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78.サザリーナンダ親娘 2

父:「リマリーエ、クノハ王義母殿下達の我がサザリーナンダ公爵領視察の案内ご苦労であった。殿下達は、たいへんお喜びになられ、とても楽しかったと言っておられたとクノン第一王妃陛下がおっしゃっていた。」


妹:「はい。私もとても楽しかったですわ。」


父:「うむ。よくやった。クノン第一王妃陛下は、クノハ王義母殿下がお前は魔法の練習もかなり頑張った言っておられたとおっしゃっていた。成果は直接お前から見せてもらうように言われている。父とカナリーエにその成果を見せなさい。」


妹:「はい。お父様。とりあえず、攻撃魔法からいきます。お異母姉様、申し訳ありませんが普通の結界を張っていただいてもよろしいでしょうか?お異母姉様に魔力弾をぶつけても大丈夫ですか?」


姉:「ふんっ。あなたがちょっと魔法の練習したくらいでは私の相手にはならないわよ。初等学校二年生の異母妹の魔力弾ごとき余裕で弾いてあげるわ。」


妹:「よろしくお願いいたします。お異母姉様。」



異母姉が結界を張る。異母姉の結界から異母姉の魔力を感じる。最初から分かっていたが、まだまだ私では異母姉には勝てない。だが、今は勝つことが問題ではない。出来るようになった『魔法量を調節する』技術を父と異母姉に見せることが目的だ。


先ずは、出来る限り弱い魔力弾を連続五発放つ。続けて、少し強い魔力弾を連続五発。そして、さらに強い魔力弾を連続五発の合計15発を異母姉に向けて放った。

当然全部弾かれてしまった。


今までの私は常に全力だった。全力の魔力弾ならば、連続五発なんて無理だ。一発放ち、休み、また一発、休み、また一発。三発も放てばくたくたになる。


全力でないならば、連続攻撃が可能になる。魔力量が少ないから威力は弱くなってしまう。




妹:「攻撃魔法は以上です。お異母姉様、ありがとうございました。」


父:「うおおっ。なんだ、今の連続攻撃は。威力は強くないが、凄いではないか。休まず撃てるとは。」


妹:「ありがとうございます。威力よりも数を重視した攻撃魔法です。」


姉:「確かに、強い衝撃はなかったけれど、連続で攻撃されて驚いたわ。」


妹:「ありがとうございます。お異母姉様。」


父:「他には?他には何が出来るようになった?」


妹:「普通の結界を三重に張れるようになりました。四重はギリギリです。」


父:「なんと。お前は二重で精一杯だと言っていたではないか。それが三重だと。四重も出来るのか?」


妹:「四重はギリギリです。三重までは完璧ですが。」


父:「やって見せなさい。」


妹:「はい。お父様。」


三重の結界を張る。何回も何回も練習した。完璧だ。次は、四重。ギリギリだ。ギリギリだけど、なんとか保ち、五重に挑戦する。が、五重結界になる直前で弾けてしまい、失敗してしまった。


妹:「四重でギリギリでした。五重に挑戦致しましたが、ダメでした。」


父:「うおっ。うおっ。うお~っ。何だ、この画期的な成長は。凄いではないか。凄いぞ、リマリーエ。さすが、我が娘。よくやった。私とて五重に結界なんて張れないのだ。凄いぞ。凄い、凄い。頑張ったな、リマリーエ。」


妹:「はい。ありがとうございます。クノハ王義母殿下に毎日ご指導していただき、一生懸命練習致しました。二時間前後のお約束でしたが、殿下は時間のある限り教えてくださいました。三時間、四時間、五時間、それ以上の日もありました。」


父:「なんと。クノハ王義母殿下には感謝しきれないな。リマリーエがこれほど成長するならば、カナリーエも一緒に魔法指導していただければよかったな。後悔しても仕方ないが、カナリーエが嫌がっても強制的に自領に帰らせればよかった。カナリーエ、お前もそう思うだろう?」


姉:「…。微妙ですわ、お父様。リマリーエは確かに魔法の技術が物凄く向上致しましたが、その代わり、日焼けも物凄いですわ。あんなに真っ黒に日焼けするくらいならば、私は遠慮したいですわ。強制的に帰らされなくてよかったですわ。

リマリーエ、期待しているわ。自領のことは全部優秀な異母妹のあなたに任せるから、これからも頑張ってね。」


父:「…。(日焼け?魔法よりも?日焼けなのか?五星にとって魔法は命に関わる大切な力だと幼い頃より教えてきたはずなのに?日焼けだと?…思春期の少女の考えることは私には理解出来ない。)」



………………………


父:「おい、リマリーエ。(こそこそ)」


妹:「はい、お父様。(こそこそ??)」


父:「クノハ王義母殿下は普通の結界をどのくらい重ねて張れるのか聞いたか?(こそこそ)」


妹:「えっ?はい。お聞きました。えっ?内緒話なのですか?しかもお異母姉様は自室に戻られましたから、今、ここには私とお父様しかいませんが?(こそこそ??)」


父:「いや。内緒話とかそんなことはないのだが、殿下は王族五星だから、あまり大きな声で話してはいけないような気がするのだ。(こそこそ)」


妹:「なるほど。お立場があるからなのですね。分かりましたわ。(こそこそ)」


父:「そうだ。だが、凄い技術があるとは(クノン第一王妃陛下から)聞いている。だからお前の魔法指導を殿下にお願いすることに決めたのだ。こんなチャンスは最初で最後かも知れないと思ってな。(こそこそ)」


