暴発
「えへへ、お嬢様見っけ。」と私は腕を捕まれた。
後ろをみるとひょろひょろとした長身の男が私の腕をつかんでいた。
(何こいつ、振りほどけない。)
私はそのまま馬車の外へと引っ張り出された。
「ロジエール。」
「お嬢様。」ロジエールはあわてて私の手をつかもうと手を伸ばした。
「そうはさせないね。」とひょろひょろの男は私が伸ばす腕をつかみ、真上にあげるように引っ張った。
「姫!!」ロジエールは、目のはしに涙をためながら必死に叫んでいた。
「ロジエール。」ロジエールは足に力を込めて馬車から飛び出し、私を取り替えそうと剣をかまえた。
「おっとそんなことしていいのか、騎士さんよ。」と背後から先ほど蹴飛ばされた男がニヤニヤしながら近づいてくる。
「この子、人質にしたっていいんだぜ。」
「……。」
「お前の態度次第だがな。見ろ周りを!」と男は大声で勝ち誇ったかのように叫んだ。そして、私を含め人質となっていた御者やアルセーラを一列に並べた。
「こいつらをいかすも殺すも、お前の態度次第だ。」
「……。何をすればいい?」
「まずは、頭を擦り付けてこの俺様に謝るんだな。」
「ロジエール。」と私は心配そうに見つめると、ロジエールはにっこりと微笑み「大丈夫です。」といいながら「申し訳なかった。」と土下座した。
男は笑いながら、「申し訳ありませんでしただろ?頭の悪い騎士だな。」と足でロジエールの頭を踏みつけた。
「申し訳ありませんでした。」と頭を下げるロジエールを周りにいた男達は指を指して笑った。
「これが、王都の元師団長だもんな、笑っちゃうぜ。」といいながら男はロジエールの頭を蹴り始めた。
(このままでいいの?私は何もできずみているだけなの?大切な人が目の前で傷つけられているのに……。)
その時、私の体の中でエネルギーのようなものが混み上がってきた。混み上がってきたエネルギーは体の中心部へと流れ込み核のようなものを形成した。
(うっ…………。)
その核のようなものは、目の前の出来事によって傷つけられていく私の気持ちに同調するようにだんだんと大きくなっていく。
「うっ……。」
ついに私の体がその膨大なエネルギーに耐えきれなくなったのか、息苦しくなり意識が遠退いていくのを感じた。
「お頭、こいつなんか様子がおかしいですぜ。」
「あ?どうした、今いいとこなんなだ。」と男は笑いながら振り返った。その靴は血で染まり、ロジエールは力からなく倒れ混んでいた。
「やめて!」大声で叫ぶと同時に、体のなかで塞き止めていたものがあふれでるかのように、膨大なエネルギーを体外へと放出した。そのエネルギーは大きなな光とともに、敵を一瞬で弾き飛ばした。