銀の巫女 4
駆けつけた時には、状況は最悪なものとなっていた。
選べる選択肢など他に無く、異形の腕と琴音の間に割って入るしかなかった。
「っ!」
全身を襲う衝撃は、単純な拳の破壊力だけでは無い。
爆発じみたそれは、男の腕に刻まれた呪法によってもたらされたもの。
袖の内側に仕込んでいた十枚の護符が、瞬時に破かれる。
それだけの防壁をもってしても、威力を殺し切れない。俺は背後の琴音を巻き込んで五メートルは転がった。
「・・・やってくれる」
重い体に鞭打って起き上がるが、琴音は地面に突っ伏したまま起き上がる様子は無い。
死んでいないのは見れば分かる。
けれど今の一撃を先に受けたのだとしたら、それは看過出来ない怪我を負っているということだ。
男の拳を受けた俺の両腕に感覚は無い。
繋がっているのが奇跡と思えるほどだが、護符と咄嗟に霊力で壁を作ったのが功を奏したらしい。感覚は無くとも、手は動く。
異形の腕を持つ男は、俺が立ち上がるなり感嘆の声を上げた。
「ほう、まさかそう簡単に起き上がられるとはな。相馬を倒したとは思えんが、出し抜いて来たのは、偶然ではあるまい」
「いや、まぐれさ」
そう嘯いておく。
実際逃げるだけなら、造作も無い。
こうしてやって駆け付けられたのも、無数の式――人型をした人形――を放って相馬の足止めとしておいたからだ。
だが、いつまでも相馬が追ってこない訳が無い。
敵は二人。こちらは琴音を庇いながらの守りの戦い。
工夫を凝らせば戦えない事は無い。
ただ、俺の後ろで倒れている琴音の状態はまったく分からない。放置すれば死ぬ可能性だってある。撤退を最優先に考えるべきだが、琴音を抱えて逃げ切るのは現実味に欠けている。
少なくとも、敵のどちらかは倒しておく必要がある。
そう思いながら新たなナイフを腰の後ろから引き抜く。
二本のナイフを両手に構え、姿勢を低く保つ。
「俺の破壊の拳を受けて尚戦おうとする者など、そうそういない」
異形の拳が打ち合わされ、大気を震わせる。
男は嬉しそうに、豪快な笑みを浮かべた。
彼の赤黒い肌は硬化呪法の重ね掛けの影響だろう。手持ちの武器で有効なダメージを与えるのは難しい。
となれば、狙うは深紅の女の方か。
刈間の腕をすり抜けて、女へと斬りかかるイメージを頭の中で組み立てる。
しかし、それよりも早く女は意外な言葉を発した。
「今夜は逃がしてあげる。必死過ぎて、見ていて哀れだもの。一週間後に、山陽神社で待っているから」
それだけを言い残して、女は踵を返してしまった。
戦う姿勢を取っていた刈間も、不機嫌そうに鼻を鳴らしたが、女の決定に逆らうつもりが無いのか、同じように踵を返した。
「相馬、随分と手緩い戦いをしたようね」
去り際、女は叱責する様な声を飛ばした。
それは俺の背後へと向けられたもの。
「いやなに、この男の手駒はだいたい潰しておいた。次はこざかしい真似など出来ぬであろう」
相馬は琴音から十メートル程離れた場所に立っていた。
気配は感じさせず、ここまでの接近を許してしまったらしい。式を二十も放ったというのに、それが焼け石に水でしかなかったのだと思い知らされる。
もし女が気まぐれで去るような態度を取らなければ、後ろからバッサリと切り捨てられていた可能性もある。
「ではな。次に相見える時は、お主の本気を見せて貰おう」
殺気を納め、相馬も踵を返す。
女は闇の中に姿を消す前に、俺に向かって言う。
「じゃあね、アキト。また楽しみましょう」
まるで友達同士が約束する様な弾んだ声は、この場合、悪夢以外の何物でもなかった。
/
琴音の負傷は、想像していたよりもまだ軽いものだった。
