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2-5 二通目の謎解きメール

 ブブブブブ、ブブブブブ。


「お?」


 しかしまるでそのやり取りを見ていたかの様に俺のスマホが鳴動する。もしかしてと思ってスマホを確認するとそこにはやはり謎解きメールが届いていたのだ。


「ん? どうしたんだい?」

「二通目の謎解きメールだ。しかも……」

『グーテンターク、またまた連絡しちゃいました! 古豊千泉に会えなくてお困りの様だね? でもこの謎を解いたら上手い具合に取り計らってもいいよぉ』

「ほう?」


 そこにはまさしく今この状況を見透かしたかの様な内容のメールが描かれていたのだ。掌で踊っている様で腹立たしいが遊びに付き合うだけで真相に辿り着けるのなら安いものだろう。


「謎解きメール? なにそれ?」

「折角だ、デネブさんと敬川君も一緒にクイズに参加してみてよ」

「はい? 何の事かよくわかりませんが……まあいいですけど」


 真矢はたまたま居合わせた二人も巻き込み謎解きを始める。協力を仰いではいけないというルールはないし気楽に謎を解くとするか。


 そして、メールにはこう書かれていた。


『ある所にイノキというとてもアゴが素敵な現場叩き上げから警察署長になったベテラン警官がいました。イノキは結婚しており一人の男の子供がいて、毎日家族皆で楽しく過ごしていました。

 しかし警察というものは恨みを買う職業です。ある時イノキは息子と一緒にいた時に爆弾を投げられて死んでしまい息子も大怪我を負いました。

 そして警察が駆け付け、息子が救急車に乗せられる時に一人の男が現れてこう言いました。

「私も乗せてくれ! 私はこの子の父親なんだ!」

 そして救急車はその男を連れて一緒に病院へと行きました。

 さて、イノキと息子と父親と名乗る男はどういう関係か答えなさい。あ、同性カップルとか養子縁組とかは無しでね?』


「ふーむ」


 二通目の謎解きメールは一通目よりも長く複雑な問題だった。これはまた少し謎を解くのに時間がかかりそうだな。


「イノキとアゴって設定がちょっと気になるけど皆はわかったかしら? あたしこういうのは苦手で」

「僕はもうわかったよ」

「早っ!?」


 だが真矢は速攻でこの謎を解いてしまった。競っているわけじゃないけど何だか悔しいな。


「お父さんはマサ〇藤なのかしらねぇ」

「そこはタイガージェッ〇シンじゃないですか」

「プロレスラーから離れましょう。うーん」


 しかし一度イメージしたら最後、俺はアゴが素敵なあの人がガチムチとイチャイチャしている光景しか思い浮かばなくなってしまった。ちなみに俺はもちろん馬〇一択だ。


 だが男と男、息子と三人はどういう関係なのだろう。ごくごく自然でしっくりくる説明はあるのだろうか。


「ヒント出そうか?」

「待って、もうちょっと自分で考える」


 真矢は勝ち誇った顔で見下す様に笑いながらそう言った。こうなりゃ意地でも自分の力だけで解いてやる!


「あ、そうか!」


 そして俺は閃いてすぐに答えを送信、これで合っているはずだ!


『せいか~い! パチパチパチ! うぇーい! じゃあ古豊千泉にナシをつけてあげるね。じゃ、後はお若いものだけでヨロ~』


 ドキドキしながら待つ事数秒後お祝いのメールが届く。どうやら正解した様だ。


「え、わかっちゃったんですか? どういう答えだったんです?」

「ふふ、正解はイノキは母親だった、って答えだ」

「ああ、なるほど」


 最後まで分からなかった敬川さんとデネブさんはその答えに納得した。これはきっと叩き上げのベテラン警察官は皆男という固定観念がある人には解けない問題だろうな。


「おやおや、もっと苦しむ姿が見ていたかったのに」

「これでも元キャリア警察官ですから」

「元キャリア警察官って今無職って事だよね? 過去の栄光にすがる男はみっともないよ」

「うるせー。とにかくこれで問題は解決したしとっとと遠出の準備をするぞ」

「そうだね」

「あら、もう行くの? 気をつけていってらっしゃい」

「まったく、次に会った時はちゃんと返してくださいねー?」


 俺はいつの間にか真矢たちとクイズを解くのを楽しんでいた様だ。まったく、これじゃあガキみたいだな。


 それから氷が解けて味が薄くなったウーロン茶を飲み干した俺は店の外へと出て稲子に向かうために駅へと歩いていった。


 旅費は真矢の金とはいえ無駄足にならないといいんだが。有益な情報は手に入るかな。


 ……………。


 だがそんな俺たちを離れた場所に停車していた車の中から監視する二人組の男がいた。


 運転席に座る一人の男は細身。助手席に座るもう一人の男は大柄で太っている。


「あむり」


 助手席の男はぱくんとおにぎりを一口で食べると小声で何かのやり取りをする。そしてしばらく経ってから車は駅前の大通りへと移動し、車の群れに混ざって誰にも一切気付かれる事なく街の景色の一部になって消えていった。

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