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雛と那帆
「ねぇ、“教授“ちゃん飼わないの?」
雛がそう言ったが、
「むしろ雛が飼って欲しいんでしょ?」
とニヤニヤしながら返す。
「……そうだよ!だいたいわざわざペット可のアパートに引っ越しておいて飼ってないじゃないか。野良ねこ連れ込み可とは違うと思うけど?」
さすがに那帆もちょっと困った顔をする。
「うん、まぁそうなんだけどね。“教授“はキャンパスの主なんだよ。特定の誰かの下には行かないんだ」
那帆は少し寂しそうに言う。
雛もそう言われてなんとなく理解する。
「まぁ、いつでも大学に行けば会えるしな」
雛が慰めてくれたことに気づいたのだろう。
苦笑しながら、
「それに同じように思ってる人はいっぱいいると思う。“教授“はみんなの“教授“でいいんだよ。」
ちょっと悲しそうに、でも笑ってそう言うので
「うん、そうだね」
雛は肯定した。
「雛の愛好会の人に怒られちゃうしね」
俯いた那帆がボソッと呟く。
「え、何?」
「ふふっ、なんでもないよー」
「嘘っ、ぜったい嘘だー。」