妹:「そうですか。こんな貴重な機会をくださり、クノハ王義母殿下にもお父様にも感謝しています。殿下は凄い技術でしたわ。結界ならば、若い頃の魔力があれば20~30重くらいいけるそうですわ。今は20重くらいで限界らしいですけれど。(こそこそ)」


父:「マジか~?マジなのか~?(驚愕)信じられない。(大声)」


妹:「マジですわ。大声はいけないのではないのですか?お父様。(こそこそ)」


父:「…そうであった。(こそこそ)」


妹:「私のような旧マ・アール五星でも練習すれば15重くらいはイケるようになるそうですわ。私は初等学校二年生の間に六重を目標にしています。(こそこそ)」


父:「マジか~?(大声)お前までそんなに出来るようになると言うのか?(大声)

…おっと。つい興奮してしまった。(こそこそ)」


妹:「たぶん?私、毎日練習していますから。(こそこそ)」


父:「どんな指導だったのだ?リマリーエ。お前はいったい、殿下にどんなふうに魔法を習ったのだ?(大声)」


妹:「…。お父様の魔法指導とは…、最初から全然違いましたわ。ご説明することを特に制約されてませんが、控えさせていただきます。でも、お父様に説明しても意味が分からないと思いますわ。お異母姉様も同じです。意味が分からない上に、その技術を得ることはもう出来ません。(普通の声)」


父:「マジか?(大声)

私やカナリーエはダメなのか?(大声)

何故だ?何故なのだ?(大声)」


妹:「初等学校の子供時代に出来るようにならないと一生出来ない技術らしいです。10歳くらいがリミットだそうですわ。10歳以上になると雑念、疑心が出てきて習得出来なくなってしまうそうです。(普通の声)」


父:「なんと。(大声)

子供でないと習得出来ないとは。年齢制限があるなんて。(大声)」


妹:「信じる心が大切だと教えていただきました。ありえない、出来ない、ウソだ、そう思ったら魔法は扱うことは出来ないと。大人はすぐ疑うらしいです。だから本当に出来ないと。(普通の声)」


父:「確かに。娘がウソを言うはずないと思うが、私は大人の常識が邪魔をして心のどこかにそんなはずないと思う気持ちを捨てきれない。(普通の声)」


妹:「疑心が魔法を扱うのに一番悪いらしいです。だから子供の頃が大切だとおっしゃってました。(普通の声)」


父:「なるほど。分かった。父もその通りに思う。カナリーエが年齢的に無理だと言うのも分かる。あいつは日焼けのことしか言わないからな。魔法よりも日焼けが気になるなんて、男の私には女の子の気持ちは分からないが、あれではもう年齢的に無理だと言われてしまっても納得出来る。

あれ?いつの間にか普通に話してしまっていた。」


妹:「そうですわね。お父様が途中から普通にお話しになられましたから、内緒話は終わったのかと判断いたしましたわ。クノハ先生の魔法指導がたった12日間だったのが残念です。私はもっと教えていただきたいと思いました。」


父:「…。

うむ。父とて同じ気持ちだ。これほどのお前の成長をみたら、クノハ王義母殿下にもっと魔法指導をお願いしたいと思うが、不可能だ。現役を退かれたとはいえ王族五星のクノハ王義母殿下が王宮のご自身の宮から出ることはほとんどない。今回の自領案内は特例であったと言える。


はぁ~。

今度はウェスターナルかイーデアルにも行きたいなーとか言い出さないだろうか?また、うちでもいいのだが…。」


妹:「えっ?」


父:「フィアレアラ皇女殿下のことだ。皇女殿下がまたどこかの領に遊びに行きたいと言い出さないかと思ってな。殿下が王都を離れるためには、五星の保護者が必要になる。前回も今回もクノハ王義母殿下が保護者だった。ならば、今回みたいに次回行く時にお前もついて行ったらいいと思ったのだ。」


妹:「もし次回があったとしても、うちと違ってウェスターナルもイーデアルも本家筋に成人五星女性がいらっしゃいますわ、お父様。クノハ王義母殿下が保護者にならなくても大丈夫と思われます。西家も東家も領のご案内はその方々にお任せになられるのではないかと。」


父:「…確かにその通りだな。西家にはウェスターナル公爵の異母妹五星がいる。東家はまだ高等学校三年生の学生ではあるがイーデアル公爵の五星長女は既に成人年齢の16歳。そして後四ヶ月で高等学校も卒業する。長女一人でご案内しても何の問題もないではないか。ならば、クノハ王義母殿下が保護者になる可能性はもうないといえる。従ってお前に魔法指導していただけるチャンスもない。

ううっ。とても残念だ。」


妹:「私もですわ、お父様。」

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