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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第七十五話 由依

「私次は別のゲームがしたいです」


 と言われたので、仕方がないと思い別のゲームを探す。


「これなんてどうだ?」


 と、四人で戦い合うゲームを見せた。


「うーん、いまいちです」


 莉奈にとってそのゲームには興味を持てなかったようだ。


「なんかそれよりも今度はトランプしません?」

「トランプは莉奈が無双するだろ」

「いえ、ババ抜きならどうですか?」

「ババ抜きか」


 確かに運要素はがばっとへる。いい考えだ。


「じゃあ、ババ抜きするか」

「わーい」

「わーいって子どもか」


 と言いながら、トランプを用意する。

 そしてペアのカードを捨てていく。


 案の定莉奈の手札から大量のカードが捨てられた。うぬぬ、莉奈、やはり運がいいな。だが、俺も負けてはいない、ただ最初のカードが莉奈よりも多いだけだ。


 そしてゲームが始まる。


「どれがジョーカーでしょうかねえ」


 莉奈がそうにやにやとして言ってきた。二人だからどこにジョーカーあるかまるわかりなんだよな。そして今気が付いたことなんだが、必ずペアが合うようになってしまっているのか。今思えば、これ二人でやるべき奴じゃねえな。


 そして秒で終わった。俺のジョーカーは引かれずに。


「何だよこのくそげーは」

「ジョーカーを引かせられない優斗くんが悪いんです」

「そもそもこれ二人でやるべき遊びじゃあなかったわ。やっちまった」


 二人だと、カードがそろうかそろわないかの運ゲーが楽しめない。


「やっちまいましたね」

「なんかないかなあ」

「それよりも、お菓子二人で食べません? こんなにおかしあるわけですし」

「悪いが、俺はもうだいぶお腹いっぱいなんだ」

「それは困りましたね。でも、半分くらいなら食べれるでしょ」

「まあ、食べれるけど、そこまでお菓子好きなわけじゃねえんだ」

「いいじゃないですか、一緒に楽しみましょうよ」

「そうだな」


 と、テレビの漫才を見ながらお菓子をつまみ食いすいる時間となった。正直二人でいなくてもいいんじゃないかと思うが、二人だからいいんだろうな。

 そして楽しいからか、どんどんと時間が過ぎていく。


「もう夜か」


 時計の針はもう六時を指していた。


「夜もここでいいですよね」

「ああ。もう伝えてある。とはいえ、お腹あんまり減ってはないけどな」

「そうですね。流石に食べ過ぎましたね」


 そう言って莉奈はお腹を押さえる。流石に莉奈もお腹すいてないんだな。


「それだったら、昼の残りでいいですか?」

「ああ、それでいいな」


 と、莉奈が料理を並べた。


「じゃあ、これつまみながらテレビを見ましょう」

「ああ、そうだな」


 あれ、思ったよりもだらだらデーになってないか? 思ってた感じと違うな。まあ、莉奈も俺に気を使ってくれたのかもしれんな。





「ただいま、って今日もデートしてるの?」


 と、莉奈のお母さんが帰ってきた。時間はもう八時過ぎ。確かに莉奈のお母さんが返ってきてもおかしくない時間だ。


「お邪魔してます」


 と、莉奈のお母さんに向かって言った。


「ゆっくりしていってね」


 と言われた。そして三〇分ほど経った時、


「そろそろ帰ろうかな」


 と言った。

 今から帰ったら九時半くらいに家に着くし、そろそろ帰る頃合いだろう。


「え? 泊って行かないんですか?」

「だって、今日はそんな準備一切してないし。それにまあ、いいじゃねえか。今日一緒に楽しめたし」

「まあ、そうですけど。もう少し一緒にいたいです」

「おい、そんな目で訴えるなよ。夏休みいっぱい遊べるだろ」


 と言って頭を撫でる。


「まあ、そうですけど。てか、なでないでくださいよ。私子供じゃあありませんから」

「いいだろ。別に。なでるくらい。莉奈も気持ちいいんだろ?」

「まあ、気持ちいいですけど」

「だから、これで許してくれ」

「はい」

「じゃあ、また今度な」

「分かりました」


 莉奈に別れを告げ、家に帰る。


 帰りの電車の中、一人考え事をした。今日の振り返りだ。普通に今まで莉奈と一緒にいると気って結構いちゃいちゃしていたけど、今日は半分くらい二人でゴロゴロしながら喋っていただけだ。

