仕組まれた栄光2
検討虚しく負けてしまった七菜と豪のチーム。
無慈悲にも刑は執行される。
プロデューサーにより、外堀は埋められていたのだ。既に作曲家たちは手配済みだったのだ。
番組放送後、彼らは残年会と称した飲み会を行った。豪と七菜、芸人ドランクドドロボーの鐘山開、同じく芸人で、番組の司会をやっている下田古哉、中堅女優の南山彩の5人だった。
「何なのよ、あの番組は!」
彩がジョッキを一気した後愚痴る。
「そうだそうだ!なんで歌なんて歌わなきゃいけないんだよ」
開は一口飲んだくらいで顔を真っ赤にして同意している。
「そうかな?」
一方で反対の声が上がる。
「僕も最初は驚いたけど面白いとおもったね。君達の本当の姿も見られたしね」
豪はそういえば、番組でこのメンバーの何人かと一緒になったことがあったが、なんだろう今回のクイズ番組は一丸となって取り組んだような気がしたのだ。
「……私、やってみたい」
豪は隣からそんな声が聞こえて顔を向ける。
「はぁ!?“歌は駄目なの~“ってギャン泣きしてたの、そもそもあなたじゃない!」
「ギャン泣きって……確かにそうですけど。恥ずかしい。いつも組まない人と一緒になって何かしたの楽しかったんです。こんな機会が貰えることってなかなかないと思いますし」
豪はと言えば、前向きな七菜に惹かれており、古哉はそれを見てほうなどと思っている。
「ふんっ、生放送だったのよ!いまさらやらないなんて言えるわけないじゃない。愚痴らずにいられなかっただけよ!」
「まぁ、僕たちがいきなり本格的な歌を歌えるわけがないからね、緩いのにしよう」
古哉はわりとやる気らしい。
「僕は歌わないからな!」
もはやでろでろの開はそういいながらいびきをかいて寝てしまう。
「たった一杯で起きていられず、か。次はアルコールは無しだな。彼は楽器担当にでもするか。とりあえず今日は打ち上げだからな。飲んで次から真剣にやろう」
こうして何とか進んでいくのだった。