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縄張り紀行「仮」  作者: 夢辺 流離
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お風呂と教授

 そもそも我輩達は泳ぐようにできていにゃいのだ。だって濡れたら身体が重くニャるじゃん。致命的じゃん。にゃにより、いろんなところに繊細なレーダーのようにゃ髭にゃんかがあるのだ。濡れちゃうと感覚が狂うから嫌にゃのだ。


 でも社会はとかく理不尽にゃのだ。

逃げることもできず抱えられた我輩は那帆と一緒にお風呂に入っている。


「足のつかないプールにいきなり入れられたら怖いよね」


 との言で、ひのきの桶が用意されたので今ではにゃんとかなっている(諦めている)。


 まぁ、ひのき風呂にゃんだぜ、豪華だろ?耳の間にちっちゃい布が畳んで置かれている。様式美というものらしい。


 お湯の温度も我輩ように少し温めにしてくれているようで、これだけ懇切丁寧にしてもらうと、文句も言いづらい。桶の縁に顎を乗っけると、頭の重さが首にかからにゃいので楽だ。


 うむ、風呂というやつもそれほど悪くにゃいかもブクブク……。


 慌てて水をかく。

ゴホンゴホン。


実は初めてお風呂に入れられたときもウトウトして溺れかけたのだ。慌てて暴れてしまい、那帆に怪我をさせてしまったのではないか。おにゃごの肌に傷をつけてしまうのは我輩の望むところではニャいのだ。あれ以来どうも拒否反応があるというかにゃ。


「ふんふふ~ん♪」


 我輩のことにゃど気にもかけずに二の腕をスポンジで擦っている那帆。お風呂が好きなようでいつもご機嫌さんになる。そんにゃにこれがいいのだろうか?



 それにしても人間は全身ツンツルテンだ。頭部と局部にちらっと体毛があるくらいで、我輩だったら心もとなくてそわそわしてしまうに違いない。

ああ、だから服を着るのだな。我輩、ねこに服を着せようとするのはあまり好きではない。だが周囲に合わせて着替えれば身を隠すのには便利やも知れぬ。


 などと観察していたら身体が急に浮かび上がる。うむ、濡れそぼった身体はどうにも見栄えが悪い。ガリガリにみえるではにゃいか。那帆はしゃんぷぅにゃるものを手に取ってシャカシャカすると、眠っている時に鼻からでるやつが無数にぼわぼわしてくる。


 我輩、これは嫌いではない。目の前をフワフワと漂うそれをつい追ってしまう。


 なんかぐるぐるしてて変わった色をして面白い。


 そしてついタシタシとやってしまい割れてしまう。咄嗟に左手を顔の前にかざす。


 初めて見たときは割れた泡から何かが跳ねてひどい目にあったからな。


 気づいたら全身ぼわぼわではにゃいか!


「教授、一回じゃ泡立たなかったよ~どれだけ地面を転がってるの、もう」


 顔から下がぼわぼわだ。テレビで見た羊というやつはこんな気持ちにゃのだろうか?


 「はーい、頭水かけるよ~」


  我輩の耳を押し付けるようにしてやわやわとお湯を垂らす那帆。この上から水をかぶるというのが普段あまりないだけに結構ビビる。


 顔がボワボワの間は目を開けてはにゃらぬ。

この時ばかりは那帆を信じるしかにゃい。



「はい、おしまい」


 ぢゃぼんっと汲み直した桶の中に放り込まれて無事に終わったことを知る。ふぅ。



……臭い。

人間はこんな臭いをつけてよく平気でいられるものだ。

悪いが、これはすぐさま公園の砂場で臭いを落とすしかあるまい……。

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