王命と小さな波紋
アリオト・クレオ・ユングラン国王陛下が、入室した。
その場にいた全員が立ち上がり礼をする。
国王が、手をおろし、皆が腰かける。
アリオト国王…初めてお会いする。
銀色の髪に赤い瞳 王家の色 鼻筋が通り美しい顔立ち
あれ? ユリアスに、似ている? 亡くなった王妃様がコーレリア公爵の妹だったはず。
国王陛下はユリアスの伯父様にあたるけど血のつながりはないはずよね…
つい、国王陛下の顔をまじまじと見てしまった…
「ん? なんだ?ルナティア 私はそんなにいい男か? 」
え?? わたし??
「は…はい、とても素敵です 」
あわわわ‥私ったらと顔を真っ赤にして焦っていると
「ハハハハハ!!聞いたか 私も捨てたもんではないだろう! 」
国王陛下は、嬉しそうに冗談を言うが、私はもう恥ずかしくって泣きそうだ
エドガーお兄様は、自分のこめかみ押さえて苦虫嚙み潰した顔をして
フェドリックお兄様は笑いをこらえて体を震わせている。
前に座っているユリアスは…なんだか小動物を見るかのようにニコニコしている。
「まあ、気分の良い話はここまでにして、
ここからはいい話と悪い話をしよう 」
国王陛下の表情が変わった。
先日、ステファンとユリアスから国王陛下へ報告された内容が、改めてこの場で語られた。
神殿で起こったこと、
ファウト様とポーラ様の真実
『桜花の奇跡』と『氷華の奇跡』の存在
そして、シンリー、ジュリアン、ローズの暗躍について
私はすべて知っている内容だが、他の者には知らない真実ばかりで
みんな呆然としている…
と思いきや…二人のお兄様はいつも通りの涼しい顔をしている…
この人達…暗躍し過ぎではないだろうか…
ガタンと椅子が倒れる音がした。
ジュリアンの父ユーリア公爵とチャールズが、身体を震わせながら床に伏して
いた。
「皆様申し訳ございません…ジュリアンが取り返しのつかない事を…
私は、父親としてこの命を差し出してもお許しいただけないかもしれませんが、チャールズは…この者や領民にはどうぞ寛大な処置を… 」
ユーリア公爵は、涙を流しながら許しを乞うていた。
「いえ…私も兄の傍にいながら止める事ができなかった…
父上だけでの責任ではございません
私にもご処分を… 」
「チャールズ…お前… 」
チャールズのこんな姿を見ることになるなんて…
せめてこの場にアリシアがいなかった事が救いだった。
ふぅーっと大きなため息が出た後
「ストラ・ユーリア、チャールズ・ユーリア まあ、座れ 」
国王陛下が、席に着くよう促す。
二人が席に座った事を確認をした後、ゆっくりと話し出した
「まず、ジュリアンは既に、ストラ…おぬし。
廃嫡にしておるだろう あやつはもうユーリア公爵家とは関係ない者だ。
ただ、おぬしには全く責任のないという事ではない
処分についてはすべて解決してから下す。
また、チャールズ…おぬしが、命を差し出すことが兄のしたことに責任を取る事にはならんのだぞ。
おぬしは、今回兄のしでかした事で、これから進む道は茨の道が待っているかもしれん。
おぬしはそれに耐えて領民を支えていくこと、魔道具士として国を支えることがおぬしのすべきことだと考えてはくれまいか? 」
「う・・・うううう 」チャールズは言葉にはならず嗚咽を漏らしていた
私も涙を止めることができなかった。
「チャールズ…おぬしにはおぬしの為に涙してくれる友もいるではないか…
命を粗末にするな…」
国王陛下、すごくいいことおしゃってくれているんですが、その度に私を引き合いに出さないで~。
その度にみんなこちらを見てくるから~・・・
「ジュリアンについては、先日もここにいるルナティア・ライズを含め三名をウッドゴーレムを率いて襲撃したとフェドリックから報告を受けている。
シンリー、ジュリアンそしてローズは禁書、闇の魔道具の悪魔の手中に入っており、もう人としての心を失っていると考えられる 」
ここまで、話して国王陛下は一度目を伏せて息を吐いた。
「私の妻ステラ、弟ファウト、そしてファウトの妻ポーラ。
彼等の命を奪った者たちは、いまやユングラン王国を脅かす存在となった。
よって私は、シンリー、ジュリアン、ローズそして闇の魔道具の悪魔の討伐を決定した。
ただ、相手は悪魔の闇の力を持つ者たちだ。
全ての龍の目覚めを一刻も早くすることだ。
そのためにも、ルナティア・ライズ含む四人の薬師は『氷華の奇跡』の調合を一刻も早く進めること。
スティーブ・コーレリア公爵、ルナティア・ライズ…彼女たちに協力してあげてほしい。
ユリアス・コーレリア お前はルナティア・ライズの護衛として彼女についてあげてほしい
又、詳細については、ライズ公爵家、コーレリア公爵家にて相談決定の上関係者に通達すること
以上だ 」
「御意!」と全員が返事した。
う・・んと結局、調合するつもりの『氷華の奇跡』を国王陛下バックアップの元調合するから、さっさと作ってハク達を起こせっていう事なのね。
でも、国王陛下バックアップなら話早いし安心だわ~
と思っていたら両隣の二人のお兄様のご機嫌がすごーく悪くなっている…
ええ? 今の話でなんかそんなに機嫌悪くなることあったっけ?
と思っていたら
ユリアスにも挨拶ができないまま
「ティア!行くぞ!! 」と二人に両腕がっちりホールドされて
王宮内のライズ公爵家の執務室へと連れていかれた。




