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こちら冒険者ギルド別館、落とされモノ課でございます。  作者: 猫田 蘭
第二部―0章<NINJYAとパシリと副学院長>
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【本日の星座占い:恋愛運編】


☆マシュマロ座☆

今日一番恋愛運が良いのはあなた!

お仕事中、意中の誰かさんとたまたま街でバッタリ、な~んて事があるかも!

いつもとはちょっと雰囲気の違うあなたに、相手の好感度も大幅アップ?

ラッキーアイテムは「雑誌」

ラッキーカラーは「白」


☆ワインボトル座☆

残念、今日はツイてないかも……。

居心地のいい空間から一歩外に出たが最後、苦手なヒトにばったり出くわしちゃったり。

明日を信じて乗り切りましょう!

ラッキーアイテムは「チェーンソー」

ラッキーカラーは「どどめ色」


☆風車座☆

気になっている相手に素直に想いを伝えられないあなた。

ついつい回りくどい言い方をしてしまうその性格、なんとかなりませんか?

今日は思い切って個人的な頼みごとをしてみましょう。うまく行けば、会話が弾むはず!

ラッキーアイテムは「手紙」

ラッキーカラーは「カナリヤイエロー」


     提供:魔女協会、占星術講師 きらめき☆エヴァンジェリン先生


【皆さまが良い一日を過ごされますように。いってらっしゃい。】

『次はV7調整区域前です。中央大陸学院にご用の方は、3階連絡通路を御利用ください』

「あ、私ここなんですけど」

「ええ、僕もここなんです」

 なぬぅ?


「え、学院にですか? もう既に寮に住んでる生徒さんもいるらしいので、できればその、『おしごと』はよそでお願いしたいんですけど。教育にも悪いし、ショックも与えるだろうし」

「違います。お仕事ですけど、今回は小鳥ちゃんが心配するような内容ではありません」

 そうなんだ。よかった……。


「そもそも今日は、敷地内に入るつもりはないんです。ですから名残惜しいですけど、降りたらお別れしましょうか」

「はい! ぜひ!」

「小鳥ちゃん……」


 あぁよかった。話題も尽きて、いい加減居心地悪くなってきたところだったんだ。

 まぁでも、深緑のあやしいマント姿じゃない分、今日は随分話しやすかったかも。いつもこうしてりゃいいのになぁ。

 どうせ印象に残りにくい顔してるんだからさ。


「聞いても教えてもらえないでしょうし、関わらない方が身のためだと思うので聞きませんけど。お仕事、てきとーにがんばってくださいね」

「僕は仕事には真剣に取り組む男なんですけどねぇ」

「物騒なことはほどほどにというお願いです」

「それじゃ仕事になりませんよ」

 うんまぁ、そうかもしれないけど。


 降車用通路に足を乗せると、するすると降車口へ押し出される。そのまま私達をぺいっとホームに捨てて、魔機急行はまた音もなく去っていった。

 その後ろ姿を見て、私はようやく気がついた。

 ……レールがないから静かなんだな、アレ。


    *****


 実際に見る学院は、パンフレットの写真の印象よりも、ずっと広かった。


 調整区域の、しかもほぼ整理がすんでまっさらになりかけている部分を全部借り切って建設したとは聞いてたけど。これ、異世界人特別保護区並みの広さがあるんじゃなかろうか。すでに学術都市みたいになってないか?

 どう考えても、門から校舎まで乗り物が必要だぞ? ってゆーか、道が整備されてるとこ見るとそういう設計なんだよね?


 門のところにある来客用インターホンを押すと、ユリウスさんから話が通っていたようで、すぐに迎えがやって来た。

『ようこそいらしゃいました。どうぞお乗りください』

 妙な服を着たロボットが二体、私の目の前に跪いて四角い箱を指さしている。

 え、なにこれ……。なんでねじり鉢巻きしてんの?

『主より、心ばかりのおもてなしです』


 おもてなし? 箱詰めにするのが?

 うぅ、問い詰めたいけどこのロボット達は多分、お手伝い用だからなぁ。エリスさんみたいな高性能ロボット並みの受け答えはできないだろう相手に、それはちょっと酷かもしれない。

 仕方ない。


 私はその狭い箱に乗りこんだ。あ、中は空間拡張魔法が掛かってるんだ? 見かけより座り心地もいいわ。よかった。

 ……で、上からぶら下がってるこの紐はなんだ?


『ではまいります』

「お、お願いします?」

 ふわっと、持ち上げられる感覚。そして。

『エイ、ホッ、エイ、ホッ』

「ちょちょちょ!」

 え、なに、そういうことなの? つまりこれ、籠なのね? 時代劇に出て来るアレなのね? 私が日本人だからっ?


『エイ、ホッ、エイ、ホッ』

『エイ、ホッ、エイ、ホッ』

 ひいぃぃ、早い、一歩一歩が大股過ぎて、なんか揺れるぅ!

 絶対緩和されてるはずなのに気分的に揺れてる! 景色がおかしいよ、上下前後の流れが速すぎるよ? スクロールアクションみたいになっとる!

 私は、目の前でぴくりとも揺れずにぶら下がっている紐にしがみついた。


 連れていかれた先は立派な日本庭園だった。

 綺麗に刈り込まれたつつじ、白い石がきれいに引かれた通路、高そうな石で囲まれた池には鯉までいる! ほあぁ、あのもみじ樹形が綺麗だなぁ……。

 まぁどれも正確には「っぽいもの」なんだけどな。

   かこ~んっ

 あ、どこかで鹿威しが鳴った。なんじゃこりゃ。


『こちらでございます』

「あ、はい」

 ロボットその一が、振り返ってちょいちょい、と手招きをしている。

 こうしてちょっと離れて見て初めて、彼らの格好がなんなのか理解した。

 間違った山伏なんだね。斬新過ぎてわかんなかった。てっきり、そういう民族衣装か何かなんだと思ってた。


 小高い丘になっている場所にお茶室らしき建物があって、どうやらそのにじり口から入るように促されているらしい。

 うぁー、お茶のお作法なんか知らないんだけど大丈夫ですかね?

 失礼にならないかな、いきなり怒られないかな。ドキドキしながら、そーっと頭を突っ込む。


 さて、ここからどうしたらいいんだ? 膝を乗せちゃうのかな。スカートなんですけど……。

 しかしこのままずりずりと匍匐前進で入るのもみっともないしなぁ。う~ん、うぅ~ん。

 と、一旦停止して悩んでいたら、何故か上から網が降ってきた。


「ひぎゃっ?」

 驚きのあまり足がもつれて、体勢が崩れる。私はそのまま勢い余って畳の上をスライディングした。こ、この畳よく滑るぅ!

「ふふふ、驚いたかね? しかし、いついかなる時も警戒を怠ってはいかん。わかるかね?」

 わかるかああっ!


 がばっと腕をついて声の方を見上げれば、そこには腕組みをして満足げにこちらを見下ろす……NINJYAがいた。(忍者ではなくて)

 

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