5・俺って凄い人になるらしいよ
『今は元気に女子高生にストーカー行為してるそうです』
「罰になってねえ!」
俺の人生っていったい!
『5回目の転生を行う上で、いくつかの注意点があります。そのうちの二つは大変重要な事柄ですので特に注意して下さい』
『1点目は能力についてです』
『人は転生を行うとその能力が上昇します』
『貴方の1度目の転生の際にも、その前世が僅か数日の期間ではありましたが、確実に上昇していた筈です』
『そして、その能力は繰り越されていくのです』
『3回目以降の貴方の能力は、他の人間とはかけ離れていたでしょう。4回目の転生を経験した貴方になら、良く理解出来る事だと思います』
「確かに俺はあらゆる分野で優れていましたね。勉強でも運動でも苦労した事がありませんから」
15歳の頃に左腕で球を投げる練習をした事があったが、少し練習しただけで直ぐに豪速球を投げられるようになった。
その時に計った球速は160キロを超えていたし、そのまま練習を続けていけば180キロを超える球を投げられていたと思う。
車椅子バスケを始めた頃には、あれだけ激しく砕けてしまった右肩は、すっかりと完治していた。
治癒力に関しても向上していたと思われる。
『5回目の転生ともなれば、貴方は超人と呼べるレベルの力を手に入れるでしょう』
それは凄いなあ。なんかちょっとワクワクする。
『しかし、それは困るのです』
困るって何が?
『天界の創造神様は地上界のバランスを取る立場の方でもあるのです。個人の行き過ぎた力はバランスを壊す元ともなります』
「なら、俺はどうすれば?」
困ると言われても、こっちも困るよなあ。
『天界の創造神様の方で、貴方の能力に制限を掛けます』
なるほどね。
『しかしながらそれにも一つ問題があります。天界には地上界に影響を与え続けてはならないという、強い戒律があり、それは創造神様といえども破る事は出来ないのです』
『そしてここからが貴方にとって、とても重要な事柄です』
アクーリスはより一層真剣な表情で語り続ける。
『創造神様は貴方に幾重にも重ねられた制限を掛けますが、このリミッターは徐々に解除されていき、貴方が成人を迎えたら完全に解除されます』
『この間、天界では貴方を見守ると同時に、監視し、判定を下し続けます』
『そして、もし貴方が地上界にとって害となる存在だと判断されれば、創造神様の《神の怒り》の力によって消滅させられます』
なるほどね。そういう事か。
『貴方はその事を念頭に置いて、地上界のバランスを壊す事の無いように注意して暮らしていく必要があるのです』
「わかりました。肝に命じておきます」
「でもまあ大丈夫だと思いますよ。バランスが崩れる事は俺も良くない事だと思いますから」
「前の人生でも、自分なりにではありますが、正しいと思う事をやってきた自信もあります」
俺は前世で悪い事に興味がなかった。自分を善人だとも思わないし、興味があれば悪い事もやっていたと思う。
しかしまあ、全く悪い事に興味がなく、自分が良いと思う事をやっていれば気分も良かったのだ。
自分の善悪の判断が、少し他の人とズレている事があったのが、不安材料と言えなくもないが、まあ、大丈夫だろうと思う。
『私も貴方の生前の資料には目を通しました。貴方なら大丈夫だろうと私も思いますよ』
アクーリスは女神らしい微笑みを浮かべて俺を見つめ直してくれていた。
『2つ目の注意点は記憶の問題です』
『通常の転生では、転生者が幼子で、転生後の物心ついた時には前世の記憶は殆どありません』
『僅かな記憶が残っていたとしても、それは幼子の記憶であり、問題とはなりません』
『しかしながら貴方の場合は、19歳。殆ど大人というところまで育ち過ぎています』
『貴方が転生後も前世の記憶を持ち続ける事は確実でしょう』
「二つの世界の文化の違いということですか?」
俺はカマをかけて質問で返してみた。そうしたら思っていた通りの返答が、アクーリスから返ってきた。
『そうです。地上界の文化を乱す事もバランスを崩す要因となるです』
やっぱりそういう事であった。
『ついでに二つの世界の文化の違いについてもお話しします』
『貴方の元いた世界では、科学の発達によって文化も発展していったと思いますが、こちらの世界では科学はあまり進歩しておらず、代わりにあちらの世界にはない、魔法技術の発達により文化も発展し、魔法が文化の根幹をも成していると言えるのです』
『よって貴方の持つ科学知識は、こちらの地上界のバランスを壊す害とも薬ともなる事でしょう。扱いには細心の注意を払って下さいね』
「了解です。新たな世界の事柄を充分に経験してから、俺の知識を扱っていく様に心掛けます」
「バランスに注意しつつ、新たな世界の薬となれる様に」
『はい。貴方の新たな人生に、私も期待しています』
アクーリスはそう言って、再び女神の微笑みを向けながら、椅子から立ち上がる。
『私からの注意は以上です。他の細かな事柄はアクラに説明してもらいます』
アクーリスはアクラの方に顔を向けて言う。
『アクラ。頼みましたよ』
『はい!』
アクラは快活に返事を返した。
アクーリスはまた俺の方に視線を向けて。
『私は貴方の転生の最終調整をしてきます。わからない事があったら遠慮せずアクラに聞いて下さいね』
「はい。お心遣いありがとうございます」
そしてアクーリスは、この部屋から退出していった。
☆
『しかしあんたも壮絶な前世をおくってきたのね。なんか同情するわ』
急にくだけた感じでアクラが話しかけてくる。
先程までのピシッとした姿勢も、今はダランとしたものに変わっている。
『まあいいわ。色々と説明してあげるから、こっちに来なさいよ。そこじゃ遠くて話しづらいでしょ』
急にフレンドリー過ぎないか、こいつ。
まだこのサイトの書き方に慣れてないせいか、投稿に失敗して一回全部消えてしまった。
という訳で、この話はこれで書くの2回目!
2回目のせいか、最初に書いた奴よりうまく纏まって大分短くはなったかな。
最初に書いたのは滅茶苦茶長かった。
まあ説明回だから仕方ないけども。
しかし、この回を2回も書くのはキツかった〜。
消えた時は泣きそうになったよ。ホント。




