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79.サザリーナンダ父娘 3

父:「本日は、結界の練習をする。明日から三学期が始まるが、父に言われなくても魔法の練習は毎日するように。」


姉妹:「はい。お父様。」


父:「今日は防音結界の練習だ。普通の結界の内側に防音の結界を張れば、雑音を防ぐことが出来る。これは、転移魔法において必ず必要になる。防音結界を張らないと移動ノイズで耳が痛くなる。短い移動ならば、さほどではないが、距離が長くなると雑音が大きく高くなってしまうからだ。

さらに、攻撃魔法を受ける時も爆発音から耳を守る必要がある。

大切な結界であるから必ず出来るようにならなくてはいけない。」


姉妹:「はい。お父様。」


父:「カナリーエ、お前は、普通の結界の内側に防音結界を重ねて張る練習だ。15分以上を目標に練習しなさい。」


姉:「はい。お父様。」


父:「リマリーエ、お前は、防音結界を張れるようになる練習だ。先ずは、防音結界だけの一重だ。」


妹:「はい。お父様。」


父:「音を防ぐために耳を塞ぐようなイメージだ。」


妹:「全然分かりません。」


父:「最初から出来る者はいない。父がやってみせるからよく見て覚えるように。3ヶ月で出来るようになれば凄いくらいだ。一年以上かかる者もいる。」


妹:「はい。お父様。」


…………………………


【3ヶ月後】


妹:「お父様、見てください。ついに防音結界を張れるようになりました。」


父:「おおっ。凄いではないか。僅か3ヶ月で張れるようになるとは。よく頑張ったな。」


妹:「はい。お父様。お父様がおっしゃった意味が全然わからなかったのですが、学校の選択授業の時間にフィアレアラ皇女殿下にアドバイスをしていただきました。すぐに出来るようになりました。」


父:「…。そうか。ならば、次は、普通の結界の内側に重ねて張ることだが、多種結界は難しい。出来るようになるまで最初は1ヶ月以上かかる。」


妹:「あっ、それならば、もう出来ますわ。10分くらいは保てます。」


父:「…。そうか。凄いな。」


妹:「ついでに、衝撃吸収の結界も教えていただき、出来るようになりましたわ。見ていてください、普通の結界の内側に衝撃吸収結界、その内側に防音結界の三重結界です。まだ一分で限界ですが。」


父:「マジか?我が娘ながら凄すぎだ。私は中等学校三年生になってようやく一分張れるようになったぞ。」


妹:「お父様、魔力隠蔽結界や、姿隠蔽結界、相手の魔力を遮断する結界、相手の魔力を打ち消す結界も教えてください。」


父:「父はこれで限界だ。父の張れない結界を教えることは出来ない。」


妹:「そうですか。残念ですわ。」


父:「魔力隠蔽結界や姿隠蔽結界は、王家王族五星の方々しか張れないのだ。相手の魔力を遮断する結界や相手の魔力を打ち消す結界があることは知識として知っているが、誰も出来ないはずだ。」


妹:「私は全部出来ると聞いています。だいたい誰も出来ない結界ならば、学校の授業で出てくるはずないと。中等学校の魔法の授業で習うと聞いています。」


父:「言われてみれば、それもそうだな。おそらく、王家王族家系の方々ならば出来るのかも知れない。いや、教科書に載っているくらいだから、昔は、公爵家系五星でも出来た可能性があるな。

但し、五星は、他人に魔法を教えることを嫌がるからな。家系五星が途切れてしまえば、子供に親の魔法の知識が伝わらなかった可能性はある。

我がサザリーナンダ公爵家とて、家系五星であるナンダン王族家系五星は古の昔に絶えてしまった。

東の筆頭公爵家イーデアルは、旧マ・アールとワントゥンの二つの家系があったにもかかわらず五星当主のいない世代が三世代続いた。

一度知識が失われてしまえば、もう二度と取り戻せない。他人からは教えてもらえないからな。残念なことだが、仕方ない。」


妹:「はい。お父様。」


父:「はぁ~。お前がこんなに優秀であるのに、父はお前にこれ以上教えられないのが残念だ。三学期末の学年末休みにフィアレアラ皇女殿下はまた常夏の我がサザリーナンダ公爵領に遊びに行きたいなーって言ってなかったか?寒い冬に常夏なんて最高だーとか、また海水浴したいなーとか?」


妹:「言ってましたわ。ですが、保護者がいないから残念だと。」


父:「へっ?言っていたのか?保護者がいないとは?」


妹:「クララ王姪殿下のお誕生日パーティーがあるからですわ。それに学年末休みは新学期の準備もありますから私も自領には帰りません。冬の今は領まで往復6日かかりますから、領内に滞在出来るのは3日前後程度ですわ。フィアレアラ皇女殿下でしたら、マナリーで遊びたいと言っていましたが、マナリーは我が領でも南端ですわ。マナリーに行くならば、遊びは2日だけで他は全部移動です。遊べないなんて面白くありませんからお断り致しました。」


父:「バカ。リマリーエ。何故父に相談しなかったのだ?二度とないと思っていたチャンスがまた巡ってきたというのに。」


妹:「へっ?お父様に相談するも何も移動だけなんて無意味ではないですか?時間の無駄ですわ。」


父:「無意味になるかどうかは、まだわからんではないか?大切なのは、クノハ王義母殿下にまたご指導いただけるチャンスがまた巡ってきたことだ。

リマリーエ、お前は、さっき、結界のことを言っていたではないか。父が教えることの出来ない結界をもしかしたらクノハ王義母殿下に教えていただけるかも知れないのだ。これはお前だけの問題ではない。もし、お前がその結界を張れるようになれば、私やカナリーエは出来なくても、将来、カナリーエやお前の子供に教えられるではないか。すなわち、我がサザリーナンダ公爵家の未来の子供たちのためになるのだ。お前はそのチャンスを父に相談しないとはなんたることだ。みすみす逃すつもりなのか?」


妹:「へっ?そんな風に思いませんでした。私は、三学期末の学年末休みは、自領には帰らないで王都にいるものだと思っていましたし、クノハ王義母殿下もクララ王姪殿下もお誕生日パーティーがあるので無理だと諦めていました。」


父:「我がサザリーナンダ公爵家の未来を諦めてはならない。よし、私が話をつけてくる。お前はそのつもりでいるように。」


妹:「はい。お父様。」


父:「カナリーエ、お前はどうする?」


姉:「ないですわ、お父様。

私、高等学校の入学式の準備がありますから。

しかも、よりによってマナリーだなんて。一番行きたくない南国海辺のリゾート地ではないですか。そんなところに2日もいるなんてありえませんわ。

魔法指導は、普通、中等学校までで終わりです。私がついて行っても無意味ですわ。移動と日焼けで終わりになるだけです。断固拒否致しますわ。」


父:「…。それもそうだな。」


姉:「リマリーエ、頑張ってね~。期待しているわ。将来のサザリーナンダのためにしっかりやるのよ。私は、王都であなたを見守っているわ。」


妹:「…はい。お姉様。」

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