもない威力のビームを放出し続けるブラックメイルに驚愕するが、ランダム飛行によって何とか交わし続ける。
(ック、残り三十秒。コノママではやられるっ!)
飛行するにはかなりの出力が必要になるため、エネルギーの消費が激しい。また、連続飛行はパーツにかなりの負担がかかる為、長時間の運転は難しいのだ。
グリーンメイルの視覚に残存エネルギーのパーセンテージが表示され、さらにボディの背面を表示すると、背中のパーツが赤く点滅し、WARNINGの文字が浮かび上がる。
(ッチ、一旦身を隠さねばっ)
かなり分が悪い状況に追い込まれ、グリーンメイルは左手を固定砲台になっているブラックメイルに突き出し、手のひらから白い煙を放出する。さらに足の裏から幾つか小さな丸い球を散布する。
ブラックメイルは白い煙目掛けて極大ビームを照射する。その視界はモードが切り替わり熱感知モードへと移行するが、煙の中に散布された小さな球が熱を発し、デコイとして機能していた。
その為、熱感知での索敵を諦め、放出していた極大ビームを止める。真っ赤な水晶が高熱を纏っているように光っており、胸当てを閉じ、冷却をする。すると背中からブシューっという音と共に冷却で発生した白い煙が排出される。
グリーンメイルのいた場所は既に何もいなかった。ブラックメイルは視覚を赤外線モードに切り替え、周囲を索敵していく。
辛うじて建物の陰に身を潜めることに成功した緑の鎧は、各パーツのチェックと残存エネルギーの行っていた。
「アンナ武器まで完成させているなんて……」
ブツブツと文句を言いながらも、左腕にある操作パネルをピッピッと弄る。背中のパーツから冷却する音がし、予備のエネルギーパックを肩から取り出して、お腹の一部を開いて交換する。
「シカシ、何故アイツが……もしかして他の奴も……?」
っと、考えていたら、建物の壁が急に崩れ、大きな手がグリーンメイルの頭部を鷲掴みにする。
「グ、グアッ!」
そのまま建物の壁から大型の黒い鎧が現れ、グリーンメイルを持ち上げる。脱出しようと頭を掴む腕を、両手で引き離そうとするが、あまり効果がない。
「グ、グゥゥゥ、こ、このパワーはっ!」
そう言うグリーンメイルを大型の黒い鎧は思い切り振りかぶって投げる。二棟の建物を貫通して壁にめり込む緑の鎧。
「グハァッ!」
身体中に走る衝撃に、苦悶の声が漏れる。貫通してきた建物を、破壊しながら大型の黒い鎧が進んでくる。グリーンメイルは壁から抜け出すが、かなりのダメージでその場に膝をつく。すると今度は地面に赤いポインターが現れ、スルスルとグリーンメイルの身体に移動する。
「ックゥッ!」
何とかその場を転がるように飛び込むと、先程ポインターがあった場所が爆ぜる。
ズガァンッ!
「超遠距離電磁加速砲! やはりお前達はっ!」
目の前には大型の黒い鎧、空には駆けつけた先程の黒い鎧、更には超遠距離からの狙撃手。まさに絶体絶命のピンチに立たされたグリーンメイルだった。
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一方、西門では遂に黒い獣達が壁を乗り越えようと、よじ登っていた。
「今だー! 落とせーっ!」
城壁の上で構える兵士達が一斉に岩を落とす。さらに、数名の魔法使い達が火炎魔法で大量の獣達目掛けて攻撃を加えている。
「死守だぁー! 絶対にここを通してはならんっ!」
そう叫ぶ守備隊長だが、明らかに戦力が違いすぎるため、死を覚悟していた。兵士達も死に物狂いで石を叩きつける。
壁を覆うように獣達が殺到する中、一人の人物が門の前に立つ。
そして、その禍々しい大斧を振り上げて、一気に振り下ろした。
ズガァァァァァン
一撃だった。
たった一撃で門が砕け、大量の獣達が中へと乗り込んでいく。門の前で待機していた兵士たちは、門が破られた際の衝撃で大半が吹っ飛び、獣達が一斉に乗り込んできたため、ほぼなす術もなく殺されて行く。
こうしてロンダーク王国の東と西は蹂躙されていくのであった。
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唯一の希望である北側へと向かうリヴィア達。西も東も黒煙が立ち上り、絶望的であると一目で分かってしまう。
「急ぎましょう! 無事、北側からみんなを逃がすことが出来れば大丈夫!」
「はいっ!」「うんっ!」
現在、城の北側を通過するリヴィア達。商業区画と工業区画を分ける大通りを一直線に北上する。遠くでは多くの人々が道路いっぱいに固まっているのが見える。
「ど、どうしたのかしら?」
「妙ですね、かなりの時間が経っているのに、何故まだこんな所に……」
その人込みは中層区画辺りで溜まっていた。
「上から様子を見てみます! エリアル!」
そう言ってラリィが建物の屋根へと跳躍し、屋根を伝って走っていく。リヴィアとキアラは道路をそのまま直進していく。
ラリィが屋根の上から見ると、人の行列は北門まで伸びているが、少しも動く気配がない。他を見渡すと、他の道路にも人々が殺到しており、北側を中心に大勢の人々で埋め尽くされていた。
一旦情報を共有するため、道路に降りるラリィ。
「どうだったのっ!」
「わかりません、ただ北門への道はどこも人だらけで通れそうもありません」
「そんなっ!」
一切動く気配のない人の行列。人々は我先にと進もうとするが、前が進めないので結局動けないでいた。状況の掴めない人々は、混乱で殴り合う喧嘩をしている所もちらほら見受けられる。
そして最悪な展開がリヴィア達を待っていた。
「牢獄」
人々が渋滞する場所を黒と紫の檻のようなモノが地面から生えてくる。それは北門に集まる人々を閉じ込めるように、広範囲を塞いでいく。その禍々しい光を放つ檻は城壁と同じような高さで止まる。
閉じ込められた人々は混乱し、逃げ惑うが密集していたせいで動くことが出来ない。さらに鉄格子のようなモノに触れると、身体中が黒と紫の炎に包まれ、絶叫を上げて跡形もなく焼き尽くす。目の前で燃える人間を見て、恐怖で人々が叫び、暴れる。
「しまったっ! これが狙いだったのか?」
ラリィがその光景に歯噛みし、拳に力が入る。
「ゆ、誘導された……ってこと?」
「そのようです……」
「うう、ううう!」
リヴィアが力なく、ペタリと地面に座り込む。
北門に集まった人々は全て檻のようなモノに閉じ込められ、捕えられてしまったのだった。
そして、上空より禍々しいオーラを纏う人物が、ゆっくりと降りてくるのが見える。その漆黒の鎧に真っ赤な血のようなラインが幾つも入っている。その姿にリヴィアもラリィも瞳が激しく揺れる。
それはまるで小さなハーズェンドを纏っているような出で立ちだったからだ。
本能で分かるのだろう、キアラも怯え、全身が震えて顔面から完全に血の気が引いている。
間違いない。アレがーーーー魔王。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
場面が色々かわってややこしいかもしれませんが、
出来るだけ刻んでわかりやすいようにしてみます!
わかりずれーよって方は
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