新たなる始まりの代償
アステリオンの朝市は、サルゴンとカエレンが到着した頃には、すでに大勢の人々で賑わっていた。
色鮮やかな天幕の下では、商人たちが声を張り上げて値段を告げていた。輝く鉱物を積んだ荷車が露店の列の間を進み、武器や見慣れない装備を携えた冒険者たちが通りを行き交っている。人間と亜人たちは、アウター・ヴェイルの遠方の集落や惑星、未探索領域から運ばれてきた品々を巡って交渉していた。
市場の上空には、巨大な建造物が淡い空へ向かってそびえ立っていた。普通の石材で建てられたものもあれば、半透明の結晶で造られているように見えるものもあった。中には周囲の建物の上空に浮かび、光の橋によって通りと結ばれているものさえあった。
アステリオンは、単なる都市ではなかった。
それは、富と知識を求め、平凡な日常の向こう側にある機会を探し求める者たちが集う場所だった。
カエレンは、隠すことなく興味深そうに周囲を見回した。
「それで、どこから始める?」
サルゴンは市場を観察し続けていた。
「アル・メラージュ号の修復に必要な物資だ」
「そうだったな。まずは船が最優先だ」
カエレンは、金属鉱石をいくつも並べた露店のそばで足を止めた。鉱石の表面は陽光を受けて奇妙な色彩を反射し、その内部では淡い模様が動いているように見えた。
「だが、金を使う前に、この場所の物価がどれほどなのか確かめておくべきだな」
「もっともな提案だ」
カエレンは片眉を上げた。
「今、皮肉も言わずに賛成したのか?」
「考えを変えることもできる」
「聞かなかったことにしてくれ」
サルゴンは再び歩き始めた。
カエレンは首を横に振りながら、その後に続いた。
二人が向かったのは、市場の中心部に近い場所にある大規模な交易会館だった。周囲に並ぶ小さな露店とは異なり、その建物は複数階から成り、入口には取引の種類を示すさまざまな紋章が掲げられていた。
鉱物。
遺物。
装備品。
探索契約。
そして、希少物資。
内部では、商人や探索者たちが公共情報掲示板の周囲に集まっていた。長いカウンターの向こうでは係員たちが取引を記録し、独立した商人たちの何人かは、遠方から持ち込んだ品々の見本を展示していた。
サルゴンは、特殊物資の一覧が記された掲示板へ近づいた。
カエレンも隣に立つ。
「何が見つかるか、見てみよう」
サルゴンは、入手可能な物資の一覧を確認した。
彼の究極属性が示した必要条件は、今も明確に記憶に残っていた。
アル・メラージュ号は緊急次元通路を通り抜け、生き延びることには成功した。しかし、生き延びることと、完全に回復することは同じではない。
船体の外部構造は広範囲にわたって損傷していた。複数のシステムは依然として不安定であり、高度な構成部品の中には、以前と同じ性能で稼働できなくなったものもあった。
緊急修理によって、巡洋艦はどうにか維持されていた。
しかし、修復が完了したわけではない。
必要な物資が手に入らなければ、エーテル海を進む彼らの旅は、依然として不確かなものとなる。
サルゴンは、掲示板に記された必要物資を確認した。
高純度星金属。
虚無耐性構造合金。
次元安定化部品。
時間帆コア部品。
高性能コア伝導体。
これらの物資の一部は、アステリオンで入手可能だった。ほかの物資も、十分な資金を持ち、到着まで待つ覚悟があれば、遠方の供給業者から取り寄せることができる。
しかし、最も希少な部品は、すぐに購入できる品目には含まれていなかった。
それらの項目には、過去の探索記録や個人コレクション、そして取引制限のある売買記録への言及が記されていた。
カエレンが掲示板へ身を乗り出した。
「頼むから、この価格が冗談だと言ってくれ」
「事実だ」
「聞きたかった答えとは違うな」
サルゴンは、見積もられた費用を精査した。
現在入手可能な部品だけを購入したとしても、残された資金では修理を完了できない。
しかも、それは価格が変わらないと仮定した場合の話だった。
需要に応じて価格を変更する権利を留保している商人もいた。また、都市の外から物資を調達することに同意する前に、多額の前金を要求する者もいた。
カエレンは腕を組んだ。
「つまり、問題は三つあるわけだ」
「言ってみろ」
「一つ目、金が足りない。二つ目、一部の物資はここでは手に入らない。そして三つ目、最も必要な物資ほど、見つけるのが難しそうだ」
「その通りだ」
カエレンはサルゴンを見つめた。
「せめて、そんなにひどい知らせじゃないような顔くらいしてくれ」
