繁忙
「でも古哉さんが学生時代の時の話と、割と最近ロケで行った開くんが二人とも知ってるって何か変じゃない?」
暗に年より扱いされて古哉のこめかみに血管が浮かぶ。
「なんでも何度も代替わりしてるって話だぞ。いつ見ても同じ大きさらしいんだけど」
豪がそう付け加え、
「へぇ、そうなんだ。僕は現地でそんな話を聞いたことがあっただけなんだけどこれだけ知っているとなると信憑性があるな」
開が感心した。
PULLL と音が鳴って事務所の電話をとる七菜。
「もしもし、うにゃっぺほふ事務所です。え、はいそうです……」
電話の邪魔にならないよう声をひそめたメンバーたち。
ガチャっと受話器を置いて振り向いた七菜に視線が集まる。
「ドラマCDを本とセットで作らないかって……。一応少し返事は待ってもらってるんだけど……」
全員が一瞬表情を明るくしたのだけれど、すぐに暗くなる。やりたいのは間違いないのだけれど、スケジュールが忙しすぎるのだ。
「マネージャーが欲しいな」
最年長の古哉がぽつりという。彼はとくに俳優業の合間を縫って参加しているのだ。
「やりたいって人は多いだろうけど……」
見ず知らずの人をメンバーに入れるのはどうも気が進まなかった。
「私、心あたりがあります」
七菜がそう言う。
「誰だい?」
皆の声を代弁して古哉が尋ねる。
「まだどうなるかわからないので連絡をとってみてから言いますね」
そして連絡をとった二日後、七菜は“教授“のいる大学の近くにいた。