それでも肋骨は折れているし、内臓も傷付いている。致命傷にならないというだけであって、その一歩手前だったのは間違いない。
己の未熟さを痛感しつつ、そっと抱き起こす。
手に触れた黒髪が、さらさらと流れる様に滑り落ちて行く。
近くで見ればより一層、彼女の美しさに驚かされる。
長いまつ毛に、紅を塗ったような唇。肌は陶器のように滑らかで、雪のように白い。
その美貌はずっと前から分かっていたことだが、こうして抱き上げるほど近付いたことは無い。
普段は琴音に配慮して、努めて意識しないように振舞っている。
「まったく、こんなに無茶をして」
静かに抱き上げ、立ち上がる。
そうして改めて思い知らされる。
余りにも軽い身体。戦いにはまったく向いていない細い手足。
それでも神代琴音は戦った。
本当なら逃げだすことだって出来たはずだ。戦いとは無縁に生きようと思ってもいいはずなのだ。
彼女の宿命は、既に終わっている。
俺は彼女の過去を知っているから、余計に不思議に思えてならない。
神代琴音には全てに復讐する権利がある。
この土地をめちゃくちゃにして、何もかも破壊し尽してもおかしくないぐらい、彼女の恨みは大きいだろう。
だというのに、調停者を名乗って何の関係も無い人達を助けようとする。
争いを止め、人の為に生きようとする。
それが彼女にとって、ただの償いや自己満足だったとしても別に良い。
そんな考えは俺には関係が無い。
俺はただ、神代琴音には逃げて欲しかったのだ。何もかも、過去なんて忘れ、目を瞑って、耳を塞いで。
まるで別人のように生きてくれるのなら、俺はこのか弱い少女を全力で守っただろう。
けれど、戦うことを選んでしまった。
傷付いて、裏切られて、見捨てられて、どこまでも救われない。
誰よりも救われない少女が、誰よりも人を救おうとする。
愚かだと思う。
決して賢者のする選択では無い。
それでも、俺は否定する事が出来ない。神代琴音はずっと昔から憧れていた、想像通りの少女だった。
俺は彼女の生き方を尊く愛しいと、そう感じた。
/
古い記憶を頼りにして、夜道を歩く。
腕に抱いた琴音は、時折苦しそうに表情を歪める。
治療しても、意識は数日戻らないかもしれない。いや、なんなら一週間目覚めない方が良いかもしれない。
そうすれば戦いには俺一人で出向ける。
彼らは山陽神社の名を口にしていた。
そこで戦おうということではない。これは犯罪予告みたいなものだ。
山陽神社とはこの土地の龍脈を管理する守護地の一つである。五つの宝剣の内のいずれか一つを納めている。
そこを襲撃すると、彼らは言っているのだ。
同時に、止められるものなら止めて見ろとも。
簡単に落ちるほど、守護地の陣営は甘くない。
国土防衛戦術機関――通称、国防機関――から選出された術者、《巫女七選》と呼ばれる優れた力を持つ者が管理し、守り人から選りすぐった戦士二十名以上が守りを固める要塞だ。
五つの要塞が落ちたことは、歴史上一度たりともない。
攻め入ることすら愚かしいほどの戦力が敷かれているのだ。手出ししたい輩がいたとしても、無謀というものだろう。
けれど、今回の相手は違う。
戦闘能力はこの土地の方術士と比べて段違い。
ここ百年ほどで衰退しつつある守り人の陣営では、守り抜くことは難しいだろう。
たった三人でも、彼らなら守りを突破してしまう。
彼らに対抗できる戦力と言えば、俺や琴音、それに加えて巫女七選ぐらいのもの。
山陽神社には巫女七選最下位、第七の位を持つ巫女がいる。順位は実力で決められている為、もっとも弱い巫女ということになる。
「何にしても、傷を癒さない事には何事もままならないか」
やっとのことで辿りついたのは、商店街の路地裏に通じる狭い通路。
