表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻の百合桜  作者: ふみりえ
幼馴染み編
29/34

第二十九話 ヒガンバナ

「リアラどういうこと?」


 リアラに飲み物を取りに行った時のことを教えてもらう。


「でもその生き物は水中の中にいたんでしょ?なんでここにいるの?」


「さあ?水陸両用なんじゃない?」


 僕らが呑気にそんな会話をしていると、


「な、なぁ嬢ちゃん達、あいつらのこと知ってるんなら早くどけてくれよ」


 後ろで困惑している人達がそう言ってきた。


「いや私達もそんな知らないから..」


 僕は今も道いっぱいに並んでる謎の生物の姿をもう一度見た。


「なんか、最初見た時よりも不気味な感じになってるような....姿は何も変わってないのに。」


 僕の言葉にリアラを含めた周りの人達も謎の生物を見る。


「た、たしかに最初見た時よりも怖くなってるような」


「え、襲ってきたりしないよね?」


「気味悪い..」


「うぅ..」


 周りの僕らと同じくらいの年齢の子は泣き始めた。


 いや、僕とリアラも目の前の生物を見て涙目になっていた。


 顔はのっぺらぼう、手足には水かきがあり、どちらかというと痩せ気味、皮膚は人間のものとは思えない見た目だった。


「「......」」













 水族館の屋根の上で、仮面を被った男が座っていた。


「さて、十分集まったかな。」


 そして指をパチンと鳴らし、合図を出した。













「な、なあ、動かないんだからこのまま進んじまおうぜ。」


 誰かがそう言った。


 その声に周りの人も同意の声をあげた。


「おお、そうだそうだ!」


「なにもしてこないし、このまま逃げちゃいましょう!」


 お客の人達が前に進もうとする。


 その時、


「!!リアラ!」


 咄嗟にリアラを押して、廊下の壁側にリアラを包むような感じでしゃがんだ。


「きゃあああああ!!」


「うわあああ!!」


 後ろを振り返ると、先程まで全く動かなかった生物が次々と目の前のお客を襲っていった。


「リ、リーバ」


「静かに」


 リアラを壁に押しのけた時点で、普通の人からは僕たちのことが見えない魔法を張った。

 これで僕達は大丈夫....


 リアラの顔を見ると、リアラは視線を今も尚襲われ続けている客の方をじっと見ていた。


 僕はそっとリアラが視線の先を見えないよう、腕で遮った。


 目を瞑り、これからどうするのかを考える。


 あの生物が人を襲った以上、もうここにはいられない。

 すぐに逃げないと。


 少しすると、後ろが静かになる。


 きっと客の人達がみんな死んだんだろう......


 ゆっくりと目を開ける。


 目の前ではリアラが僕の後ろを涙目になって見つめている。


 もうこの時点で嫌な予感がした。


 そ〜っと後ろを振り向く。


「ひっ!」


 目の前には僕らを囲むように立っている謎の生物が沢山居た。


 体は血まみれ、特に水かきのある手はたくさんの血で濡れていた。


「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」


 僕とリアラは恐怖で涙を流す。


 時間がとても長く感じる、実際は10秒も経ってないのだろうが、僕にはそれが何十分にも思えた。


 その感覚を無くしたのは、リアラだった。


 奴隷解放の際に予備で渡していたもうひとつの爆弾、それをリアラはコロコロと謎の生物の前に転がし爆破させた。


 ばーーーん!!


 それを合図にリアラの手を引き、必死に走った。


「はぁっはぁっはぁっはぁっ」


 少しするとすぐに後ろから大勢の足音が聞こえる。


 僕らはとにかく外に出ようと館内の案内表示を見ながらがむしゃらに走った。


 しばらく走っていると、


「おーい!こっちだ!」


 曲がり角から髭の生えたおじさんが手招きをしていた。


 咄嗟にその人の方に走り、追っ手を撒いた。






「はあっはあっはあっはあっ!」


「大丈夫かいお嬢ちゃん達?」


 見ると、私とリーバの体は汗まみれでずっと握っていた手はお互いに痕がついていた。


「あ、ありがとうおじさん、おじさんは誰?」


 私たちを助けてくれたおじさんはスーツを着ており、


「この水族館の館長だよ」


 と教えてくれた。


「一体何が起こってるの?」


 リーバが息を切らしながら館長に聞く。


「い、いやそれがこちらも分かっていないのだよ、いきなり変な生物が現れて」


 私たちは館長の話を聞きながら奥の方へと歩いていた。

 きっとこの先に避難所があり、ほかの避難した人たちもいるのだろう。


「だがもう大丈夫だ。国に支援要請もしたしそのうちこの騒動も終わるだろう、安心するといい、リアラくん、リーバくん。」


「え?」


 私とリーバは今の館長の発言に疑問をうかべた。


 私たち、館長の前で名前呼び合ったっけ?









「さあ、この先が避難所だよ。」


 館長がオートロックのドアを開ける。


 中はこの水族館の管制室のようだ。


 周りを見ると、僕たちと同じように逃げてきた人達が大勢いた。


「さぁ、もう大丈夫....大丈夫だからね..」


 館長は入ってきたドアを閉めると、オートロックをした上にチェーンなどで多重に鍵をかけた。


 あぁ....そういうことね..お願いだから整理する時間が欲しい。


「まだ気持ちの整理も出来てないのに....」


 ボソッと小声で僕は言った。


「さあみなさん、新しい避難者ですよ、リアラくんとリーバくんです。」


 館長が僕たちの名前を発すると、


 ぐるんっ!


 管制室の椅子に座って作業をしていたはずの職員達が体はそのままで首だけをこちらに向けた。


「あ、あああ....」


 その姿は先程僕たちを襲ってきた生物だった。


「あああああああ!!!」


 すぐに後ろを振り向き、厳重に施錠された先程のドアをめいっぱいの魔力を込めて魔法で壊す。


「リアラ早く!!」


「で、でもほかの人たちが....」


「いいから!」


 リアラの手を無理やり取り、管制室から走った。


 後ろでは、


「に、逃げはしましたがこの部屋に誘き寄せたでしょう!!私たちの命は助けてくれますよね!!」


 という館長の声が聞こえた。


「○○○」


「あ、あああああああ!!!」


 館長の叫び声と共に、血が吹き出る音と体を抉るような音が何重にも聞こえた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