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寡黙なニコルと人間失格  作者: 或田いち
家出少女の失踪
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32/65

捜索開始

 

《何、いなくなったぁ?》


受話器の向こうで運転中と語る後輩は

聞くなりみっともない声をあげた。


「そうなんだよウチの娘が。

 多分すぐ帰って来ると思うんだけど、念には念をと渥美先生様々が」


《ユウスケ先輩がそう言うなら大丈夫っしょー。


“探さないで下さい”とかドラマ仕立てな置き手紙あるならまだしも》


人間失格、思わずそれには口をつぐむ。



《…え、まじ?》

「焦るべきとこかなやっぱり」


軽くヤバいッスね。と

ちょっとばかし前の流行語を吐く青二才は受話器の向こうでうーんと唸るなり


《いや~オレも捜したいのは山々なんすけどね、いかんせん今仕事中ですんで》


まず白昼堂々一般道で携帯片手に運転するとか

既に法に触れてるんでと言ってから


《けど、とりま営業回り中それらしー娘見付けたら連絡しますわ。

 ユウスケ先輩は先輩でまた他の手段で探してみといて下さい》


「わかった」



ありがとね、そう言って公園の公衆電話で受話器を置いて思うのは、

後輩にまで頼ってる俺ってダサいよなという今更ながらの反省と


かれこれ数時間経てど未だ馳せない焦燥感。



(……俺ってつくづく)



人間失格かもしれない。

ぼんやりと思ってから、渥美のセリフを思い出した。


《いいか。まず警察が一番手っ取り早いだろう。


 だけど派手な動きはするな、以前ニコルを届け出た“小松”って警察官以外の初見のお巡りに切り出してみろ

 写真も何もない分恐らくまともに受け入れられないだろうが


 お前は今やれることだけやってみろ》


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