「そう装えば、状況が変わるのか?」
「いや」
「なら、そうする理由はない」
カエレンはため息をついた。
「お前って、どんな問題でも天気予報みたいに淡々と説明するよな」
サルゴンは掲示板から離れた。
「行くぞ。もっと情報が必要だ」
二人は、まず一般の商人たちを訪ねることにした。
サルゴンは価格や在庫状況、配送方法、希少物資を購入する際の条件について尋ねた。商人が質問に答えるよりも値段交渉を優先しようとすると、カエレンが会話を引き受けた。
最初に分かったのは、アウター・ヴェイルには広大な交易網が存在するということだった。
アステリオンの商人たちは、ほかの都市や遠方の惑星、放棄された集落、危険な探索区域から商品を仕入れていた。
特定の物資は登録済みの交易商会を通じて注文できる一方、探索者たちが遠征から帰還したときにしか市場へ流通しない品もあった。
入手が困難な物資ほど、その価格は予測しにくくなっていく。
ある商人が今日、少量の在庫を持っていたとしても、別の探索隊が新たな物資の回収に失敗すれば、翌日にはその数倍の価格で売り出すかもしれない。
あらゆる物資を確実に入手できる、絶対的な価格など存在しなかった。
資金は重要だった。
人脈も重要だった。
そして、情報もまた、そのどちらにも劣らないほど重要になり得た。
ある商人が、通常の商業物資と探索によって回収された物資の違いについて説明するのを、カエレンは耳を傾けて聞いていた。
「つまり、探索者が価値のあるものを持ち帰れば、ここで売ることができるのか?」
「その品を売る法的な権利があればな」と商人は答えた。「保護対象の遺跡もある。発見物の所有権が遠征の出資者に帰属する場合もある。一部の遺物は、市場に持ち込む前に登録しなければならない。立入制限区域から持ち出されたものは、没収される可能性もある」
カエレンは頷いた。
「それなら、妥当なルールだな」
「探索から帰還した後になって、自分が調査した遺跡は立入制限区域だった、と誰かに言われるまではな」
商人の表情から察するに、それは単なる仮定の話ではないようだった。
カエレンはサルゴンに視線を向けた。
「何かを探しに行く前に、規則を把握しておくべきだな」
「同意する」
商人は、近くのカウンターを指さした。
「遠征や許可証、回収契約に関する問い合わせなら、探索者登録所が担当している。認可された探索地点の公開記録や、独立した探索者に必要な基本条件も管理しているぞ」
サルゴンは小さく頷いた。
「感謝する」
二人は交易会館を横切り、登録所へと向かった。
その後の一時間、彼らは公開記録から情報を集めた。
アステリオンには、金を稼ぐための方法がいくつも存在していた。
集落間で貨物を輸送する者もいれば、指定区域で鉱物を採集したり、危険な交易路から失われた物資を回収したりする者もいた。
さらに経験豊富な探索者たちは、古代遺跡や放棄された施設、ダンジョンへの遠征に関する契約を引き受けていた。
報酬は、難易度や希少性、そして危険度によって変動した。
単純な貨物回収契約なら、得られるのはささやかな報酬かもしれない。
しかし、遠征に成功すれば、一般的な労働者が何か月も働いて得る金額をはるかに上回る価値の遺物を手にできる可能性もあった。
だが、その逆もまた真実だった。
遠征に失敗すれば、参加者には何も残らないこともある。契約によっては、探索者自身が装備を用意しなければならず、最終的な報酬から経費を差し引く出資者もいた。
カエレンは、掲示された仕事の一覧に目を通した。
「貨物回収、鉱物採集、遺物回収、遠征支援か……」
カエレンはサルゴンを見た。
「ここなら、金を稼ぐ方法はいくらでもありそうだな」
「そうだな」
「ということは、必ずしも今すぐダンジョンに飛び込む必要はないわけだ」
「その通りだ」
カエレンは満足そうな表情を浮かべた。
「よかった。何も知らないまま地下の穴に飛び込んで、すべてを危険にさらす前に、この都市について理解しておきたいからな」
サルゴンは公開記録に目を向けた。
「都市を理解したところで、あらゆる危険がなくなるわけではない」
「分かっているさ。でも、計算したうえで危険を冒すのと、事前に何も調べる気がなかったせいで危険に飛び込むのとでは、まったく違うだろ」
「その区別は有益だ」
カエレンは疑わしげな目を向けた。
「今のも褒め言葉か?」
「違う」
「そうだろうな」
そんなやり取りを交わしながらも、カエレンは引き続き、提示された契約を調べていた。