その先を進むと、そこには一軒の店がある。
まるで隠れる様にして建てられた喫茶店プラネット。
ここの店主なら、琴音を治療できる。
『closed』と書かれた看板が掛かっているのを無視して、琴音を抱えながら背中でドアを押す。鍵は掛けられていない。
店内に入る直前、近くで戦闘の気配を感じるが、琴音がこの有様では止めようがないだろう。
後で様子は見に行くとしても、まずは琴音を預けなければならない。
店は極小に抑えられた照明に照らされていた。
落ち着く明るさというよりも、ひっそりと隠れるような暗さだ。
店内を見回して、カウンターの向こうで煙草を吸う一人の女性しかいないのを確認して、口を開く。
「今晩は。頼みがあって来た」
「お客さん、店のドア見なかったの? もう閉まってるのよ」
「客じゃ無いから良いだろ?」
そう問い返すと、妙齢の女性は心底嫌そうな顔をして俺の抱えている琴音を見詰めた。
「どうしたの坊や。車で撥ねちゃったの?」
「似たようなものだが、違う。とりあえず治療をしてくれ」
「似たようなって・・・何したの」
「俺は何もしていない」
カウンターから出てくると、女は灰皿に煙草を押しつけて火を消した。
美人といっても差し支えない女性だが、左目の下には血涙のペイントをしている。そして服は黒を基調にしたドレスだが、何だか毒々しい色をした蝶の柄が入っている。立地条件に関係なく、こんな店主ではさぞかし儲からないはずだ。
そんな益体の無いことを考えながらソファに琴音を下ろすと、店主はしげしげと琴音を観察した。
掌を腹部に押し当て、怪我の具合を見て行く。
「坊や、パパやママに女の子は大切に扱えって教わらなかった?」
「生まれてきた時にはどちらも死んでいたからな」
「ふうん」
気の無い返事をしながらも、目付きだけは真剣になっている。
俺はそんな様子を近くの椅子に腰かけて見守った。
「・・・ん? じゃあアンタ、どうやって生れて来たの?」
「どうでもいいだろ。そんなことよりもどうなんだ。助かるのか?」
「ご臨終だわ」
いい加減にしろという言葉を飲みこんで、代わりに大きくため息を零す。
「治療をしておいてくれ。俺は近くで起きている戦いを見てくる」
「坊やも随分と怪我してるみたいだけど、そっちは良いの?」
「・・・・・・」
流石に良い目をしている。
彼女は現役から離れて久しいはずだが、その鋭い観察眼は死んでいないようだ。普段通りを装っているつもりだったが、刈間の一撃で両腕の感覚は半分ほどしか戻っていない。それに、今頃になって痺れがやってきていた。
「別に何ともない」
「男って強がりよねぇ。それって、女の前でだけ?」
下らない問いかけを無視して、さっさと店を出る。
居座ると、要らぬ世話を焼かれそうでたまったものではない。ここは琴音のまねごとでもしてやり過ごすことにした。
/
地平線が明るい色に染まり始めた頃、琴音の様子を見るために喫茶プラネットへと戻った。琴音の代わりに介入した小競り合では、『調停者の代役』を名乗って戦っておいたが、無駄な混乱を呼ぶだけかもしれない。
人助けをしたはずなのに、後から止めておけば良かったなどと、後悔だけはしたくないのだが。
そんなことを考えながら、店のドアを潜る。
カランと鈴の軽快な音がなる。
店を見回すと、もう琴音の姿はソファにない。店の二階にある居住部分に移されたのだろう。
店主が出てくるのを待って、とりあえずソファに腰掛ける。
すぐに店の奥から足音が聞こえてきた。
琴音がどんな状態かと、すぐに問おうとした口を開けたまま止める。
姿を現したのは女店主では無かく、真っ白な髪をした青年だった。
