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私立エルガー学園!!  作者: ぷりお
第二部
82/88

本編没回

今年の二月に書いたものです



「……。大きい。」

ガルーラが呟いた。


タイタニス級の戦艦が4隻

そして真ん中には装飾が施された戦艦。

総帥のものだった。


機体から降りる。


艦隊からは赤いカーペットと階段が設置された。

そこにならうように平行して兵士が並び、敬礼を行う。


バジーリオが戦艦の扉の前に立つ。

扉が開いた。

中から大柄な兵士に囲まれて、

映像越しにしか見てこなかった男が出てくる。


その場の全員が一糸乱れぬ敬礼を行う。

「……。いい空気だな。そして、いい景色だ。」

崩壊したマンチェスターを見て、総帥は言う。

「……総帥。長旅ご苦労様でございます。」

バジーリオが言った。

「うむ。手を借りようか。少佐。」

総帥が手を差し出した。

「はっ。失礼致します。」

バジーリオが手を取って階段を降り始める。

「……。」

ガルーラの体が強張る。

シャキリとアシュクの方を見る。

二人は戦闘の疲れは全くなさそうだった。

ここに立っていていいのか、わからなくなる。


階段を降り切って、バジーリオが半歩後ろに下がる。

総帥は兵士一人一人の手を取って何かを言い始めた。

「〜〜。」

ガルーラは耳を澄ませる。

しかし、聞こえない。


ガルーラの番が次に迫る。

シャキリが総帥の手を取る。

何かを言われている。

しかしこの距離でも聞こえない。

「…………。」

ガルーラの心臓が跳ねる。

僕の番だ……

総帥が前に立つ。

バジーリオより少し低い身長。

微かな香水の香りと、何かに満ちている目線。

手を出される。

……握って…いいんだよな。

ガルーラが手を取る。

「……ふむ。君のような子供が……」

総帥が口を開く。

「祖国への献身。感謝する。君が前線で戦っていると思うと、私も勇気が湧いてくる。」

総帥が言う。

返答を待つ微かな圧。

「……はっ!光栄であります。」

ガルーラは言った。

「…はは。固いな。楽にしてくれたまえ。」

肩に手を置いて。アシュクの方へ言った。

どっと疲れが来た。


「…少佐…ご苦労。」

総帥は全ての兵士に握手し終えて、バジーリオに言った。

「…はっ。」

バジーリオが敬礼で返す。


大柄な男に囲まれて、総帥は演説の用意を始める。


インペネスにいた民間人が解放され、外に出る。

全員がマンチェスターの状況を見て、絶句した。


ガルーラの肩が叩かれる。

「……?」

振り返ると

「ルーラさん!ミィカちゃん!」

シャキリの助けたルーラという女性がミィカを抱いて立っていた。

「よかった!民間人ブロックはどうですか。」

「みんな優しくて、私が女性だからかも…」

ルーラは目を伏せた。

ミィカはガルーラに触れようとしてくる。

「ミィカちゃん。何か嫌なこととか無い?」

ガルーラは聞く。

「……ルーラお姉ちゃんが、一緒にいてくれるから…へいき。」

ミィカは言った。

ルーラは照れ臭そうに笑った。

「…そっか。」

ガルーラは言う。


「ガルーラ。」

声がかけられる。

トーガンだ。

「総帥の演説が始まる。いくぞ。」

「……はい!」

ガルーラは駆けていった。

二人はそっと手を振っていた。



兵士が一ヶ所に集まり前に並ぶ、その後ろに民間人。さらに後ろに銃を構えた兵士。

そして、バジーリオのスレイブンが最後列にいた。



「……。まず、マンチェスターに住んでいた、全ての人々へ謝罪をしたい。」

「このような、手荒な真似で諸君らを人質のように扱ってしまったことだ。」

総帥が喋り出す。


民間人の中には叫び出しそうな者がいたが別の民間人に止められる。

結果が分かり切っているからだ。


「しかし、これは新たな、新しい人類へ進化することへの解放と考えて頂きたい。つまり、諸君らは選ばれたのだ。今も生きて、ここに立っていることが何よりの証拠である。」


「……。我々はこれから、諸君らへ一つのテストのようなものを行う。しかし、これに選ばれなかったからといって、諸君らを乱雑に扱うことはしない。全て、人間の倫理と人権に則るということを先に宣言させて頂く。」

「また、このテストに合格した場合、諸君らには、月の、エルガー帝国への移住権を渡す。そうでなかったものは、身柄を解放し、近くの地域へ安全に移送する。無論。このマンチェスターに帰ってくることもできる。」


「……。この言い草。やはり、侵攻したんだな。マンチェスターに…」

誰にも聞かれないコクピットでバジーリオは呟く。


「月のエルガー帝国は、この大地より遥かに発展し、治安維持に努めている。インフラの整備、人種問題根絶。この地で問題となってきた歴史は、エルガー帝国には無い。それと比較して、この地に残ることを選ぶのならば、私は否定しない。諸君らには、自身の道を決める。選択権があるということを心に留めて頂きたい。以上。」


