剣術指導
夏休みも明けて秋の気配がし始めた頃、二年生の男子は騒がしくなる。
一週間だけの特別授業――。
剣術指導があるからだ。
ご令嬢たちは、簡単な護身術とご令嬢として覚えておくべき作法の授業だ。
この一週間は特別講師のシャールとして学校に行く。
父上もかつての師匠には逆らえなかったらしい。
剣術指導の講師は引退した元騎士で、父上や陛下からすると、雷親父だと言ってあまり会いたい相手ではないとか。
悪いことしなければ怒られはしないけどな。
それにしても、女装なしでここにくるは不思議な感じがするな。
二クラスずつの指導をする。大体三十人前後で、休憩を挟みながら二時間だ。
初日の今日は基本の型からの予定だと夏休み前に聞いていたが、ボリス師匠は予定を変更した。
ボリス師匠は俺が同い年だから特別講師として招いた。その方が生徒たちのやる気も上がるだろうと。
予測通り、やる気は上がった。
ただし、反感として。
中性的な容姿で平均よりやや小さめ、二度見で男だろうと認識される俺が強いとは思えないからだろう。
ボリス師匠は騎士としては有名で憧れるやつも多い。そんな人に一目置かれるのがこんな女みたいだとそうなるよな。
「ふむ、実力を知るには剣を交えるのが一番。一人対三十人の勝ち抜き戦でもやろうか」
マジか。
「師匠本気ですか」
「ああ」
この人数をね。面倒くさい。
だってこれ、あと2回やるだろうからな。
「三十人と連続で戦えば、シャールも体力が消耗して君らでも勝てるもしれない」
うわ、いじわるな笑み。
俺は三十人抜きできなきゃ、しばらく自由はないと、面倒すぎるだろ、これ。
あいつもいれば楽なのに――いや、そっちの方が面倒になるな。いない方がいい。
経験者は楽だけどさ、素人って怖いんだよ。太刀筋が読めないから。
唐突に始まった三十人抜きも、時折経験者がいたがなんなく一撃食らわせて、三十人抜きをする。
実力はわかってもらえたはず。
約九十人抜きをしたところで初日が終了。
王子と従者は少し手こずったがジョルジュレベルじゃないので問題なし。
どっちかというと剣術は苦手なんだよな。
2日目と3日目は型の練習。
初日の苦労の甲斐あって、みんな話を聞いてくれる。
4日目で経験者で指導役ができそうなやつを指導役にする。
5日目からは安全を考慮しつつ打ち合い。危なそうなら止めに入る。
体育会系からすると楽しい授業みたいでやる気満々だったが、文系組は日に日にテンションが下がっていた。
ボリス師匠の指導の元、苦手意識はあまりなくできたようだ。
最終日は時間の空いた三年生が乱入してきたためボリス師匠が自由時間をくれる。
学校からもここにいる間は好きにみて回っていいとのことだ。
シャーロットとして通ってるから、珍しさはないけどな。
ボリスは外国にも知られる有名人です。