中肉中背だが、やや女性的な印象を受ける美少年。特徴的な白髪を一つに束ね、背中の方に垂らしているのも、そう見せる一つの要因かもしれない。
茶色のエプロンも似合っている。
「いらっしゃいませ」
と言って、隙無く頭を下げる。
洗練された動きは武道や体術に精通している事を思わせる。
「・・・・・・」
「何か?」
じっと探るような視線を向けていたせいか、やや不愉快そうに眉を寄せる。
「いや、すまないが客じゃない。この店の店主を呼んでくれ」
「マスターに要件ですか。少々お待ちください」
彼の口から飛び出した、マスターという言葉に首を傾げる。店主を呼んだのだから、出てくるのは間違いなく昨夜の女店主だろう。
しかしマスターとは、また面白い呼び方をさせている。それとも、名を知られるのが嫌なのだろうか。
頭の中で推測を重ねている内に、女店主がやってきた。
相変わらず左目の下には血涙のペイント。本当の血のような赤さでは無く、もっと鮮やかな色をしている。けれど、その程度で不気味な印象が薄れるわけではない。
店の中は立地的に、窓があっても光が入らない。天然の光が殆ど無い店内では、そのペイントの色がどうであっても怪しいだけだろう。
「何か、女性に対して失礼なこと・・・考えてない、坊や?」
「別に」
自分のポーカーフェイスが見破られているとは思わない。女の勘という奴だろうか。
「そんなことより、昨日のはどうなった」
マスターの後ろでじっとこちらの様子をうかがっている青年がいるため、あえて分かりづらく尋ねる。
「まぁ、あの娘なら大丈夫よ。看病の方は、この子にも任せてあるし」
「・・・・」
どうやら無駄な気遣いだったらしく、思わずため息を漏らす。
そんな俺に構わず、マスターはニヤリと笑いながら意外なことを口走った。
「それにしても意外よねぇ、あの娘って話題の《銀の巫女》でしょう?」
「―――」
軽い口をすぐさま閉じさせようと殺気を乗せた視線をぶつけるが、マスターはどこ吹く風と涼しい顔をしているだけ。
「守り人同士の抗争を仲裁する銀の巫女と呼ばれる謎の凄腕術者。それに加えて絶世の美女。とうとう守り人の方でも対処に困って、国防機関に討伐を依頼したらしいけど・・・先月の事件以来、国防は身動きが取れないようだし。どう対処するのかしら?」
マスターの背後で、白髪の青年がぴくっと肩を揺らした。
「ねぇ、あなたはどう思うの? 司城志乃夫君君?」
まるで背中に目でも付いているように、マスターは話を振った。
志乃夫と呼ばれた青年は、視線を床に落としながら訥々と語った。
「・・・せいぜい、建前だけの部隊を送るかと。今現在、国防機関には戦力的な余裕がありませんから」
「そういうこと。まぁ、坊やにとっては好都合じゃないの」
「・・・そう思うことにしておこう」
殺気を込めた視線を外し、長く息を吐く。
もっともこちらもやられっぱなしという状況は好きではない。
「引き続き、彼女の安全の確保と看病を頼む」
「お代は?」
「まだあんたのツケが残ってると思うけどな」
そう答えると、彼女は心底迷惑そう顔で一歩引いた。
「ツケって、あれは返せる類のものじゃ無いじゃない。それに、坊やにじゃ無くて、坊やのお父様にツケがあるのよ、わたしは」
「財産は正負とも相続されるものだ。まぁ、この場合はどっちに分類すべきか分からないか」
「正の財産に決まっているでしょう。まったく、最近の子供は人使いが荒いやら、礼儀がなっていないやら・・・」
年寄りくさい文句を呟きながら、マスターは店の奥へと戻っていく。
こう見えて人が良く、面倒見が良いのだから世の中は分からない。
マスターが店の奥に引っ込んだ後、微妙な空気が流れた。
