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女装騎士は未来の王妃を探します。  作者: メグル
シャールについてのあれやこれ
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ロッドが王子を嫌う理由

ロッド目線の話になってます。

 初めてのお使いの時に起きた事件から、兄さんは騎士団によく呼ばれるようになり、実力は申し分ないと簡単な危険性の少ない任務を任させるようになった。


 そのせいで、兄さんと一緒にいられる時間は極端に減り、忙しすぎる兄さんとはあまり顔を合わせることも出来なくなっていた。


 僕が望めば一緒に遊んでくれるだろう兄さんはきっとそうしてしまえば無理をさせてしまうから。


 あのお使いから兄さんは不安をぬぐい切れていない僕のためにいつも以上に一緒にいてくれていて、幼い子供ながらに兄さんの疲れを感じていつの日か兄さんが倒れるんじゃないかって怖くなった。


 それからは、兄さんと遊ぶことは少なくなったが数少ない友人であるフレッド王子のところに1人で遊びに行くことも多くなり、精霊にフレッド王子と会いに行くこともあった。


 怒ることもなく優しくそばにいてくれて、出来ないことがあれば出来るまでそばで一緒に悩んでくれる。

 まだ幼い僕にはシャール兄さんのようになんでも出来るような、そんな人だとそう見えていた。


 まだあの頃は世間通りの『立派な王子』であると思っていたから。


 僕にとっては友人でも王子でもなく、もう1人の兄のように感じていて、それはまぁ今でも思わなくはないのだが、兎にも角にも評価が変わったのは確かだ。


 あの日は急に城に呼ばれた兄さんとまだ離れなくなくて一緒の馬車の乗り込み、城に向かった。


 城に着いたものの行くあてもなく、王子の元に向かう。

 どの道、僕が城の中で行ける場所というと王子の部屋か食堂しかないのだ。


「あら、ロッドさんもいらしてたのね」

「イザベラ、様」

「イザベラでいいのよ。立てるのならフレッド様を立たなくてはダメよ」


 どうにも王子に関しては兄さんの呼び方が定着しているせいかフレッドと呼んでしまっているため、やんわりと訂正されてしまう。


「はい」

「シャールさんについて来たはいいけど、やることがないのでしょう。それなら、手伝ってもらいたいことがあるのだけど」

「僕に出来ることなら」


 やることもない僕は手伝うことを了承。

 時折こうして手伝いをお願いされることもあるし、時間を持て余しているので問題はない。


 まぁ、父上や母上からもイザベラ様やフレッドとは仲良くするように言われている。国の中枢で働く予定だからこそ余計に。


 イザベラ様について行くと、一つの部屋にたどり着いた。


 机には料理の絵が描かれた紙が何枚も置かれている。


 今度、城で開催するパーティーの子供向けの食事を決めるための会議ということらしく、料理人が出したいくつかの候補の中からみんなが食べそうなものを選ぶのが手伝って欲しいことだと言う。


 イザベラ様から説明を受けた頃、王子が息を切らして部屋にやって来た。今日の勉強に少々手間取ってしまい急いで来たのだそうだ。


「遅れてごめん」

「いいえ、構いませんわ。ロッドさんに説明をしていたところですから」

「 フレッドっていつもそうなの?」


 その僕の言葉に王子は頰をかいて何かを言おうとしたが、イザベラ様が遮った。


「うーん、そ――」

「今日はたまたまでしょう」


 それを真実だと思えないほどには、僕は兄さんから王子とイザベラ様たちの話を聞きすぎていて、なんとなくそれが嘘だとは感じ取っていた。


 今までは気にも留めなかったことだったけど、最近は王子の優秀さに疑問を持つことがある。


 料理についての会議は、イザベラ様が話を回していき王子と僕はそれについて意見を出していく。

 王子は割と優柔不断に悩んでいた。自分が好きなものだけを出せばいいというものじゃないと。


 それから、使用人が用意してくれたお茶とお菓子をつまんで休憩をする。

 上品な仕草のイザベラ様と違ってたどたどしい動作の王子が目についた。


 同じようなことを、同じような時期に学んでいるはずの2人にどうしてこんなに差があるのだろうと思ってしまったとき、まだ幼い僕は周りが優秀すぎたなんて答えにはたどり着けなかった。


 結果、周りより劣る人物という認識になり、それは王子の柔らかな性格と相まって、完璧すぎる兄さんの邪魔をする王子と思い込んでしまっていた。


 成長した今は、無能だとは思っていないけど、兄さんに釣り合っていないとは思っている。

 どの道腹が立つのは変わっていないのだ。

ルディよりかはフレッドのことは認めてはいますが、ここまでくると意地もあるロッドです。

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