閑話 影の中での会話
閑話です
今回は襲撃を起こした反逆の国の暗部とイニーシャの話です
どうぞ
ここはサイチの影の世界
そこに一人のスライムと黒のフードを身に着けた女が居た。
「…」
スライムの名前はイニーシャ。
主であるサイチからの指示に従い主を捕獲しに来た刺客…の隊長が起きるのを待っていた。
「…いつになったら起きるのかしら…」
だがいつまでも起きない女に段々と苛立ちを覚えていくイニーシャ。
そしてついに痺れを切らしたのかイニーシャは謎の薬を懐から出す。
イニーシャが所持する英雄役職「毒錬術師」の能力によって生成された麻痺薬である。
ついでに言えばかなり強めに作られたので気付け薬にもなる。
「はーい起きなさい。説明できないじゃない」
「んぐっ…」
無理やり黒フードの女の口に突っ込む。
「ゲブァ!?」
「あ起きた」
やはりと言うかとてつもない腹痛を起こし黒フードは目覚めた。
そして今から始まるはイニーシャによる説明である。
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体に異物が入る感覚と共に私の目は覚めた。
だが良い気分では無い。
とてつもなく不味い。
咄嗟に吐いた。
毒を飲ませられた可能性を考えてだ。
吐いてすぐに私は周りの状況を確認する。
黒く染まってる空間。そこに散り散りに広がる謎の欠片。
「…ここは?」
「場所の確認より私を見て思い出したら?」
誰かの声が聞こえた。
声の主を見るべく顔の向きを変えると…
そこには赤と青の色が混じる液体の髪を持った女だった。
そして私は全てを思い出した。
「お前は…ゾンビに従ってたスライムか!」
「ただのスライムじゃなくてブラッディ—スライムです。それにイニーシャって言う名前があるんです」
スライムは私の言葉に淡々と答えた。
スライムは言葉を続ける。
「それと私は今からあなたの先輩なのよ。ちょっとは敬ったら?」
「は?敵を先輩扱いする奴が居るか」
「眷属になっててよく言えるわね」
「は?眷属?」
「当然でしょ。ご主人様に嚙まれたし」
そういえば噛まれたな…
「ご主人様はゾンビからヴェイトって言う魔物に進化したの」
「ヴェイトだと!?あのヴァンパイアと似通った能力を持つあの魔物にか!?」
「そうよ。そしてヴァンパイアと似通ってるなら眷属は当り前よ」
なるほどな。だがこのスライムは一つだけ間違いを犯してる事に気づいてないな。
「眷属になったからなんだ?私の祖国に対する思…い…あれ?」
私は祖国の事を大事に思っていた。
いつ如何なる時も家族や友が居る故郷を。
だが何故だ。
家族の事を思い浮かべても何の感情も浮かばない。
友の事もなんとも思わない。
周りを見れば友でもあった一の武器を見つけたのにそれを見ても何も思わない。
「言ったでしょ。ヴェイトはヴァンパイアと似通った能力を手に入れるって。ヴァンパイアの特性は何だと思う?」
「…眷属にした者に魅了を掛けヴァンパイアを守らせる…だ」
「せいかーい!つまり貴方の祖国を思う気持ちなんてその特性で消えちゃったのよ」
な…
故郷の事を大事に…
「でも今の貴方は祖国よりも大切な物が出来たのよ♡それも祖国を裏切ればすぐ手に入られた…こ・う・ふ・くをね♡」
その言葉で私は理解してしまった。
祖国を愛した理由なんて無かった。
ただ…愛してくれる人が欲しかった。
人を愛したかった。
ただ…それを求めて…
だがどうだ…
祖国から解放されたこの気持ちは。
悪くない。むしろ求めていた物だ。
「…貴方がどうするか分かったかしら?」
「…」
私は黙る。
答えは決まっていた。
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影の中の内容を知らないサイチ。
背中に悪寒が走ったのは偶然かはたまた必然だったのか。
ある意味悪寒は必然だったのかも…
次回は本編です




