表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捏造探偵~ドン・キホーテの大罪~その探偵は真実を葬り偽りの罪を作り出す【完結】  作者: 高山路麒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/79

2-25 マンションの殺人事件の真相

 全ての証拠が揃い立ち上がった俺は険しい顔をした権田原さんに真実を告げる事にした。それがどういう結果をもたらすのか考えもせずに。


「さて、君はどんな答えを導き出したんだ? これらの証拠から」

「はい」


 けれどそれが俺の仕事だ。真実を明らかにする事こそが正義なのだ。だから俺はその非道な真実を口にしなくてはならないのだ。


「知っていますか? 電球を発明したエジソンは様々な材料をフィラメントに使っていろいろ試したそうです。最終的に竹を用いたものを使用したのは有名な話ですが部下の陰毛を材料に使った事もあるそうです」

「ふむ?」


 権田原さんは唐突にエジソンに関するトリビアを披露したので訝しげな顔になったが俺は気にせず話を続けた。


「フランクリンは凧を使って雷が電気である事を証明しました。科学が好きで好奇心旺盛なその少年は著名な科学者の真似をしていたんです」

「……………」

「ガリレオはピサの斜塔から大きさも重さも異なる二つの物質を落とす実験をしました。まあこれは史実じゃないとも言われていますが……その少年もまたそれを試そうとしました。そしてその人物は八階から二つの物質を落としたのです」


 そう、その少年に悪意はなかったのだ。けれどそれがどれほど危険な事だったのか幼い彼にはわからなかったのだろう。


「そこに不幸にもカギを落としてかがみこんでいた人がいました。後は大体わかりますね」


 俺はその悲惨な真実を口にする事が出来なかった。子供は無邪気な存在だ。しかし害がないわけではない。その気になれば考えなしな行動で人を死なせてしまう事だってあるのだ。


「母親は慌てて下に降りました。しかしもう手遅れでした。彼女は子供の犯行とバレない様に倒れた女性をエレベーターホールに移動させ犯行現場を偽装します。彼女は以前週刊誌の記者とトラブルになったので監視カメラが壊れていた事を知っていました。ですが……」


 だが俺はそこまで言ってその後の推理が正しいのか迷ってしまった。だがそうとしか考えられないのでこれはどう解釈すればいいだろう。


「続けるんだ。どれだけ不都合でも残った可能性が真実なんだ」

「はい」


 しかし権田原さんは表情一つ変えずにそう促した。きっと彼はとっくに真実に気付きそれを受け入れたのだろう。


「そこに今在家が現れて彼女はそれ以上の偽装工作が出来ず慌てて逃げ出しました。母親が現場から去った後、彼は犯行現場の玉砂利と金メダル、そして寄木細工のメダルを回収、財布を手に入れて俺達と出会い、逃げ出します。郵便受けの角は……まあそれも彼か母親の偽装でしょう」


 俺は真矢を庇うためにあの部分だけは嘘をついた。結局俺も真実を隠そうとする連中と同じだとわかってしまい情けない気持ちになってしまったが言い淀んでは疑われるので俺はさらに推理を続けた。


「価値のある金メダルを盗むだけならともかく玉砂利と寄木細工は違います。今在家は親子を護るためにそうしたのです。彼が何故そんな事をしたのかはわかりませんが、逃走中に今在家は自分が犯人である事を証明する財布だけはそのまま所持しここにメダルと玉砂利を隠しました。もっとも急いでいたので全ての血の付いた玉砂利は事件現場から回収しきれなかったようですね」


 そう、それこそが残された謎だったのだ。今在家は自分が重い罪を受ける事を厭わず古豊千親子を庇い偽りの罪を認めたのか。それに関してはなぜそのような行動をとったのか俺は最後まで分からなかったんだ。


「それがお前の導き出した真実か。本当にその答えでいいんだな?」


 その答えでいいのか。それは推理が誤っているとかそういう次元の話ではなく正義の話なのだろう。


「……もちろんです。それが警察の仕事ですからね。元ですけど」


 だけど俺は迷いつつもその答えを選んだ。いや、選んでしまったのだ。それがもたらす結果を理解していたというのに。


「そうか。茶町、西品治! そこにいるんだろ! すぐに鑑識を呼べ!」

「「はいッ!」」


 権田原さんは部下を呼び寄せて指示を出す。これ以上俺がここにいては捜査の邪魔になってしまう。俺は心の中でそう言い訳をして逃げる様にその場から去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