前宰相とはた迷惑な大人たち
仕事があると呼び出しをくらって城に向かえば、父親と国王が正座して真っ白になっている宰相に怒られていた。
どうやらまたくだらないイタズラを宰相に対して仕掛けたらしい。
金も頭も地位もあるいい大人が仕掛けるイタズラはかわすことが難しく、ここに来るまでの間にも宰相と同じように真っ白な姿になっている人たちを見かけた。
ついでに言っておけば、フレッドのやつも見事に引っかかっていたが。
というか、大の大人が全力でやることではないはずで宰相が怒るのも当たり前だ。
俺に気がついた2人が助けを求める顔をするが、これに関しては母上と王妃様に絶対に手を差し伸べないようにときつく言われているので放置すると決めている。
両親のどちらに味方をするかと問われれば俺は迷わずに母上を選ぶ。
悪ふざけが過ぎる大人を庇うような心は生憎と持ち合わせてはいない。
「シャールか」
「はい。父上から来るように言われていて」
俺に気がついた宰相は、1度2人を怒るのを中断する。
それをいいことに父上はおれに話しかけてきた。
「シャール、お前に任せたぞ。これから父上は片付けをしなくちゃならないからな」
「全く……」
今日、俺がここに呼ばれたのは父上の仕事の尻拭いということらしい。
イタズラが終われば、それを片付けさせられるのはいつものことなので代わりに俺に仕事を押し付けた形だ。
それならやらなきゃいいのにとも思うが、どれだけ叱られても怒られても悪友コンビが止まらないことを考えれば無理かもしれないな。
「で、何をすればいいんだ?」
「清掃活動」
「それは昨日、お前が一瞬で片付けただろう」
「あ〜、そうだったな。じゃあ、あっちか」
押し付けられた仕事内容が分からないと尋ねれば、なかなか内容が分からない。
つーか把握もせずに呼び出したのか。
「「宰相の手伝い」」
悪友コンビが声を揃えて言って、しかしそれ以上の説明もない。いつもことだが、もう少し詳しく説明してくれてもいいんじゃないかと思う。
ため息をついた宰相が今回の仕事内容について、父上に冷たい目を向けながら教えてくれる。
「今回はボリス騎士と共に私の護衛です。まだシャールにはさせるべきではないと思うのですがね」
なんだかんだいってこの人は俺を子供として見てくれるから、護衛任務とか極秘資料の配達とかは特にやらせたがらない。
多分、今回はボリス騎士がいるから宰相も俺も任務につくことを許可してるんだろう。
「師匠と護衛……」
もうすぐ騎士を引退するボリス師匠の仕事ぶりを見られる機会はほとんどない。
そう考えるとこの尻拭いを押し付けられたのも悪くはない。
さすがに真っ白なまま行くわけにも行かないので宰相が服を着替えてから出発となり、俺は先にボリス師匠と合流していた。
その際、父上が来るはずなのに俺が来たことを疑問に思ったらしく、俺は今日のことに関しては父上を庇うつもりもないので正直に事の顛末を話しておいた。
楽しそうに笑ったボリス師匠は宰相の護衛任務が終わったあと父上たちの元に向かい2人を叱るのを俺は覗き見ていたのだが、ボリス師匠の本気のお叱りには父上とウィリアム様も震え上がっていた。
宰相が言うには、これでもまた繰り返すらしいので反省は一瞬だけとか。
俺ならというかほとんどの人がボリス師匠から本気で叱られたら二度と悪さはしないと思うが、父上はそうでもないらしい。
ウィリアム様がいるからなのか、それとも度胸があるだけなのかは分からないが、迷惑なのは変わりない。




