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邪魔者退散、今日も悪役!

 ルーシーとレヴィン様を残して私は自分のクラスへと向かう。邪魔者退散、という訳です。


 さあて!今日も晴天!元気に悪役令嬢しましょうか!!



「あーらあら、昼食を一人でなんて寂しいですわね?」


 私は早速、見つけたターゲットに絡んでいく。うんうん、やっぱり第一声が大事よね。


「っ…!?…オリエント公爵令嬢様!?」


 可哀想な被害者は私の顔を見て声にならない悲鳴をあげた。…私、そんなに怖いかしら?


「急に声をかけてごめんなさいね?あなたの背中がどうにも寂しそうに見えたものですから!」


 さらには、声をかけずにはいられなかったのよ!と、ここぞとばかりに思いっきり馬鹿にした声で付け加えた。あなたを見下してます、とばかりの視線を浴びせかけるのも忘れない。


「私は先程レヴィン様とご一緒したのですが、あなたも誘えばよかったかしらね?」


 婚約者に愛されてるのよアピール、つまりは自慢。会話で相手を不快にさせたいならばこれが一番。しかも、(リリアン)の高圧的な態度と嫌味な発言はピカイチ!…私が前世でどれだけリリアンにイライラさせられたか!このご令嬢にも是非お試しいただこうじゃないの!


「いっ、いいえ!私がお二人の時間をお邪魔するわけにはいきませんもの!私は一人で大丈夫ですわ!」


 失言をしないようにと必死なご様子。彼女の瞳に、私の求める嫌悪や侮蔑の感情は見当たらない。感じるのは、そう。恐怖と焦り…このあたりね。…だめだ、彼女では私が悪役をしても効果が薄い。彼女の怯えようは私の悪役をひきたててくれるけど、これではだめ。このままいけば、私はただの「いじめっ子」。「身分を笠に着た嫌味でうざったい傲慢令嬢」を演出するには足りない。これは明らかな人選ミスね。


「…そうですか。余計なお世話だったようですね?」


 あきらめて、他の絡みやすそうな令嬢の元へ行こう。うん、それがいい。


 そうすると、彼女に声がかけられた。


「クレア様!クレア・ミグルド様!」


 私に絡まれている彼女に声をかけるとは…やるわね。


「よろしければ、私と一緒にお昼を食べましょう!」


 こんなことをする命知らずは一体誰かしらと振り返ると、そこにはとても見た事のあるご令嬢。


「カザノフ子爵令嬢…?ステラ様、だったかしら…」


 クレアは戸惑ったように確認をとる。今まで顔と名前しか知らなかった令嬢に話しかけられたのだ。驚きと困惑が取り繕うこともできずに顔の全面に出ている。


「ええ!そうです!クレア様に覚えていただけていたなんて、嬉しいですわ!」


 ステラの少し高めの声が大きく弾んだ。


 おかしいわね。カザノフ子爵令嬢って、自分から人に話しかけるタイプだったかしら…。


「リリアン様!お久しぶりです!」


 あろうことか、彼女は私にも話しかけてきた。


「そ、そうだ!ステラ様!オリエント公爵令嬢様にご挨拶を!!…というか私より先に彼女に声をかけるべきでしょう!!とっても不敬ですよ!!」


 確かに。クレア・ミグルド伯爵令嬢は私よりも身分が下になる。目上の私に声をかけずに彼女と話そうとするのは失礼にあたる。


「ええ、そうでした!…挨拶が遅くなり申し訳ありません!ご存知だということでしたが、改めて名乗らせてください!私、カザノフ子爵家の長女、ステラと申します!どうしても以前のお礼を申し上げたくて、探しておりました…!!」


 お礼…?もしかして、絡まれてることを助けたこと?


 ステラは私の手を両手でぎゅっと握って微笑んだ。


「私、リリアン様の助言通り、ワインを飲むのを止めました!そのせいか最近とっても快調です!」


 …ああ、そっち。むしろ私の言葉を信じて止めてくれたことが驚き。


「それはよかったわね。けれど、お礼は必要ないわ。…申し訳ないけれど、私用があるので私はこれで失礼するわね」


 感謝されるのは悪くないけど、悪役が感謝されるって構図はよろしくないからね。


 まだあんまり悪役できてないのに、クレア様は大層な怯えようだったなあ。…身分高くてつり目の女アレルギーとか!?

 …なんて思ったけれど、違うよね。他の生徒たちの目を見ても、それは明らかだった。どうやら私、すでに怖がられているようです。今後の課題はどうやってこの「怖がられる」を「嫌われる」に持っていくか、ということ。


 …うん、がんばろう。





「さあ、クレア様!一緒にお昼ご飯を食べましょう!」


 にこりと笑ったステラをクレアは信じられない思いで見つめた。


「あなた、どれだけ怖いもの知らずなの?…リリアン様のあの威圧感。凄まじかったわ…!なんというか、視線だけで熊でも殺せそうでしたわ!私にはとてもじゃないけどステラ様みたいな真似はできない…!!」


 その言葉に、ステラの微笑みがさらに光輝いた。


「ええ!リリアン様ってかっこいいですわよね!!」


「……」


 うそだろ…?まさか…!と言った声があちらこちらから上がる。リリアンが来てから今まで、周囲の目線を集めていたのだ。


 …ステラはその日、クレアと周りで一連のやり取りを見ていた者たちから「勇者」の称号を得ることとなった。

皆さんお久しぶりです。カメさん投稿がデフォルトの作者(そのあり)です。


こんなにもお待たせしたのに読んでくださった皆さんにはもう感謝感激!!

多分、あなたがこれを読んでいるその時に、読者様(神)はここにいた…!!と私は全方位を拝んでいることでしょう!!(。ー人ー。)


最近は暑くて雨ばっかりで過ごしにくい日々が続いておりますね!皆さんが体調を崩されませんように願っております!!


それではまた次回!!

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