三十三 決意
リンツ駅
ク「おかえり、アドルフ」
ア「おおクビツェク! なんか久しぶりに感じるで!」
ア「ホンマによかったでぇーウィーンは!」
ア「流石ステファニーを生んだ町や!」
ア「あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
ク「絵葉書からも十分にその素晴らしさが伝わったよ」
ア「クビツェク…ワイは決心したで…」
ク「ああ…やっぱり…」
ア「ワイは…ウィーンへ行くで」
アドルフの家
ア「母さん! ワイはウィーンへ行くで!」
ア「ウィーンで芸術を学ぶんや!」
クララ「駄目よ!」
ア「なんでや! 費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
クララ「そういう勝手なところがお父さんそっくり!」
クララ「それにもう、知り合いのパン屋さんに仕事の斡旋を頼みました!」
ア「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
クララ「言ったら反対するでしょ!」
ア「当たり前や!それも、よりにもよってパン屋やと!」
ア「パンを売ってパンを得るなんて…本末転倒もいいとこやろ!!」
クララ「なにを訳のわからないことを…?」
クララ「アドルフ!二年前に学校を止めてから お前はずっとブラブラして!」
ア「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで!」
ア「ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
クララ「この際だから、はっきり言うわ!」
クララ「芸術家なんて不安定で軽率なものお母さんは認めないわ!」
ア「!?」
…外にいても聞こえる
もしかしたらと思って様子を見に来たけど
案の定、修羅場になってるよ……
ア「何を言っとんじゃ! ワイはちゃんと大学にいって勉強するんや!」
ア「学校やぞ学校!!」
ア「どや!? 学生なら世間体も悪くないやろ!?」
クララ「で、でもクビツェク君みたいに音楽ならともかく絵なんて…」
クララ「それに、ラウバルさんだって反対だって言ってたわよ」
クララ「芸術家を目指すなんて気狂いの沙汰だって!」
あ、おばさんダメだよ…
アドルフにそれは禁句だよ
ア「あんな小役人風情に芸術の何がわかるんや!!」
ア「そうか、あいつに何か吹き込まれたんやな!」
ア「許せへん!いっぱつ かましに行ったるわ!!」
クララ「や、やめて!アドルフ!!」
アワワワワ
す、すごい剣幕で言い争ってる
クララおばさんのこんな声聞いたことないよ…
ボ、ボクの出る幕は無さそうだ…
今日のところは帰ろう…
※参考・引用文献 アドルフ・ヒトラーの青春によれば
ヒトラーは母クララにたいして多大な思いやりと忍耐を込めて説得したとある
この一文が事実ならばヒトラーは母親を怒鳴ったりはしていないのだろうと思う
ヒトラーに名誉なんてあったものではないのかもしれないが
この時期の彼の名誉のために記しておく
参考・引用・元ネタ
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
アドルフ・ヒトラーの青春(三交社)