彼は単に、最も簡単に金を稼げる方法を探していたわけではない。
アウター・ヴェイルがどのような仕組みで成り立っているのかを理解したかったのだ。
彼らは、ほとんど何も知らない宇宙へとやって来たばかりだった。この都市の基本的な規則を超えた政治体制も、法制度の全容も、そして広大なエーテル海とのつながりも、まだ理解できていない。
現地の通貨でさえ、慎重に扱う必要があった。
アウター・ヴェイルでは、域内取引にシンが使用されていた。ロー・シン一万枚がハイ・シン一枚に相当する。この通貨はアウター・ヴェイル全域で通用するが、その境界を越えた先でも普遍的に使えるわけではない。
一方、エーテル・カウンティ硬貨はエーテル海全域で使用されており、アウター・ヴェイルの商人たちにも受け入れられていた。
ただし、その額面ごとの換算体系は異なっていた。
エーテル・カウンティ銅貨二百枚が、エーテル・カウンティ・プラチナ貨一枚に相当する。
エーテル・カウンティ・プラチナ貨千枚が、エーテル・カウンティ銀貨一枚に相当する。
そして、エーテル・カウンティ銀貨千三百枚が、エーテル・カウンティ金貨一枚に相当する。
独特な換算比率のせいで暗算は面倒だったが、交易会館には公開された通貨換算表が用意されていた。
カエレンは、その一つを調べた。
「少なくとも、何の手がかりもないまま、まったく新しい通貨制度を覚えなきゃならないわけじゃないな」
「為替レートを知ることと、物の価値を知ることは別だ」とサルゴンが答えた。
「どういう意味だ?」
「ほかの商人と同じ通貨を受け取る商人でも、必要以上に高い値段を請求することはある」
カエレンは再び掲示板を見つめた。
「つまり、相場も覚えなきゃならないわけか」
「どの商人を信用できるのかもな」
「素晴らしい。新しい問題が山積みだ」
「注意深く観察すれば解決できる問題だ」
カエレンは無表情で彼を見た。
「今の発言を聞く前から、ちゃんと注意していたんだがな」
正午までに、二人はそれなりの量の情報を集めていた。
一般的な修理用物資の一部は、現地で購入できる。いくつかの特殊部品も、個人商人を通じて入手可能だった。しかし、最も希少な物資となると話は別だった。
それらの名前は過去の遠征記録に記されていたが、確認された回収量は極めて限られていた。
中には、特定のダンジョンの最深部からしか回収されていないものもあった。
また、熟練の探索者たちでさえ、調査に成功していない遺跡と結びついている物資もあった。
いくつかの品目については、近年の回収記録すら存在しなかった。
カエレンは集めた情報を見つめた。
「どれも普通の物資じゃないな」
「そうだな」
「熟練のダンジョン探索者でさえ、見つけるのに苦労している」
「そのようだ」
カエレンは顎をさすった。
「なら、問題は必要な金額だけじゃない。アル・メラージュ号の修復に必要なものを、本当にすべて見つけられるかどうかだ」
サルゴンは、しばらく沈黙した。
集めた情報は、決して楽観できるものではなかった。
資金があれば、販売されている部品を購入することはできる。しかし、何年もダンジョンの深部から持ち帰られていない物資まで、確実に手に入れられるとは限らない。
彼ら自身で、その入手先を調査する必要がある。
だが、その前に、まず行動を始めるための資金を確保しなければならなかった。
「必要な物資を二つのグループに分けるべきだ」とサルゴンが言った。
カエレンは彼の方を向いた。
「購入できる物資と、自分たちで探さなきゃならない物資か?」
「その通りだ。十分な資金を確保したら、入手可能なものを購入する。残りの部品については、別途調査する」
カエレンはゆっくりと頷いた。
「理にかなっているな。商人から買えるものを、わざわざ探し回る必要はない」
「だからといって、手に入るというだけの理由で、所持金をすべて使い果たすべきでもない」
「特に、ここにどれくらい滞在することになるのか分からない以上はな」
サルゴンは、市場を見渡せる大きな窓へ視線を向けた。
彼らがアウター・ヴェイルへやって来たのは、偶然だった。
当面の目的はアル・メラージュ号の修復だ。しかし、この宇宙から脱出するためには、船の損傷箇所をいくつか直すだけでは不十分だった。
彼らには、周囲の環境を理解する必要があった。
信頼できる情報も必要だった。
そして、巡洋艦が再び航行できるようになるまで、現在置かれている状況の制約を受け入れながら行動しなければならなかった。
