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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第二章 旅立ち
43/216

21 ヒーロー見参

この作品はヒーローものではありません。ダークなんです!

 建物から出てきた生体兵器は全身が黒く、全体的に角張っている。しかし、そのフォルムは細く、鋭角の三角形をいくつも組み合わせて作ったような姿をしていた。


 ウィィィィン、ウィン


 こちらにターゲットを合わせたのか、身体の向きを変えて向かってくる。手には細長い筒のようなものが付いた武器を持っていた。

 その形はリヴィア達もどこかで見た記憶があったが、今はそれどころではなかった。


「さぁて、おいでなすったわね!」

「リヴィア、ここは俺が先制します」


 やる気満々で対峙するリヴィア達。まずはラリィが剣を抜き、剣を両手で持って駆け出す。ここは一撃で決めたいラリィは、大上段からの袈裟斬りを選択。一気に距離を詰めようとして、黒い生体兵器が持っていた筒から何か飛び出す。


「へ?」


 ラリィの頬を掠めたソレは、後ろの建物を半壊させる。ラリィの頬に生暖かい血が滴る。


 ウィィィィン


 再度ターゲットをロックオンする黒い生体兵器に、ラリィは全力で走って戻ってくる。


「チェェェェンジッ!」

「「無理ーーっ!」」


 三人は狙いが定まらないように細かくエッジを刻んで走り抜ける。


「反則よ! あんなの!」

「か、勝てるわけがないっ!」

「あわあわあわあ!」


 せっかく元凶が目の前に来たのに逃げ帰るリヴィア達。魔法や近接ならともかく、予備動作なしで遠距離型超破壊兵器なんて聞いていない。


 すると運が悪い事に、正面からも一体の黒い生体兵器が現れる。


「「ひ、ヒィィィ!」」

「あわあわあわあ」


 道は丁度一本で前も後ろも取られてしまい、チェックメイト状態だった。二体とも筒のようなものを向けて今にも発射してきそうな雰囲気。三人は慌てながらも、右左と華麗なフットワークで時間を稼ぐ……。


「も、もうダメっ」

「っく……無念」

「た、たーすけてー!」


 もうダメかと思ったその時。


 ドガァン


 一体の黒い生体兵器が建物に吹っ飛ばされる。


「「「え!?」」」


 驚く三人。


 もう一方の黒い生体兵器も反対画の建物へと吹っ飛ばされる。


「「「ええっ!?」」」


 前、後ろと見回している三人に高い場所から笑い声が響く。視線を向ける三人。


「ハーっハッハッハっ! ワタシ参上っ! とうっ!」


 建物の屋根の上で、怪しいポーズをするシルエット。そのまま屋根から、わざわざ三人を飛び越えるようにクルクルと膝を抱えた状態で地面へと着地する。そしてまた変なポーズを決めつつ叫ぶ。


