第45話 お見舞い
「―――やべぇっ!?俺、いつの間に寝ちゃってたんだ…?ファッ!?」
俺が目を覚ますと、なぜか隣で望月が眠っていた!?
「んぅ……zzz」
望月は、俺の身体にぴったりと身を寄せて、気持ち良さそうに寝息をたてている…。
間近で見る寝顔も可愛いっ♡♡♡
俺は、望月を起こさないように、二人の愛の巣♡…じゃなくて!ブランケットの中から這い出た。
こいつ、無防備すぎるだろ!!
ケツ掘られた野郎と添い寝するなんて……
「ほんとに……っ!人の気も知らないで……」
望月は―――杏子は、聖さんのことが好きなのに……
というか、二人は、相思相愛で……
俺の入る余地なんて、どこにもないのに……
なんで、今になって、俺は杏子のことを……!!
ドドドドドド…ドタドタドタ!バタバタバタ……
んっ!?
なんだこの物音は!?
「――もうっ!コロったら、悪い子だな~。あっ!?まりりんも来てたんだね?」
突然、聖さんが襖を開いて現れた!?
「ひっ、聖さん!?」
紺色の制服姿の聖さんは、綺麗なプラチナブロンドを後ろで一つに束ねて純白のリボンを結んでいる。
聖さんの宝石のように美しい澄んだ青い瞳が俺のことを真っ直ぐに見つめている。
今日の聖さんも大変お美しい♡!!
でも、なんで聖さんが杏子の家に?
しかも、聖さんはなぜか腕の中にモフモフの丸い狸を抱えている。
「ボク、アンズのお見舞いに来たんだ。玄関の前で何度呼んでも返事がないから、一旦帰ろうかと思ったけど、ドアが開いてたから入っちゃった♪」
「それは、すみませんでした!せっかく、聖さんがいらしていただいたのに、俺と杏子…じゃなくて!望月、眠ってしまっていて…!!」
「ボクのこと別にはいいけど、まりりんもアンズも不用心だよ~!いくら昼間だからって、玄関のドア開けっ放しなんて、泥棒さんに入られちゃうよー?最近、なにかと物騒なんだから、気を付けてよね!」
「はい、すみません…!!」
俺としたことが!!
玄関のカギを閉め忘れるなんて…!!
「泥棒さんは入らなかったから良かったけど、コロが勝手に家の中に入ってウロウロしてたんだよ~?」
「コロ?」
「この子がコロだよ!どうせ、食べ物が目当てで入ったんだろうけど、人の家に勝手に入っちゃダメだよ~?」
聖さんは、腕の中に抱えているモフモフの狸の額を指で軽く小突きながら言った。
狸……?
うっ…!?
俺、なにか…大事なことを忘れてるような……?
なんでかわからないけど、この狸を見てると、胸がざわざわするような……
「まりりん?どうかした?」
「いえ…!なんでもないです…。まさか、聖さんのペットが狸なんて意外ですね。」
聖さんには、毛並みの良い血統書付きのボルゾイとか気品のあるペルシャネコが似合いそうなのに…。
「コロは、ボクのペットじゃないよー。本当は家で飼ってあげたいんだけど、コロは野生動物だから飼っちゃダメだってママに言われてるんだ…。」
聖さんは、愛おしそうにコロの頭を撫でながら言った。
コロは、聖さんの腕の中で気持ち良さそうに目を細めている。
「野生の狸なのに、随分良く懐いてますね~!」
やはり、聖さんの絶世の美貌は野生動物でも手懐けてしまうんだな!
「ボクだけじゃないよ、コロはアンズとも仲良しさんなんだよ。あっ!もしかして、コロもアンズのお見舞いに来たのかも!ごめん、コロ…。ボク、てっきり、ごはん目当てで来たのかと思っちゃった…。ふぁっ?コロ?」
コロは、急に聖さんの腕の中から飛び出すと、短い手足でテトテト歩いて、畳の上で寝ている杏子のそばに行くと、杏子の胸元に丸まって座り込んだ。
「ほらね、コロもアンズのことが心配だったんだねぇー。」