総帥の演説が終わる。


兵士は拍手をする。

民間人の中でするものはいなかった。



演説終了後、兵士と民間人は混ざって交流を許された。


ガルーラは勿論。二人の元に行く。

「………!ガルーラさん。」

ミィカを抱きかかえたルーラが言う。

「ルーラさん。お疲れ様です。」


「ミィカちゃん。よく静かにできたね。」

ガルーラがミィカの頭を撫でる。

えへへとミィカが言う。

「………。ルーラさん達も…テストを?」

「……。受けようと思っています。ここに残っても…もう何も無いから。」

「……。それなら……」

言い掛けたところで、大柄な兵士達が近寄ってくる。


「おい。チビ。随分仲が良さそうだな。地球人と。」

先頭の男が言った。

「……。悪いですか。それが…。」

ガルーラが二人を背にしながら言う。


「……。ふん。こいつ民間人とデキてるぞ。」

下品な笑いが飛ぶ。

「………。ガルーラさん。」

ミィカが袖に触れる。震えていた。

………。こいつ!


「…おい。何をしている。」

大柄な男の後ろから聞き慣れた声がする。


シャキリとアシュク、トーガンだった。


「……!大尉。聞いてください…こいつら…」

「…。私の部下だな。」

シャキリが言った。

アシュクとトーガンがガルーラ達の前に出る。

「…。演説が終わったから、暇つぶしか。」

シャキリが吐き捨てる。

「……大尉!こいつらの肩を……」

「総帥は、民間人を月へ受け入れると発言された。帝国人民に対して、軍人のその態度はなんだ。」

シャキリが言った。

眉間に皺が寄っている。

「……。申し訳ありません。大尉。」

大柄な軍人が俯いた。

「……ふん。総帥がこれを知れば、貴様らは極刑だ。消えろ!」

シャキリの声に弾かれるように軍人が消えた。



「……。」

ルーラの顔が赤い。

「……?ルーラさん熱があるんですか?」

ガルーラが言う。

シャキリがルーラに目を向ける。

「…おねえちゃん。照れてる。」

ミィカが言った。

「……!ミィカちゃん!」

あぶぶとミィカが口を塞がれた。

「……。大尉…」

ガルーラが視線を向ける。

シャキリは軍服の糸屑を取っていた。

「……。大尉。」

アシュクが言う。

「…。これはダメだな。」

トーガンが呆れ気味に言った。


「………あの。」

ルーラが口を開く。

「……大尉……さん。」

シャキリを上目でチラチラ見つめながら、

「……。私が帝国で暮らしたら…大尉さんの家に行って…いいですか。」

周りがおおっと言う。

シャキリは…

「……。まぁ家は空けてるな。」

シャキリが言った。


暫くの沈黙。

遠くから駆けてくる音。

バジーリオだった。

息を切らしている。


「……はぁっ。みんな、これを使わせてくれ。」

手に持っているのは…

「カメラ?」

ガルーラが言った。

「そうだ。」

「…。みんなを撮っておきたいんだ。」

バジーリオが言う。

優しい顔をしている。

「……!なら、私撮ります!」

ルーラが言った。

「いや、君達が主役だ。僕が撮るよ。」

バジーリオが言う。

「…ありがとうございます。」

「あーがと。」

ルーラの後にミィカが続く。


バジーリオは笑う。

嘘偽りない笑顔だった。


「みんな並んでくれ。シャキリ隊の撮影だ。」

バジーリオがカメラを構える。


シャキリが真ん中、左にアシュク、トーガン、右にルーラとミィカ、そして、ガルーラ。


「撮るぞー。」

バジーリオが言った。

短いシャッター音。

「………!大尉目瞑ってますよ!」

ガルーラが言う。

そっぽを向いて肩が震え始める。

「…!ごめんなさい!大尉!」

バジーリオが焦る。

「撮り直ししま…」

シャキリが写真を取る。

みんな…笑っていた。

「…ふん。これでいいさ。」

シャキリは写真を懐に入れた。



「大尉と少佐は一緒には撮らないんですか?」

ガルーラが聞く。

アシュクとトーガンがギクっと動く。

ルーラとミィカは不思議そうにしている。

バジーリオは…

「あはは、大尉とか…」

気まずそうだ。

シャキリの答えを伺っていた。

「……。撮ろう。少佐、これでも腐れ縁だからな。」

シャキリが言った。

バジーリオの顔がパッと明るくなる。

「……大尉…!」

アシュク達も嬉しそうにしていた。

「…撮りますー。」

ガルーラの掛け声、その後に短いシャッター音が鳴った。


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