それを壊すべく、ここからは客らしく注文をすることにした。
「エスプレッソ一つ」
「畏まりました」
返事一つで、白髪の青年は準備を始める。
豆を挽く辺りからやっているのは、初めて見たかもしれない。丁寧に、しかし一切の淀みなく進める。
随分手慣れているような印象を受けるが、彼の本職は違うのだろう。
しばしの静寂の間、挽き立てのコーヒー豆から良い香りが漂ってくる。
志乃夫という青年は、これまた洗練された執事か給仕のような仕草でテーブルにカップを置いていく。
音一つ立てない。
似合わないとは言わないが、刀を持つ手をこのように使ってしまっては、宝の持ち腐れだろう。
「・・・うまい」
もっとも、生み出す価値は違えど、その手は無駄になっていないらしい。
静かに一礼し、志乃夫は店のカウンターへと戻っていく。
志乃夫が店のカップや皿を磨くのを見詰めながら、思考を昨晩へと戻す。
脅威的な力を持った戦士は、神代琴音を追い詰めた。
どういう手段を使ったにせよ、彼女を倒せるだけの実力、技術があるということだ。それに対して、彼らが襲うと宣言した守護地は脆い。
普通の相手なら鉄壁の要塞であろうが、彼らと戦えば一方的に押し込まれ、防衛線という形になってしまうだろう。
圧倒的に実力者が足りない。
実力者がいないなら、人数を揃えるしかないが、そんな宛てがあるはずも――――
「おかわりはどうだい?」
思索の途中で、声が割り込んできた。
顔を上げると、志乃夫が丁寧な物腰で立っていた。
「あぁ、貰うよ」
「これはサービスだ。うまいと言って貰えたからね」
丁寧は物腰とは違った、人懐っこい笑みを浮かべる。
そんな志乃夫を見ながら、ふと国防機関が神代琴音の討伐に動き出しているという話を思い出した。
「国防機関が動いているという話だったが、規模がどれほどか分かるか?」
「それは、機密情報だよ。簡単に手に入る訳が無い」
笑顔を潜め、硬い表情で答える。
そこまでは予想通りの返答だったが、更に志乃夫は続けた。
「とはいっても、まったく手に入らない訳じゃない。伝を頼れば、少しぐらいは探れるかもしれない」
「なるほど。頼めるか?」
返事は首肯で返ってきた。
新たに注がれたコーヒーを啜りながら、場合によっては国防機関の部隊をあの敵にぶつける事を想定する。
完全に止められないまでも、足止めぐらいにはなるだろう。
「ところで、君に聞きたい事が二つあるんだが」
「ん?」
まだ立ち去らずにいた志乃夫が、すかさずカップにコーヒーを注ぐ。
しかし視線はこちらを捉えたまま。その眼はまるで得物を狙う狩人のようだ。
彼の女性的な雰囲気は、その鋭い目で否定されている。
有無を言わせぬ圧力を感じながら、肩を竦めて見せる。
「難しいことを尋ねる訳じゃない。彼女、神代琴音が何故あのように無茶な戦いをしているのか、その理由を聞きたい」
何を聞くのかと思えば、そんなことか思う。そんな答えが俺の中にあるはずが無いのだから。
「俺が戦っている訳じゃない。それは俺に聞くんじゃなく、本人に聞くのが筋だ」
「・・・言われてみれば、その通りだな」
特に反論することも無く、ふっと重圧が消える。
そして志乃夫は何気なく二つ目の質問を投げてきた。
「君の名を教えて貰えるかな。まだ聞いて無い」
「アキトだ。ただの、アキト。それだけ」
「・・・あきと、か」
志乃夫は噛み締める様に一言、その名を呟く。
そして踵を返しながら言う。
「アキト、国防機関は宛てにしない方が良い。どうせロクな戦力が送られてくるはずが無いんだから」
吐き捨てるような言葉は、何に向けられてのものかは分からない。
しかし、その声には明確な憎悪が含まれていた。