カエレンは考え込むような表情を浮かべた。
「もう一つ、考えておくべきことがある」
サルゴンは黙って続きを待った。
「俺たちは、ここを旅の途中で立ち寄った場所として考えていた。だが、希少な部品が深いダンジョンの奥に埋もれているなら、予想以上に長く滞在することになるかもしれない」
「その可能性はある」
「なら、金を稼ぐ間に、アステリオンとアウター・ヴェイルについても、もっと詳しく知っておくべきだ。法律、主要な交易路、近隣の集落、危険な地域、そして人々が実際にどうやって生きているのか」
カエレンは一度言葉を切り、それから続けた。
「この宇宙の支配者についても、もう少し調べておきたい。会う必要があるからじゃない。俺たちが足を踏み入れた場所を統治している権力を、無視するべきじゃないからだ」
サルゴンは、落ち着いた表情で彼を見た。
「妥当な用心だ」
カエレンはかすかに笑った。
「おや、また意見が一致したな」
「数えるつもりか?」
「そうするかもしれない。歴史的な証拠として役立つかもしれないからな」
「なら、この会話を正確に記録しておけ」
カエレンは小さく笑った。
ひとときの軽口が終わると、彼の表情は再び真剣なものになった。
「最初に聞いたダンジョンへ何も考えずに飛び込んで、法律を破ったと気づき、その後一か月も後始末に追われるようなことにはなりたくない」
「私も同感だ」
「よし。これで方針は決まりだな」
サルゴンは、取り得る選択肢について考えた。
一般的な契約を引き受ければ、予測可能な金額を稼げる。しかし、それでは時間がかかる。
反対に、すぐに危険な遠征を引き受けることもできるが、彼らには周辺地域や立入制限に関する知識がまだ不足していた。
だが、第三の選択肢もあった。
情報と利益の両方を得られる機会を探すのだ。
遺物回収契約なら、遺跡の地図や確認済みの危険に関する情報を得たうえで、指定された品を回収する報酬も受け取れるかもしれない。
鉱物採集の依頼なら、周辺地域の地理を知るきっかけになる。
貨物回収の仕事でさえ、都市の交易路を学び、有益な人脈を築く助けとなり得る。
彼らは、金を稼ぐこととアウター・ヴェイルについて学ぶことの、どちらか一方を選ぶ必要はなかった。
必要なのは、一つ一つの行動を、その両方に役立てることだった。
「まずは回収依頼から始めよう」と、サルゴンは決断した。「契約条件が明確で、報酬を確認でき、対象となる場所の情報が得られる依頼を優先する。」
カエレンは頷いた。
「もし契約に含まれていない貴重なものを見つけたら?」
「売却を試みる前に、現地の法律を確認する。」
「いいね。偶然、禁制品の遺物を手に入れてしまった理由を当局に説明する羽目にはなりたくないからな。」
「ならば、偶然手に入れなければいい。」
カエレンは彼を凝視した。
「まるで簡単なことみたいに言うな。」
「何を避けるべきか理解していれば、多少は簡単になる。」
「どうやら、宇宙のほうがこちらに協力してくれるとは思えないけどな。」
「宇宙は、協力するなどと約束していない。」
カエレンは首を横に振ったが、再び笑みを浮かべていた。
二人は探索者登録所へ戻り、遺物回収、鉱物採集、探索支援に関する公開依頼の一覧を求めた。
条件に合わない依頼もいくつかあった。
彼らの持っていない装備を要求するものもあれば、アステリオンから遠く離れた場所が対象となっているものもあった。また、必要な経費に見合わない報酬しか提示されていない依頼も少なくなかった。
所有権の条件が不明瞭な契約や、支払い条件が曖昧な契約は除外した。
金が必要だからといって、わざわざ不利な取引を受け入れる理由はなかった。
やがて、さらに詳しく調べる価値のある候補がいくつか見つかった。
一つ目は、都市の外にある許可済みの区域で貴重な鉱物を採集する依頼だった。
二つ目は、危険な交易路で失われた物資を回収する依頼。
三つ目は、探索済みの遺跡から特定の遺物を回収するもので、ほかにも法的に回収可能な発見物があれば、追加報酬が支払われるという内容だった。
どの依頼も、船の修理に必要な莫大な資金をすぐに用意できるものではなかった。
それでも、どれも出発点にはなり得た。
カエレンは依頼書の一覧に目を通した。
「三つ目に集中するべきだと思う。」
「理由は?」
「遺跡回収の契約がどういうものなのか学びながら、金を稼げる。それに、すでに探索済みの場所なら、何も分からないまま未知の場所へ踏み込まなくても、有益な情報を得られるかもしれない。」
