13 異変
ゴテゴテに盛られた花々は、ランヴァルドの顔まではいかずとも、確実に胸の高さはあった。が、前王のときよりも彼は花が似合っており、民衆は沸き立っていた。
街中へと進んでいくその様子を、海から見ていた者たちは呆気に取られていた。
「見て、フレデリーカ。凄くハンサムな王になったじゃないの?」
「あの王に、こんな息子がいたとはびっくりね。」
「私たちに気付かないかしら?」
声を殺しながらも色めき合っている人魚たちを尻目に、フレデリーカはつまらなそうな態度を取った。
「どうかしら。自信満々、てところかしらね。それより、あの子随分若そうじゃないの。きっと私たちよりも年下よ。ブリストル王国もどうなっちゃうのかしら。」
「年なんて関係ないわよ。」
「そうよ。」
友人たちとやり合うつもりはなかった上、馬車は海から町側へと差しかかっていたので、早々にフレデリーカは背を向けて潜った。
(みんなどうしちゃったのかしら。去年はあの派手な馬車を一緒にバカにしてたくせに。)
大観衆の中、広場で迎えられたランヴァルドたちは、一度止まって護衛騎士の剣舞を披露させる。このころには陽炎祭一番の人だかりになり、足元など見えないほどだ。
貴族席にいたルシアは、お手洗いに行くために席を離れたイザベラが帰ってこないことを心配していた。
「いくら何でも遅すぎるわ。見に行こうかしら。」
席を立とうとした時、侍女のドーラが走ってくる姿が見えた。
「ルシア様、お待たせして申し訳ありません。お嬢様が、見当たらないのです!」
息を切らしてドーラが伝えると、ルシアは真っ青になった。
「ええ!そんな…!護衛はついていなかったの?」
「いえ、離れたところから二名、近くで一名が待機していたのですが、何しろ騎士は男性なので…。私が一瞬、イザベラ様との距離が空いてしまった時に、もういなくなってしまって…。その、お手洗いも混んでいましたので…。」
「コマス家の者を呼ぶわ。手分けして探してもらうのよ。あなたも侯爵様へ伝えて。」
「お心遣いありがとうございます。すぐに伝えます。」
ドーラが影の護衛騎士に合図をしている際にも、パレードは熱を増し、人で溢れかえっている。
ルシアはランヴァルドの馬車を一瞥し、彼を恨んだ。




