“教授“のおしごと
今日も教授はキャンパス内を見回りする。
といってもそれは不通のねこのナワバリの確認とは少し意味が違う。
キャンパス内で場所がわからない新入生の道案内をしたり、落とし物を預かりの場所に置いて来たり、ゴミを広場のごみ箱に捨てたり、レポートの提出が間に合わないと焦る学生の代わりに届けたり(これは特定の個人だ)。
因みに丸められて、甘噛みの跡がついていることで“教授“に届けさせていることがバレている。
が、それらはついでの仕事で、一番重要なのはこの付近に住むねこ達の取り纏めなのである。
キャンパスの学生達は住み着くねこたちに餌をくれたりしているわけだが、それもいつまでも続く保証があるわけではない。
好き勝手にあちこちでトイレをしたりすれば、大学側から追い出しをくらうことも考えられるのだ。
「なんでそんなことしなきゃにゃんにゃいの~?」
と呑気なニャン’sに頭を痛めつつ学生たちとの共生のための橋渡しをしている。
餌を貰えると聞いて集まってくるねこたちにその説明を一から毎回しなければならないのが大変なのだ。何ニャンかはサークルのマスコット的に人間たちに可愛がって貰えるように間を取り持ち、やってはいけないことを説き伏せ、貰えたご飯を分配して…喧嘩を仲裁して、と“教授“の一日は結構忙しい。
そんな“教授“の貢献がキャンパス内で認められているせいか、粗相をしたことが無いせいか、または両方もあってか、“教授“は講堂内に入っても怒られなかったりする。
朝のお勤めを終えると、
「2コマ目に遅れる~」
と焦りながら第3講義室へと走っていた。
マクロ、ミクロの経済学は毎年聞いているが、担当する教授が代われば講義の内容も代わるのだ。謙虚に部屋の隅の方で拝聴するのをチラチラと見ているのはやはり新入生だろう。
2期生や教授にとってはお馴染みの光景だからだ。流石に器用に筆記用具を持ってメモしたり出来ないので、集中して聞く“教授“に感化されるのか、集中力が増している学生たち。
もしかしたら、そのへんを見込んで“教授“の参加を認めているのかもしれない。
4コマまで終わるとお昼だ。
事前に仕入れていた情報を元に、本日のオススメをショーケースの前で教えている。
列に並んでいる人の会話を聞いてさりげなくオススメを替えているあたりは流石である。
お昼休みは経済学部棟前の広場、芝生でお昼寝だ。お腹が膨れて講義中に眠たくならないように仮眠をとっておかないといけない、らしい。
時間は15分未満ですっきりお目ざめがいいらしい。テレビで見たらしい。そんな姿をベンチに座ってご飯を食べる学生たちから見られている。
5、6コマ目もなんとか集中して講義を受けると学生向けのアルバイトの紹介である。
連れだってバイト紹介の張り紙を見ている学生たち。会話を聞いて、合致しそうなものをタシタシする。
サークル活動が活発化する時間を見計らってサークル棟前ににゃん’sを連れて行く。できるだけ小ねこを連れていくようにしているあたり“教授“あざとい!
こうして教授の一日が終わる。