 だが、普通に楽しかった。

 こういう感じだったらもう莉奈と同棲しても楽しいだろうな。

 一人家で無垢な時間を過ごすより何倍も楽しい時間だった。

 結局まあ、莉奈の押しに負けて正解だったのか。


 そして、スマホをいじる。そう言えばゲームのイベントがあったからだ。とはいえ、そこまでイベントは熱心にはやっていないから、家計報酬を取るくらいなのだが。



 そんなことをしていたら家に着いた。


「おかえり、お兄ちゃん!」


 と、由衣が抱き着いてきた。


「何だよ。由衣」

「だってお兄ちゃん最近あまり構ってくれてないから」

「由衣、今日も寂しそうにしてたのよ」

「それは言わないでよお母さん」


 由衣が恥ずかしそうにする。


「ごめんな。寂しい思いさせて」

「本当よ。お詫びとして今日は私と寝て」

「は?」

「だって、寂しかったのは本当だし」

「まあ、いいけどよ」


 別に由衣と寝るので何か起きるわけでもないし。兄弟が一緒に寝るのは別に特別なことでもないしな。

 そして、由衣の横の布団に転がった。


「お兄ちゃん。寝る前に話しよ」

「ああ、分かった」

「私ね、今日学校楽しかったの。体育の時さ、みんなでドッジボールして、結局最後の一人になったんだけど、上手くボールよけまくって見事逆転したの。すごくない?」


 なるほど、体育で活躍したという訳か。

 由衣も運動は得意だしな。


「ああ、すごいな」


 と、頭をよしよしと撫でる。


「本当、莉奈も由依も運動てきて羨ましいわ。俺も運動出来たらなあ」

「お兄ちゃんもできるよ。絶対」

「ああ、だといいな」


 あいにく運動できるようにはなりそうもないけど。


「お兄ちゃん。私のこと好き?」

「はあ? 何だいきなり」


 急すぎる。


「ちょっと不安で。私やっぱり莉奈ちゃんに嫉妬してるの。お兄ちゃんを独占してる莉奈ちゃんを。別に莉奈ちゃんのことが嫌いなわけじゃないけど、寂しくて……。お兄ちゃん、もっと私にかまってよ。じゃないと私……寂しくて。つらいよ」

「……」


 由衣の言うことも確かだ。俺はここ最近の休みの日、ずっと莉奈と遊んでいた。だが、言い方を変えると、由衣たち家族にはあまり構ってなかったという訳だ。

 もう俺も高校生。もう家族としか一緒に出かけたりするような年齢じゃない。それが由衣にとってストレスの原因となっていたんだったら、それは申し訳ないことだな。


「由衣……」

「なに?」

「今度二人で遊びに行こうか」

「うん」

「確かに俺はお前に約束したことが出来なかった。俺はお前のお兄ちゃんをまっとうできてない。だから明日は全力でお兄ちゃんをする」

「お兄ちゃんなんていい方しなくてもいいよ。なんかお兄ちゃんって言うと、変」

「そうか?」


 まあでもそうかもしれねえ。それにこのセリフ多分どっかで聴いたことあるし。

 てことは俺がこのセリフ使ってみたかっただけか。


「そうだよ。でも、ありがとう」

「ああ、どういたしまして」

「じゃあさ、私明日山登りに行きたい。二人で」

「山登りって、意外なチョイスだな」


 もっとメジャーなところ言うんかと思ってた。


「いいでしょ。私歩くの好きだし」

「まあ……分かった。明日行こう」

「うん!」


 そして明日は山登りに行くことになった。

寂しかったみたいですね。

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