サルゴンは、もう一度契約条件を読み直した。
「契約の詳細が不完全だ。判断を下す前に、回収記録の全文を確認する必要がある。」
「賛成だ。まずはそれを請求しよう。」
二人はその依頼を記録し、関連資料の提示を求めた。
今の段階では、契約条件を精査し、依頼が正当なものであると確認するまで、どの探索にも参加するつもりはなかった。
小さな決断ではあったが、必要なことだった。
彼らには、焦りにすべての行動を左右させるつもりなどなかった。
登録所を出る頃には、市場は以前にも増して賑わっていた。商人たちは交渉を続け、冒険者たちは装備を見比べ、輸送隊の作業員たちは新たに手に入れた物資の詰まった木箱を運びながら、人混みの中を行き交っていた。
この都市全体が、ひとつの単純な原則に従って動いているようだった。
誰もが何かを求めており、誰もがそれを手に入れる方法を見つけなければならない。
ある者にとっては、商品を売ること。
別の者にとっては、危険を冒すこと。
そしてサルゴンとカエレンにとっては、残された限られた資源を無駄にすることなく、船を修復する方法を見つけることだった。
カエレンは市場の端で足を止め、都市の向こう側を見渡した。
「それで、次はどうする?」
「回収記録を調べ、利用可能な契約を比較し、ここで現実的に入手できる修理用部品を特定する。」
「その後は?」
「金を稼ぎ始める。」
カエレンは頷いた。
「希少な部品については?」
「十分な情報を得てから、判断に必要な材料を揃えたうえで、その入手先を調べる。」
カエレンは遠くの街並みへと視線を向けた。
アステリオンの向こうには、まだ探索されていない領域が広がっている。その先には、アル・メラージュ号に必要な部品が眠っているかもしれないダンジョンや遺跡が存在している。
そう考えると、胸が躍った。
同時に、危険も感じられた。
それでも、彼らは損傷した船のそばに閉じ込められたままでいるために、見知らぬ宇宙へ迷い込んだわけではない。
たとえ予想以上に長い道のりになろうとも、前へ進まなければならなかった。
カエレンはサルゴンをちらりと見た。
「なあ、ここに来たばかりの頃は、俺たちの最大の問題は自分たちがどこにいるのかを突き止めることだと思っていたんだ。」
「今は?」
「今なら分かる。自分たちがどこにいるのかを知るのは簡単なほうだ。本当の問題は、あらゆるものに金を払うことだな。」
「ならば、その問題にも対処する。」
カエレンは、いつものように冷静で実務的な答えが返ってくるものと思い、しばらく待った。
しかし、サルゴンは相変わらず落ち着いた表情のまま、活気に満ちた市場へと視線を向けていた。
「挑戦しない限り、何事も不可能なままだ。」
カエレンは少しの間、彼を見つめた。
そして、笑みを浮かべた。
「お前にしては、ずいぶん前向きな発言だな。」
「実用的な観察結果だ。」
「そういうことにしておこう。」
カエレンは装備を整え、歩き始めた。
「よし。それじゃあ、金を稼いで、この宇宙の仕組みを学んで、必要な部品を見つけよう。一歩ずつ、着実にな。」
サルゴンもその後に続いた。
彼らの目的は変わっていなかった。
アル・メラージュ号を修復する必要があり、そのためには資金と忍耐の両方が求められるだろう。稼げるだけ稼ぎ、入手可能なものは購入し、金だけでは手に入る保証のない希少な部品を探し出す。
そして、より大きな危険を冒す前に、アウター・ヴェイルの法律と慣習についても学んでいくつもりだった。
アステリオンは、彼らにとって最初の立ち寄り先にすぎなかった。
アウター・ヴェイルは広大で、そこに眠る機会は不確かであり、潜む危険の大半はいまだ未知のままだった。
今のところ、彼らがこの地を征服したり、その支配者に挑戦したり、ただちに最深部のダンジョンへと潜ったりする必要はなかった。
必要なのは、計画だった。
資源だった。
そして、自分たちを取り巻く世界を理解することだった。
二人が市場のさらに奥へと歩いていくなか、サルゴンの意識は、これまでに集めた情報へと向けられていた。
彼らの新たな旅路の第一段階を決めるのは、敵の強さではない。
何を学べるのか。何を手に入れられるのか。そして、手元にある限られた資源を、どれほど賢明に使うことができるのか。
それらこそが、これからの道を決めることになる。
アステリオンに到着して以来、初めて、彼らの前に続く道が少しずつ形を成し始めていた。
決して楽な道ではない。
それでも、二人で歩んでいける道だった。