「ワタシが来たからにはもう大丈夫っ! さぁ、涙を拭い……アレ?」


 セリフを言いつつ、視線の先にいるリヴィアに目が止まるその人物。静止する時の中、リヴィアの目に光が失われる。


「ヤ、ヤァ」


 挨拶を忘れない。鎧だから。



 ______________________



「タ、タマタマ通りかかったら、子供が助けを呼ぶ声がして、助けに来たんです。変態ではありません」


 何故か正座する緑の鎧の人。


「いいえ、貴方は変態です。そして変態です」


 リヴィアは両手を組んで何故か偉そうにしている。


「ンナッ! ナゼ二回も言ったのですかっ!」


 納得がいかない緑の下着戦士。


「まぁいいわ、それであの仲間の変態共は何なの?」

「アレは都市制圧型強襲兵器M系列の最新型兵器でしょう。正直、今もまだ作られているとは思っていませんでした。……ソレト、変態でも仲間でもありません」


 緑の変態戦士曰く、生体兵器と今襲ってきた生体兵器は似て非なる存在で、喋るか自主的に動けるかでその区分が大きく別れるのだという。


「それはいいから、アンタも来なさい。街を破壊されて迷惑なのっ! アンタ迷惑なのっ!」

「ワカリましたが、最後のは八つ当たりデスよね?」


 三人と一体は再び東門へと向かう。するとラリィがある事に気付く。


「あれ、何だかパーツが増えましたか?」

「ハイ、これは戦闘用の装備でして、その名もアルティメット・コンバッ…… ーー」


 ドガァン


 最後まで上手く聞き取れないラリィだったが、先程同様に、建物を崩壊させながらこちらに向かってくる一団がいる。


「っく、あんなにっ!?」


 横一列に先程の黒い生体兵器が数十体が行進していた。自分の評価を爆上げする肥やしにしたい、喋る鎧が調子に乗って高笑いをキメる。


「フハハ……アンナ雑魚共、この私が正義の鉄槌を下してくれようぞっ! 必殺ダイナミック・ムー…… ーー」

「いいから、早くやってよっ!」


 カッコつけたいがリヴィアに邪魔される。


「ア、ハイ。え、えーい!」


 右手に握っていた白い筒状の物から、光り輝く稲妻が飛び出し、やがて剣のような形を生み出す。それを左から右に一直線に薙ぎ払うと、数百メートル先の黒い一団が上下に別れる。

 それはまるで一枚の絵を真ん中で切ったように斬れた。


「す、凄い……」


 リヴィアが呟いた後、半分に分かたれた黒い生体兵器たちは爆発した。


 ボボボボボーン


 その爆発を背景に、緑の鎧が腰に左手を、右手に持つ光る剣を右上、Vの字に左上そこから右下へと振り回し、残心したままドヤ顔を後ろに向ける。


「おケガはありませんか? お嬢さ…… ーー」


 ドガァン


 最後まで上手く聞き取れないリヴィアだったが、先程とはまるで違う形の生体兵器が現れる。それはまるで、緑の鎧と同じ姿の黒い生体兵器だった。


「ア、アレハ!?」

「な、何っ! 新型!?」


 バイザーの目らしき光が緑から赤に変わる。


「ウ、ウソダっ! あれは破壊したはずっ!」

「ど、どうされたのですか?」


 目らしき形から心電図のような形になり、そしてそれは心が動揺しているのが分かるように大きく、早く、唸りをあげる。


「ニ、ニゲテ下さいっ!」

「えっ?」


 グリーンメイルの叫びと共に、ブラックメイルが赤い剣のような稲妻を発生させる。そして、先程のグリーンメイル同様、横薙ぎに斬る。


 バチバチッ


「ーーっ!」


 リヴィアの身体数十センチ手前で、赤と白の稲妻が交差していた。


「ハヤく! 逃げるんだっ!」


 リヴィアの目の前でグリーンメイルがブラックメイルの剣を受け止めていた。そうでなければ、先程の奴ら同様に、上半身と下半身が別れていた。


「わ、分かったわ! アンタも私達が逃げたら逃げるのよっ!」

「行こう、リヴィア!」


 ラリィがリヴィアの手を引き、その場を離れる。キアラも二人の後を追う。その姿を見送ったグリーンメイルは憎き相手へ顔を向ける。


「サァ、これで思い切り行けます。聞かせて貰いますよ? アナタが生きている……理由をねっ!」


 赤い剣を弾き、グリーンメイルはブラックメイルへと突進していく。





 リヴィア達が離れてすぐ、後ろでは盛大に爆発が起こり、戦闘の苛烈さが増していく。あのままでは足でまといだったリヴィア達は、再度自分達が出来ることを考える。


「私……何も、何も出来ないじゃない!」


 悔しくて涙が出る。


「諦めてはいけませんっ! まずはあの人が前線を支えてくれてる間に、逃げ遅れた人々を避難させましょう!」


 引く手を強く握るラリィ。そんなラリィに感謝しつつ、リヴィアは涙を拭いて前を向く。すると後ろにいたキアラが立ち止まり、クンクンと鼻を動かす。


「キアラちゃん?」

「クンクン……クンクン……」

「な、何かあるのですか?」


 しばらくクンクンするキアラ。そして目を開き指を指す。


「こっち! こっちに人がいるよっ!」

「な、なんだって!」

「行きましょう! 助けが必要かもしれないっ!」


 ここはまだ工業区画の真ん中あたり。被害の大きさもかなり酷い。建物は倒壊して燃えているのもちらほらとある。



「こっちこっち!」



 キアラが走り出す。そっちは住宅区画の方、つまり南へと向かったのだった。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

やっぱり無駄に洗練された無駄な努力がカッコいいのだ。


彼の努力にピンと来たら

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