第8話 チワワのような、、、
翌日、いつも通りに学校に行く。
城北駅に着くと、、、
「えっ、、、桃華?」
駅前に桃華が立っていた。
桃華は私を見つけると、笑顔で駆け寄って来る。
その姿はまるで、、、
(犬みたい、、、)
ご主人様が帰ってきた時の犬のようだった。
笑顔で、しっぽ、、、ではなく、手を振る桃華。
「おはよう!紗季!」
「おはよう。桃華。けど、なんで、、、??」
「えへへ。びっくりした?」
「うん。驚いたよ、、、。」
「えっとねー、紗季と一緒に学校行きたくて、待ってたの!」
(、、、可愛い、、、。チワワみたい、、、。)
元々、桃華が好きな私には威力は十分だ。加えて、私は犬派。小型犬のチワワのように可愛らしい桃華、、、。
朝から、桃華にメロメロになる。
「連絡くれれば、、、」
「だって、、、昨日、line交換するの忘れちゃったんだもん、、、」
「あっ、、、そう言えばそうだった、、、。待たせちゃってごめんね?」
「私が一緒に行きたかっただけだから、気にしないで?それに、、、紗季を待ってる間はドキドキしてて、時間が過ぎるの早かったから、、、。」
「えっ、、、?」
「まだかなー?まだかなー?って、待ってたってこと。」
そんな話をしながら一緒に学校に行く。
「紗季は写真部だよね?」
「ん?そうだけど?」
「じゃあ、私も写真部にしよっかなー?」
「あっ、そっか、、、。桃華は部活決めなきゃいけないもんね?」
「そうだよー。紗季とは、何だか、会ったばっかりって気がしないんだよね。傍にいると安心するし、、、。」
一瞬、ドキッとした。
桃華は記憶がないはず、、、。
覚えているはずがない、、、。
「、、、。そう言ってもらえると嬉しいよ?」
桃華に過去の話をしないように、気をつけなきゃ、、、。
そのまま、他愛もない話をして学校に行く。
教室に着くと、、、
「紗季ー!おはよ!ねぇねぇ、遠足、一緒に行こうね!」
綾香が私と桃華の間に話って入ってきた。
「遠足、、、?」
桃華は遠足のことを知らなかったのだろう、疑問を口にする。
「あっ、、、。橋本さん、いたの?気がつかなかったー。ごめんね?」
「う、、、うん。気にしないで?おはよう。朝霧さん、、、。」
(綾香、桃華に気がつかなかった、、、?それとも、、、)
、、、私に懐いている綾香を疑うのは、、、よくないよね、、、。
「この学校は毎年4月に遠足があるの。学年毎で行き先も違うんだよ。今年はまだ発表されてないからわからないけど、、、。」
まだ学校のことを良く知らない桃華に私が説明をする。
「あっ、、、。そうだったんだー。楽しみだね!」
笑顔に戻る桃華に、私は安心した。と、同時に可愛い桃華に耐えられなくなり、頭を撫でる。
「紗季ー!子ども扱いしないでよー。」
桃華は子ども扱いをされたと思い、拗ねる。
が、その様子が可愛らしく、余計に頭を撫でてしまう。
綾香が桃華に嫉妬していたことを、私は知らなかった。