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縄張り紀行「仮」  作者: 夢辺 流離
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狩猟本能

「需要曲線と供給曲線が交差するところで価格が落ち着くことになります」



 篠田教授がスライドを指しながら講義をしている。


 需要と供給か。毎年同じ話を聞いているのだがとんと飽きることがない。不思議なものだ。

経済学の基礎となるこの講義ではどの教授も持論を展開しているわけではない。


 にも関わらず、学生達の表情は天と地ほどの差があるわけで。どうやら今回の講義は割と評判がいいようだ。ときおり教授の講義も聞いているが、我輩が主に注目しているのは聴講している学生の様子である。

講義室の隅っこであっちを見こっちを見している。


 前期・後期とある大学の日程の、後期の講義のオススメを知るために我輩も参加しているのだ。

断じて同じ講義を毎年聞いていて飽きた、とかではない。


 口元に手を当てて考える。

大学という場所は学生が頻繁に通っており、野良ねに餌を与えたりする機会が他より多い。


 そうなると、それを狙って住み着くねこが増え、結果的に一匹あたりのもらえる餌の量が減ると競争が起こり、住み処を替えるねこが出てきて、キャンパス内で棲息するねこの数は多少の増減はあるもののある程度の数量に落ち着く、と多分そんにゃ感じ。


 そんなことを考えていると、放送がなって、講義が終わったことを知らせる。

流石にねこ用の出入口なんぞはないので、出ていく学生が開けたドアから一緒に出ていかなければならない。


 終わってすぐ出ていこうとすれば、人が混みすぎて踏まれかねないし、人が減りすぎると、出ることが叶わなくなり、見極めが必要だ。


 ドアから離れたところで身を臥せて足に力を込めてその時を待つ。


 もうすぐ、もうすぐ。

立てた尻尾がうねうねと揺れ、その付け根のお尻もフリフリと揺れる。


    


   ーーー今だっ!


 我輩は無事脱出に成功せり。



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